2022年、段田安則が主演を務めた『セールスマンの死』で日本の演劇ファンを唸らせたショーン・ホームズ。二人が再びタッグを組み、シェイクスピアの4代悲劇のひとつである『リア王』に挑む。

共演者は小池徹平上白石萌歌、江口のりこ、田畑智子、玉置玲央、入野自由、前原滉、盛隆二、平田敦子、秋元龍太朗、中上サツキ、王下貴司、岩崎MARK雄大、渡邊絵理、高橋克実、浅野和之と、魅力あふれる実力派が結集している。

開幕を前に、プレスコールと会見が行われた。

段田安則

段田安則

ーー開幕に向けた意気込みをお願いします。

段田:ついにシェイクスピアの名作『リア王』の公演が始まります。意気込みはあるんですが、今はとにかくドキドキの状態です。成功するか失敗するかぜひ目撃していただきたいと思います。

一同:(笑)。

上白石:ついに開幕ですごくドキドキしています。ショーンさんの演出により、今までに見たことのないようなリア王になっています。新たなリア王を目撃してほしいです。

江口:楽しくやれたらいいなと思っています。

田畑:とにかく最後までみんな健康で、笑顔で大千穐楽を迎えられたらいいなと思っています。

浅野:若い人たちに混じり、年長者も毎日刺激を受けて頑張っています。いい舞台になると思うのでぜひいらしてください。

高橋プレスコールで見ていただいたのは冒頭。今は真っ白な舞台ですがこの後、変わります。何に変わるか見にきたらいいと思います。

一同:(笑)。

高橋:今まで見たことがないような展開。どうなるんだろうなあということでぜひいらしてください。

平田:私は主に段田さん、克己さんと一緒なので、胸を借りて頑張ります!

小池:真っ白い世界からどう変わっていくのかとワクワクするセットです。また、シンプルなセットだからこそ生々しいお芝居や迫力が伝わると思います。

玉置:『リア王』というダイナミックな戯曲がショーンの演出で緻密な作品に仕上がりつつあります。前代未聞の『リア王』になっていると思います。

前原ショーンさんの作品に出演するのは4回目ですが、今までで一番大変なんじゃないかと思っています。毎日変更があり、もっと豊かになると思います。

入野:壮大な戯曲を素敵なキャスト・スタッフと共に作り上げることができて嬉しいです。

カンパニー全員で大作に挑み、いいものが出来上がっていると思います。

平田敦子

平田敦子

前原滉

前原滉

盛隆二

盛隆二

ーー斬新な演出ですが、いかがでしょうか。

段田ショーンさんはいい演出家さんだと思いますし、感情が合う気がしています。『リア王』は高い山で、登るのは大変。ルートを示す方も大変だと思いますが見事に示してくださいました。ただ私の方が滑落しそう。なんとか登ってやるぞという気持ちです。ショーンさんの演出は素晴らしいですが、ダメだった場合は全部ショーンの責任にします(笑)。

一同:(笑)。

小池:斬新さもありつつ、ショーンさんが一人ひとりに寄り添ってくださっています。だからこそみんなで信頼しあい、ひとつのゴールを目指す団結力が生まれているんだと思います。

上白石:私は初めましてなんですが、偶然にも日本でショーンさんが演出を手がけた作品は全て拝見しています。古典的な戯曲にショーンさんならではの現代的な風を吹かせているイメージがあったので、今回はどんな風を浴びられるんだろうとワクワクしていました。今回も戯曲通りの言葉ではあるけど、真っ白い空間や椅子、壁にものをかいたり消したりする。現代的なようで、どこにいるかわからないような削ぎ落とされた空間が素敵だなと思っていました。ショーンさんが初日からキャスト・スタッフ全員を下の名前で呼んでいたのが印象に残っていて、ショーンさんと一緒に作って行こうと思えました。

