今シーズンのプレミアリーグも終盤戦に差し掛かり、タイトルレースも佳境を迎えつつある。現地時間10日には1位リヴァプールと2位マンチェスター・シティによる注目の首位攻防戦も控えている。
 
 3位アーセナルも上位2チームをしっかし追走しており、勝ち点「2」差の中に3チームがひしめく近年稀に見る大混戦のタイトルレースとなっている。そんな群雄割拠のプレミアリーグにおいて、シーズン終盤戦に鍵を握るのはどの選手なのだろうか? イギリスメディア『BBC』が直近10試合におけるベストプレーヤー12名を選出しているので今回はそれを見てみよう。こちらが世界最高と呼ばれるプレミアリーグにおいて、現在最も“ホット”な選手たちだ。

[写真]=Getty Images
 

◆■フィル・フォーデンマンチェスター・シティ

 
 もう期待の若手とは呼ばせない。23歳のイングランド代表MFは今シーズンのリーグ戦でで11ゴール7アシストをマーク。前節のマンチェスター・ダービーでは勝利を呼び込む2ゴールを叩き出し、早くも昨シーズンの得点数に並んで見せた。チームを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督も「仕事量を考慮すると、彼は現在のプレミアリーグでベストプレーヤーだ」と手放しで称賛する。『BBC』の実況者も「もし、イングランド代表が今日EUROの初戦を戦うのであれば、右ウイング(WG)はブカヨ・サカ、左WGはフィル・フォーデン、中央にハリー・ケイン、トップ下にジュード・ベリンガムだろう」と話している。
 

◆■アーリング・ハーランドマンチェスター・シティ

 
 昨シーズンは加入1年目でプレミアリーグのゴール記録を塗り替えたノルウェーの“怪物”。その時と比べると今シーズンはやや大人しいのかもしれないが、それでも負傷で5試合も欠場しながリーグ戦で18ゴールを叩き出し、得点ランク首位を走っている。2月末のFAカップでは1試合で5ゴールを叩き出すなど、完全復活を遂げた印象だ。『BBC』で解説を務める元マンチェスター・シティマイケルブラウン氏は「彼にはパワー、献身性、そしてゴールを奪うハングリーさがある。彼のプレーを止めるのは至難の業だよ」と表現している。
 

◆■ケヴィン・デ・ブライネマンチェスター・シティ

 
 ハムストリングの負傷により開幕から約5カ月間も離脱したデ・ブライネだが、1月に復帰して以降はリーグ戦7試合で1ゴール4アシストをマークし、FAカップのルートン・タウン戦では驚異の4アシストを記録した。グアルディオラ監督から“レジェンド”と称えられるベルギー代表のプレーメーカーについて、元マンチェスター・シティのマイカ・リチャーズ氏は「ワールドクラスと呼ばれる選手はたくさんいるが、彼は別格」と絶賛している。
 

◆■ロドリマンチェスター・シティ

 
 前人未到のリーグ4連覇を目指すマンチェスター・シティに攻守のバランスをもたらす“大黒柱”ロドリ。昨年2月に行われたトッテナム戦以降、マンチェスター・シティで出場した60試合において何と無敗を誇っている。最近はゴールに絡むプレーも増えており、リーグ戦直近10試合で3ゴール3アシストをマーク。グアルディオラ監督が「断トツで世界最高のMF」と称えれば、ルートン・タウンのDFトム・ロッキャーも「彼と同じピッチに立てるのは喜び。そんな選手はあまりいない」と惜しみない賛辞を送っている。
 

◆■フィルジル・ファン・ダイクリヴァプール

 
 “4冠”を目指すリヴァプールのキャプテンは、32歳ながら全盛期とも言えるパフォーマンスを披露している。先月のカラバオカップ決勝では、延長戦までもつれたチェルシーとの死闘に終止符を打つ値千金のゴールを決めた。『BBC』の記者も「ここ数週間のファン・ダイクは強大だ」と感嘆する。
 

