メッツでの初実戦に臨んだ藤浪。直球を1球も投げなかった内容は話題となった。(C)Getty Images

 新天地での“デビュー”は上々の内容となった。今オフにメッツと契約を交わした藤浪晋太郎は、現地時間3月7日に米フロリダ・ポートセントルーシーで行われたナショナルズとのオープン戦に登板。1回を3者凡退の無失点で切り抜けた。

【動画】球速出ずとも相手打線を寄せ付けず 藤浪晋太郎の無失点投球

 クレバーリリーフだった。チームが3-1とリードした7回に5番手でマウンドに立った背番号19は、投じた10球全てがスプリットなどの変化球と直球は投じず。それでも10球中6球がストライクと安定した投球を披露した。

 この日は米データサイト『Baseball Savant』によれば、この日の最速は94.6マイル(約152.2キロ)と、昨季の102.6マイル(約165.1キロ)とは大きな差が出る内容となった。とはいえ、春先の初実戦の場だ。本人にも焦りはない。地元放送局『SNY』が公式X(旧ツイッター)に公開したインタビュー内で藤浪は「とりあえず無事に終えることができて、ほっとしています」と吐露。そのうえで球速については、「球速はいつでも上がると思います」と自己分析を展開している。

「今日も、もっと腕を振れば球速は出たんでしょうけど、今日求めているのはそこじゃなかったので」

 メジャー2年目で落ち着きも垣間見せる藤浪には、地元メディアも期待を寄せる。ニューヨークの日刊紙『New York Post』は、「フジナミは快速球を投げているよ。僕らは彼にストライクを投げさせるだけだ」としたメッツのベテラン捕手オマール・ナルバエスのコメントを紹介し、「安定してストライクを投げられる姿を証明する必要がある。彼がストライクの投げ方を理解し、チームを助けられるのなら、その投資は有意義なものになる」と強調した。

 メッツとは単年契約ながら基本年俸335万ドル(約4億9580万円)に、85万ドル(約1億2580万円)の出来高払いも付帯する好条件で契約した藤浪。“結果”が求められるレギュラーシーズンの開幕が迫るなかで、29歳の剛腕は着実に存在感を強めている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「求めているのはそこじゃない」自己最速13キロ減も藤浪晋太郎に焦りなし NY紙も分析「ストライクの投げ方を理解するだけ」