江口ショーンさんの稽古場は日々楽しく、充実していました。すごく面白くてチャーミングな方だなって思っています。

田畑:演出がショーンさん、美術がポール(・ウィルス)さんの作品は『FORTUNE』に続き2回目です。すごく壮大で緻密に計算されていて、ハマるとすごく楽しかった記憶があります。出演しているけど、客席で観たくなるお芝居だなと思っています。

江口のりこ

江口のりこ

田畑智子

田畑智子

ーー400年前の古典作品ですが、今作の特徴や魅力はどこでしょう。

浅野:みんなが言うようにショーンさんの演出がすごくいい。『セールスマンの死』を拝見して、「この人と物を作ってみたい」と思っていたので参加できるのが嬉しいです。非常に真摯ですし、ステップをひとつずつ上がっていくような作り方をしてくれるので、安心してついていける方だと思いました。イギリスの方でシェイクスピアについても熟知されている。新たな『リア王』ができたんじゃないかと思います。

高橋:400年前の物語だけど普遍的だと思いました。テーマとして「老い」や「親子」がある。私は今朝、些細なことで娘に怒られたんです。いつもは「初日頑張って」と背中を叩いてもらえるんですが、今日はなかった。それだけで芝居に影響が出ているんですが、それくらい今も400年前も娘を持つ男親の気持ちは変わらないんじゃないかと思っています。

浅野和之

浅野和之

ーー大河ドラマで段田さんと親子役を演じている玉置さんですが、撮影と舞台の稽古での段田さんの様子はいかがでしょう。

玉置:段田さんは常に段田さんです。どんな役でもどんな現場でもきちんと芯があり、同時にお芝居や役の中を散歩しているような雰囲気。エンジョイするように取り組んでいらっしゃいます。背中を追いかけたい偉大な先輩だと思っています。

玉置玲央

玉置玲央

ーー楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

段田:今までたくさんの名優による『リア王』が上演されてきましたが、別の面から捉えた初めての舞台になっていると思います。会見に参加していないみんなも含めたカンパニー全員で稽古してきたので、仕上がった新たな『リア王』をぜひご覧いただけたらと思います。

 

PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王プレスコールより

プレスコールは、リア(段田安則)が娘たちに自分への愛の深さを問いかけるシーンからスタート。目を引くのは、舞台上に置かれたコピー機やウォーターサーバーだ。OHPによって白壁に地図が投影されたり、コピー機で手紙が印刷されたりと、意外なところで活躍しているのが面白い。

登場人物が腰掛ける椅子や服装を見ても、まるでオフィスのよう。一方で兵士や執事のオズワルド(前原滉)、道化(平田敦子)は時代がかった服を着ており、不思議なバランスで400年前の戯曲を現代の作品に仕上げている。

PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王プレスコールより

段田は年老いて頑固になったリア王を、威厳がありつつ滑稽に演じる。遺産欲しさにお世辞を言って父に取り入るゴネリル(江口のりこ)とリーガン(田畑智子)に騙され、心優しい末娘のコーディリア(上白石萌歌)の真意が見抜けないリアに提言した忠臣・ケント伯(高橋克実)も追放されてしまう様子にハラハラしてしまう。同時に、グロスター伯(浅野和之)の嫡男・エドガー(小池徹平)を陥れようとする異母弟・エドマンド(玉置玲央)の鬱屈した感情から始まる策略も進んでいく。

PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王プレスコールより


PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王プレスコールより


PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより

PARCO PRODUCE 2024『リア王プレスコールより

400年前の王族の物語ではあるが、服装や演出により、どこか身近な家族の話として感じられ、この先の物語がどんな風に、どういった演出で描かれるのかワクワクした。本作は2024年3月8日(金)、東京芸術劇場 プレイハウスでの開幕を皮切りに、新潟・愛知・大阪・福岡・長野でも上演される。

取材・文・撮影=吉田沙奈

PARCO PRODUCE 2024『リア王』プレスコールより