三吉彩花森山未來松本まりか森山直太朗が主演を務める「ドラマ 地球の歩き方」(毎週土曜夜0:00-0:30ほか、BSテレ東テレビ大阪は同日夜0:55-1:25)。同作は、「海外旅行のバイブル」的な存在として長年愛されてきたシリーズ「地球の歩き方」とコラボレーションしたオリジナルドラマで、4人の旅好き芸能人が「地球の歩き方」編集部から特集を組んでほしいと依頼を受け、それぞれ韓国、タイ、サイパンニュージーランドへ旅立つ。彼らは実在の人物に話を聞いたり、実在の場所を訪れたりしながら、特集ページを完成させていく。

【写真】神秘的な雰囲気の松本まりか

WEBザテレビジョンでは、「地球の歩き方 in サイパン『七色の海と精霊特集 サイパン島~マニャガハ島~テニアン島』編」に出演する松本にインタビューを実施。作品にかけた思い、撮影秘話を語ってもらった。

■「10代からこういった仕事をしたかったんです」

――今回の話を最初に聞いた時の感想はどうでしたか?

自分にぴったりの仕事が来たと思いました。二つ返事で、企画内容を読んでいない時点から「やるんだろうな」と感じました。

10代の頃からこういった仕事をしたかったんです。海外旅行へ行ったことがなかったので、海外に強い憧れがありました。ずっと一人で家で過ごすことが多かった幼少時代だったので、自分の住んでいるところではない遠いところに行ってみたかったんですよね。

芸能の仕事を始めてからは、ドキュメンタリーにも携わっていきたいと思っていたので、世界に行き世界の人たちの何かを伝えたいという漠然と思っていたイメージがこうしてかなえられていることがうれしいです。

――では、撮影に臨む時には楽しみやワクワクという気持ちが大きかったですか?

解禁時のコメントでも話していますが、サイパンにはあまり良い思い出がなくて…。でも今行かなければ一生行かないだろうと。ただ、そんな心残りのまま死にたくないという気持ちもあって。しかも自分の意思ではなく、みんなが「サイパンしかないよ」と言うならば、そこに何かあるのかなという方に賭けたいなという思いもありました。

行ってみて、本当にサイパンの表面しか見ていなかったと気づきました。その先に何があるのかも分かりませんでしたが、旅の中で見つかってしまったんです。

サイパンで見つけたこと、感じたこと、体験したことは、今後生きていく上でマストで必要なものでした。知るか知らないかではこれからの生き方や仕事の仕方が全然違ってくると思うので、本当に運命だったのだと思います。

■大切にしていたのは「カメラの前でいかに自分を大きく見せないか」

――台本があり、せりふを覚えて…といういつものドラマとは違ったと思いますが、脚本から皆さんで考えられていったのですか?

信頼する構成の竹村武司さんが考えた物語がありましたが、それを私は逆に知りたくないと思っていました。私は知らない状態で、皆さんが用意してくださったところにトンと立った時、自分が何を発するのかなと。あらかじめ知ってしまうと、ゴールに行こうとしてしまう。もっとひらいた感性でいた方がいいと思ったんです。

ただ、撮影チームの皆さんはドラマの構成を知っていたので、きっと誘導してくださったような気がしています。皆さんの手の上で転がされながら見つけていく感じでした。元々描いていた方向と合致すればそれはそれだし、違う方向に行ってもそれはそれだし。そういったところが、この作品の唯一さ、面白いポイントなのではないかなと思っています。

――特にいつもと違うからこそのやりやすさ、やりにくさなどは感じなかったですか?

