第47回日本アカデミー賞の授賞式が3月8日(金) 、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで行われ、山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が最優秀作品賞を受賞。同作は、最優秀助演女優賞(安藤サクラ)、最優秀脚本賞(山崎貴)、最優秀撮影賞、最優秀照明賞、最優秀美術賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞の8冠を達成した。

日本が生んだ特撮怪獣映画の金字塔「ゴジラ」の生誕70周年記念作品で、日本で製作された実写のゴジラ映画としては通算30作目。国内外でヒットを記録しており、日本映画として初めて第96回アカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされている。

最優秀作品賞の受賞について、山崎監督は「皆さんとゴジラがとった賞だと思います。作品賞って一番うれしいです。スタッフ、キャスト全員でお祝いできるので、めちゃくちゃうれしい」と喜びの声。神木隆之介(主人公・敷島浩一役)は「一丸となって、ゴジラに立ち向かって、ゴジラに引っ張っていってもらったなと思います」と日本が世界に誇るアイコンに感謝を示した。

(C)日本アカデミー賞協会

第96回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされている『PERFECT DAYS』は、最優秀監督賞(ヴィム・ヴェンダース)、最優秀主演男優賞(役所広司)の2部門を受賞した。

役所が最優秀主演男優賞に輝くのは、『Shall We ダンス?』(第20回)、『うなぎ』(第21回)、『孤狼の血』(第42回)に続き通算4度目。この日は、『ゴジラ-1.0』が破竹の勢いで受賞を重ねていただけに、「これでやっと、ゴジラの牙を抜いた感じがします」と歓喜した。また、授賞式欠席のヴェンダース監督に代わり、最優秀監督賞のブロンズを受け取り、「日本という国、そして日本人が大好きでいらっしゃる。ここにいたら喜ぶと思います。今は(米アカデミー賞出席のため)アメリカにいると思いますが、このすばらしい賞をお渡ししたい」と話していた。

また、安藤サクラは最優秀主演女優賞(『怪物』)、最優秀助演女優賞(『ゴジラ-1.0』)をダブル受賞した。同一俳優が、同じ年に両賞に輝くのは10年ぶり。最優秀主演女優賞を受賞した際には、役所のコメントに便乗し「これでゴジラの牙を、また1本抜いたけど……、なんか複雑」と照れ笑い。最優秀助演女優賞に関しては、昨年の『ある男』に続き2年連続の受賞を果たし、プレゼンターも務めた安藤本人が、自分の受賞を発表することになった。

最優秀助演男優賞に輝いたのは、『月』(石井裕也監督)の磯村勇斗。実際の障がい者殺傷事件を題材にした辺見庸の小説を映画化した本作で、施設職員で殺傷事件の犯人となる青年を演じた。「この映画は参加するにあたっても、作るにあたっても、公開するにあたっても、たくさんの壁があった。映画をお客様に届けるのが、どれだけ大変なのか痛感した作品」と振り返り、「石井監督とともに難しい作品に挑戦し、覚悟をもって臨んだので、この賞は自分でもらうというよりは、一緒に作り上げた皆さんと喜びを分かち合えれば」と喜びを噛みしめていた。

磯村勇斗 (C)日本アカデミー賞協会

第47回日本アカデミー賞は、2023年1月1日12月31日に東京地区の商業映画劇場にて有料で初公開され、同一劇場で1日3回以上、かつ2週間以上継続して上映された40分以上の劇場用劇映画及びアニメーション作品が対象となっている。

取材・文:内田涼

受賞作品/受賞者リスト

最優秀作品賞:『ゴジラ-1.0
最優秀監督賞:ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』
最優秀主演男優賞:役所広司『PERFECT DAYS』
最優秀主演女優賞:安藤サクラ『怪物』
最優秀助演男優賞:磯村勇斗『月』
最優秀助演女優賞:安藤サクラゴジラ-1.0
最優秀脚本賞:『ゴジラ-1.0
最優秀撮影賞:『ゴジラ-1.0
最優秀照明賞:『ゴジラ-1.0
最優秀美術賞:『ゴジラ-1.0
最優秀録音賞:『ゴジラ-1.0
最優秀編集賞:『ゴジラ-1.0
最優秀音楽賞:『BLUE GIANT』
最優秀外国作品賞:『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』(東和ピクチャーズ)
最優秀アニメーション作品賞:『君たちはどう生きるか

新人俳優賞:アイナ・ジ・エンド(『キリエのうた』)、桜田ひより(『交換ウソ日記』)、原菜乃華(『ミステリと言う勿れ』)、福原遥(『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』)、市川染五郎(『レジェンドバタフライ』)、黒川想矢(『怪物』)、高橋文哉(『交換ウソ日記』)、柊木陽太(『怪物』)

話題賞(作品部門):『キリエのうた』

話題賞(俳優部門):山田裕貴ゴジラ-1.0』『キングダム 運命の炎』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命』『BLUE GIANT』