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 リアルなUFO型オブジェかと思いきや、これはポーランド造幣局が公式に作った宙に浮く硬貨だ。

 UFOのようなデザインは伊達ではない。その姿と造幣局が設立された年にちなんで「UFO MP-1766」と命名されたこのコインは、内蔵モーターと専用台座との間に発生する磁力によって、浮かび上がり、回転する。まさに空飛ぶUFOのようだ。

 前代未聞のデザインにも関わらず、この春から法定通貨として流通することになる。

【画像】 ポーランド造幣局が開発した法定通貨は宙に浮かび回転する

 法定通貨UFO MP-1766は、先日ベルリンで開催されたテクニカルフォーラムで発表された。

 メタリックな外観は、約200gの銀によるもの。

 硬貨に組み込まれた小型モーターが特別な台座との間に生成される磁場によって、硬貨を浮遊させ、指で力を加えることで、ゆっくりと回転させることができるという。

 しかも蛍光塗料が塗られているので、暗闇で一部が光る。

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硬貨の価値はお値段以上

 硬貨自体の価値は1766中央アフリカCFAフランで、11.70ポーランド・ズウォティ (PLN) に相当する。日本円ならおよそ440円だが 限定生産であるこの硬貨の価値は、その額面をはるかに超えるだろう。

 ちなみに中央アフリカCFAフランとは、カメルーンを含む中央アフリカ6カ国で使用されている共通通貨だ。

 なぜポーランドでCFAフラン?と思うだろう。その理由は、UFOコインの製造にはカメルーンの中央銀行が絡んでいるからだ。

 ポーランド造幣局の技術・生産企画部長ウカシュ・カルダ氏は、メディアの取材に対し、次のように語ったという。

貨幣を発行する権限があるのは中央銀行だけです。なので、そう簡単に公式に流通する貨幣を作ることはできません。

そこで、カメルーン銀行のような、ちょっとエキゾチックな外国の銀行にお願いするという方法があるんです

UFO MP-1766 | Mennica Polska

 こんな変わり種の硬貨が企画されたのは、テクニカルフォーラムで来場者の度肝を抜くためだったが、当事者すら本当に実現するとは思っていなかったようだ。

最初は冗談にしか聞こえませんでしたが、だんだんとイケるだろうと思うようになりました。そのためにぴったりの技術を探すと、ちゃんとうまくいったんです。

作業はスムーズに進み、急ピッチで生産されました

 実際に市場に出回るのは2024年春以降になる予定だそうだ。

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ポーランドの硬貨が熱い!

 なおポーランド造幣局は、この手の変わり種が大好きなようで、過去には卵のオブジェのような立体的なコインや円筒形のコインを手がけている。

 ポーランド造幣局のカタジナ・ブドニツカ・フィリピウク局長は、「ポーランド造幣局のノウハウを駆使して、世界初の空飛ぶコインを作りました。新たな歴史を拓いたと自慢できます」と語る。

 なおポーランド造幣局は民間企業ではあるが、ポーランドで貨幣や投資商品の製造を許可されている唯一の民間団体だそうだ。

 ポーランドの中央銀行であるポーランド国立銀行が発行する記念硬貨の唯一の製造業者でもあり、公式印や紋章、記念メダル地方自治体の記章なども手掛けているそうだ。

 それにしても今回の効果はかなりSFナイズドされていて、本気で欲しくなる。440円のものをこの硬貨で買う人はいないだろうが、でもいざとなったら使えると思うと心強い?

 日本もそういや今年からお札のデザインが変わるわけだけど、こういう記念になるような変わり種の面白紙幣とか硬貨とかも販売して欲しいところだ。

References:Polish mint creates world’s first “flying coin” | Notes From Poland / written by hiroching / edited by / parumo

 
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ポーランド造幣局、世界初の宙に浮く法定通貨を発行