記者会見で揃って立った井上(左)とネリ(右)。この時の行動はメキシコ・メディアで小さくない話題となった。(C)産経新聞社

 細かな行動ですらも注目を集めている。3月6日に正式決定したボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)とWBC1位のルイス・ネリメキシコ)によるタイトルマッチだ。

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 以前から報じられていた通りにゴールデンウイーク真っ只中の5月6日東京ドームでの開催が決定した。最大収容人数5万5000人を誇る“大舞台”でボクシングの世界戦が実施されるのは、1990年2月11日マイク・タイソンとジェームス・ダグラス(ともに米国)がヘビー級王座戦を繰り広げて以来、34年ぶりの出来事である。

 文字通り歴史的な一戦と言える。それだけに両雄の緊張感の漂う正式発表会見の模様は各国メディアでも大々的に報じられた。そのなかでネリの母国メディアがクローズアップしたのは、両者の何気ない振る舞いだった。

 メキシコ国内で有数のネットワークを誇る放送局『TV Azteca』は、今回の試合決定について「ネリにとって人生最大の試合になるのは間違いない」と指摘。そのうえで両者が握手を交わした瞬間以外にほとんど向き合わなかった会見の様子を「奇妙な振る舞いだった」と伝えた。

 おそらく両者に他意はない。とりわけフェイスオフに対して過去に「長くやっても仕方ないので」と語っていた井上からすれば何の意識もないだろう。それでも両陣営から放たれたピリついた雰囲気が“違和感”を感じさせたのかもしれない。『TV Azteca』は次のようにも記している。

「初対面を果たした二人の間には冷たい空気が流れ、挨拶もクールに交わされた。会見の最後には、カメラの前でポーズをとり、握手を交わし、まともにフェイスオフをすることもなく、最後までほとんど顔を合わせることはなかった。第一印象は決して芳しくないものだろう」

 同会見において「自分が世界最強の1人だと証明する。負けるためにティファナから日本へは来ない。俺は俺こそがメキシコのベストファイターの1人だと証明するためにきた」と“打倒・井上”を断言したネリ。対峙した怪物に対して粛々と振舞ったのは、秘めたる想いの裏返しなのかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「奇妙な振る舞い」井上尚弥との会見に思わぬ指摘! ネリ母国局が目線を合わせない行動を分析「冷たい空気が流れた」