◆■ダルウィン・ヌニェス(リヴァプール

 
 ウルグアイ代表ストライカーは出場したリーグ戦直近8試合で6ゴール2アシストを記録するなど大暴れ。前節のノッティンガム・フォレスト戦では、敵サポーターから「お前は単なる下手なアンディキャロル!」と、同じように長髪を結んでいた元リヴァプールのFWを絡めた野次を飛ばされるも、90+9分に劇的な決勝点をマークした。試合後にユルゲン・クロップ監督は「もっと、あのチャントを歌って欲しいね!」と冗談を飛ばし、アシスタントコーチペップリンダース氏も「毎試合のように彼は一人で6回はチャンスを作り出せる」と称えている。
 

◆■デクラン・ライスアーセナル

 
 昨年夏に1億500万ポンド(約200億円)もの移籍金でアーセナルに加入したイングランド代表MFは、すっかりチームの心臓部として定着した。ピッチ上を縦横無尽に走り回り、持ち前のボール奪取力を生かした守備面だけでなく攻撃面でも貢献。最近はコーナーキックのキッカーまで任されており、リーグ戦直近4試合で2ゴール3アシストをマークした。『BBC』のレポーターは「昨シーズンは最終的に失速して優勝を逃したが、今シーンは最後まで絡めるかもしれない。ライスがそれくらいの違いを生み出す可能性がある」と説明している。
 

◆■ブカヨ・サカアーセナル

 
 リーグ戦直近10試合で8ゴール1アシストと抜群の存在感を見せているのがアーセナルイングランド代表FWサカだ。『BBC』も「現在のプレミアリーグで最も好調な選手の有力候補」と称えており、「プレミアリーグで最高の選手はハーランドデ・ブライネサラー、サカの誰かだ。チームを優勝に導いた選手がベストプレーヤーということになる」とレポーターも説明している。
 

◆■オリー・ワトキンス(アストン・ヴィラ

 

 当然、上位3チーム以外にも絶好調な選手はいる。アストン・ヴィライングランド代表FWは今シーズンのリーグ戦で16ゴール10アシストを記録。得点ランク2位、アシストランクは1位タイという活躍で、大躍進を見せるアストン・ヴィラの攻撃を力強く牽引している。その活躍には、プレミアリーグの歴代最多ゴール記録を持つアラン・シアラー氏も「今の彼はゴールを期待するのではなく、決めるつもりでいる」と賛辞を送っている。
 

◆■コール・パルマー(チェルシー

 
 現在11位と悩めるチェルシーにおいて輝きを放っているのがパルマーだ。昨年夏にマンチェスター・シティから加入した21歳のテクニシャンは、ここまでリーグ戦でチーム最多のゴール数(10)とアシスト数(7)をマークしており、直近10試合で見ても4ゴール4アシストと躍動。マウリシオ・ポチェッティーノ監督も「違いを生み出せるので重要な選手だ」とその才能を認めている。
 

◆■ジャロッド・ボーウェン(ウェストハム)

 
 先月のブレントフォード戦でキャリア初のハットトリックを達成するなど、リーグ戦直近10試合で5ゴール2アシストをマークしているボーウェン。今シーズンは既にリーグ戦で自己最多となる14ゴールを奪っており、元イングランド代表MFポール・スコールズ氏も「レアル・マドリードマンチェスター・シティアーセナルも彼に注目している。彼は“一式”が揃った選手。少しエリックカントナを彷彿とさせる」と、マンチェスター・ユナイテッドの英雄を引き合いに出して称えている。
 

◆■アルフォンス・アレオラ(ウェストハム)

 
 唯一、GKで選出されたのがフランス代表の常連でもあるアレオラだ。直近10試合でクリーンシート(無失点試合)を3回記録したほか、セーブ数は1試合平均「5.8本」を数える。今シーズンのリーグ戦で100セーブ以上を記録したGKの中で最高セーブ率を誇るほか、被ゴール期待値を4点も下回る失点数に抑えている。2回のPKセーブ数も今シーズンのリーグ戦における最多記録となっている。
 
 果たして、この中の誰がチームを栄光に導くのか? “ホット”な選手たちの今後の活躍にも期待がかかる。

(記事/Footmedia)

今シーズンのプレミアリーグで輝きを放っている選手たち [写真]=Getty Images