ここ5年くらい、たくさん仕事をさせてもらった中で密着取材もあったので、本人役というところに抵抗はありませんでした。初めは慣れませんでしたが、スポーツでボールと友だちになると言うように、自然とカメラと友だちになれたので。

大切にしていたのは、カメラの前でいかに自分を大きく見せないかということですね。演じることはあったとしても、感動していないのに「え〜すごい!」と感動したり、過剰に嘘をつくことはしたくないなと。

ただ、それってすごく難しいところで、テレビの仕事をする中で、求められるものと自分の感性が必ずしも同じであるわけではない。ではどうしたらいいかなと考えた時に、「自分が何でもポジティブに受け止められるような感性になればいいんだ」と。

ポジティブなところを見つけて、それを表現すればリアクションを嘘なく出来ると思うんです。カメラの前でなるべく誇張しないことは気をつけていたかもしれないです。

――実際に撮影を終えてみていかがですか?

このチームでサイパンに行けたことが何よりも幸せでした。

寝る時以外の全ての時間をロケに費やしましたし、「自分たちのセクションで自分たちの出来る限りのことをしよう」という全員の思いがものすごかったんです。終わった後の達成感や充実感がとてもあり、理想の仕事の仕方だったんですよ。

本当に幸せだと心から思いました。規模が大きくなっていくと難しくなっていくかもしれませんが、お互いをリスペクトしながら、自分だけの思いにならず、いろいろな意見を聞きながらやっていく感覚を忘れずに仕事が出来たらと思っています。

■旅で得たのは「相手を分かろうとすることの大切さ」

――ドキュメンタリーとドラマの割合はどれくらいでしたか?

ドキュメンタリー:ドラマ=9:1くらいではないでしょうか。

「ここはドラマにした方が面白いんじゃないかな?」というポイントを思いついて撮り直したこともありましたし、そういったことを毎日スタッフさんと語り合っていました。

最終的にどこに落とし込むか、自分自身も撮影チームの皆さんも未知のままサイパンに行ったので、みんなでいろんな意見を出し合った末に見つかった最後のゴールだったんです。それが非常に心揺さぶられるものでしたし、生きる上で大事な気づきを得た撮影になったと感じています。

――今回のテーマである「美しい海と精霊」には元々興味があったのでしょうか?

正直、スピリチュアルは信じたいけれど信じられない、半信半疑な気持ちがあって。本当に知れるなら知りたい、その世界に行けるなら行きたいんです。ですが、現実的な自分もいる。興味はあるけれど「精霊なんて本当にいるの?」とも思っていました。

ただ、視野の狭い自分は嫌で、もっとすてきな物を見る目を養いたいし、それが少しでも垣間見えるのであれば…と。行こうと思った動機は「どうなの? 精霊って何なの? スピリチュアルって何なの?」という気持ちでした。

――実際に行って気持ちや考え方は変わりましたか?

変わりました。実際に精霊を信じている先住民チャモロの方たちがいて、信じていない私がいて。信じている人のことを分かろうとする。彼らって本当に、全てにリスペクトをする人たちなんです。

目がキラキラしていてものすごく幸せそうな顔をしていましたし、人に対しての接し方全てにリスペクトが込められていて、それが相手の心を動かすんですよね。

そこで、リスペクトについても考えました。リスペクトすることが大事だとは分かるけれど、リスペクトするってやっぱり難しい。でも、リスペクト=分かろうとすることなんだと、彼らとの出会いを通して気がついたんです。

リスペクトすることは出来なくても、分かろうとすることは出来るじゃないですか。例えば「この人ちょっと嫌だな」と思っている人のことも、分かろうとすることは出来る。そうすることで、嫌いだと思っていた人に対して違う見方が出来ますよね。

旅の中で、スピリチュアルのことはやっぱり分からなかったけれど、分かろうとすることはしました。そして、分かったふりをしないことがとても大切だということにも気づきました。ドラマと言えど、うそをついてはいけない領域が自分の中にあり、そこは今回守ったつもりではあります。

――「相手を分かろうとすることの大切さ」が松本さんのサイパン編には詰まっているんですね。

ちゃんとこれから先の人生でも大切にしていこうと思いました。自分の好きな人たちだけと生きればいいやではなく、そうではない人のことも分かろうとすることが大事だなと。大変だけど、頑張ろうと思います。

「ドラマ 地球の歩き方」松本まりかにインタビュー/(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会