北原里英さん(32歳)が、公開中の劇場版『マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿』に出演しました。



北原里英さん(32歳)



 推理小説の登場人物となり、参加者が話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲームをベースにした劇場版であり、北原さんは事件の舞台となる村に最近移住してきた元看護師・七尾優子役を演じています。


 2008年よりAKB48メンバーとして活躍した北原さんは、2015年にNGT48に移籍後にキャプテンを務め、2018年にNGT48を卒業。卒業後はドラマや映画に多数出演しています。


 2021年、俳優の笠原秀幸さんとの結婚後もYouTube「きたりえチャンネル」ではたびたび自由な姿で話題になり、2023年には小説家としてデビューも。その変遷には、大きな心境の変化があったと言います。


 今回の映画のことをはじめ、さまざまな話を聞きました。


◆「基本的に台本のない世界に生きています」



© 2024 劇場版「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ



――本作は、みなさんが物語の登場人物となり、アドリブで推理していくという特殊なシステムですが、オファーがあった際はどう思いましたか?


北原里英(以下、北原):プライベートで「マーダーミステリー」に挑戦したことはないのですが、今までコロナ禍のオンライン演劇や日テレさんの番組などに参加したことがあったので、実はけっこうアドリブの経験があるんです。


しかも「マーダーミステリー」となると、ある程度の流れやルールを分かっていないとできないから、テストプレイは重ねていました。なので、おそらく他の方よりは、「マーダーミステリー」の経験はあるなという余裕は少しだけありました(笑)。


――個人的には北原さんのYouTubeを拝見していて台本がなさそうだなと思っていたので、そういう意味でも慣れていらっしゃったのかなという印象でした。


北原:そうですね。『テラスハウス』にも出ていましたし、基本的に台本のない世界に生きています(笑)! でもやっぱり実際にやってみたら、本当に周りの方のプロっぷりに圧倒されて、自分は何もできなかったなと反省しました。高橋克典さん、八嶋智人さん、劇団ひとりさんたちはアドリブのプロ! アドリブの神ですから。


それこそひとりさんは同じ事務所の先輩で、もともと大好きだったのですが、この作品ですごく距離が縮まりました。この時期にちょうどわたし、自分の小説のことで悩んでいたりして、相談を空き時間にさせていただきました。なので、いいタイミングで共演させていただいたなとも思っていて。


◆最近は推される側から推す側に



――小説のテーマが素敵だと思いました。30歳目前、夢や友情にもがくアラサー女性4人の共同生活は、題材として同世代の女性の心境に関心があったのですか?


北原:そうですね。やっぱり自分がまったく分からない世界のことは書けないですから。プロの小説家じゃないから、たとえば急に金融会社のこととか書けない。私と同世代の等身大の女性たちに思うことはいっぱいあったので、書けることを書きましょうと。


――グループを卒業してもうすぐ6年になりますが、当時のことを思い出したりしますか?


北原:そうですね。実は最近、K-POPにハマってアイドルが大好きになったので、今は推される側から推す側になったんですよ(笑)。推し活というものを最近するようになったので、より昔のことを思い出すというか、アイドルに対して思いをはせることが多くなりましたね。


あとうれしいことに、最近いろいろな現場に行くと、「ファンだったんです!」というスタッフさんによく会うんです。たぶん当時学生とか子どもの頃にわたしのこと推していて、その子たちが社会に出始めたんですよ(笑)。わたしの握手会に来たことがあるディレクターさんとか、最近めちゃめちゃ多いんです。


わたしレベルでこんなに言われるってことは、大島優子ちゃんとか三歩歩いたら言われるんちゃう? みたいに思うので、やっぱりそれだけAKB48はすごかったんだなって。最近本当に思います。


◆元AKB48メンバーとは“超仲良し”



――同期の方の現在の活躍など気になりますか?


北原:気になるというか、めちゃくちゃ連絡取っているんです。むしろ超仲良しで、同期で旅行に行ったりしています。AKB48って本当に仲がいいので、逆に疑われていると思いますね(笑)。わたしの今でもお友達の半分以上が、AKB48の元メンバーですし、それこそ結婚式でも歌ってもらいましたし、明日も指原に会いますし、明後日もたかみなに会いますし、ほぼ毎日会っているかも。家族より長い時間を過ごしてきてるので。


――感慨深いものがありますね。


北原:それこそたかみなの旦那さんとうちの旦那さんも仲良しで、ふたりで飲みに行くくらいなんですよ。そういう家族ぐるみの付き合いが大人になって増えてきて、嬉しいですね。時代の流れを感じますし、こうやって大人になって家族ができても仲良くできていることに喜びを感じます。


――俳優としての活動のほか小説も出され、SNSも楽しそうに更新されていますが、今のご自身の課題ってありますか?


北原:去年は小説をはじめいろいろやらせていただいたので、今年は去年よりも、大きな新しい挑戦を探していて、トピックを作らないといけないんです。自分のYouTubeチャンネルは楽しいですね。今はチャンネル登録者数10万人を目指しています。


いい意味で“脱・仕事人間”ができた


――二郎系、スクラッチくじ、日高屋など、どことなく男性的なネタが多い印象ですが、あれは理由があるのですか?


北原:いや、そっちの方が伸びるんですよね(笑)。本当はもうちょっとメイクや美容など、自分の好きなものでやりたいんですけど、昼からお酒を飲んだりする動画のほうが、ウケが良くて(笑)。やっぱり再生数は大事なので、どうしてもYouTubeでは、やりたいことと求められていることは違うんじゃないかな。なので今年の目標の中には、もうちょっと美容系を扱って、インスタグラマーを目指していこうか、みたいな思いはありますが(笑)。


――町中華とか意外性ありましたからね(笑)。


北原ボートレースやったら、すごいボートレース界隈から反応があって(笑)。でもコメント欄がとても好意的だったので、まだ知らないところがたくさんあるんだなと。


ただ最近、それこそコロナ禍以降か去年くらいから、すごい考え方が変わってきたんですよ。もともと超仕事人間で仕事が一番好きだったんですけど、やっぱりコロナで一旦みんなストップして、自分を見つめ直すようになって。さらに結婚もして、わたしには家族、本当に帰る場所もできたので、絶対的な味方ができて、ちょっと安心したというか。どうにかなるだろうっていう安心感ですよね。仕事のうち、何かがダメになってもどうにかなるって思い始めたなか、昨年3月は結婚式を挙げました。


結婚式は本当に幸せで。達成感と充実感に包まれて、仕事じゃないことで、こんなことあるんだって思いました。いい意味で脱・仕事人間ができたんです。なので昨年は、海外旅行にも行けました。


――心の余裕ですよね。仕事人間だと自分のオフにも厳しいといいますか、仕事の迷惑はかけられないから休めないという思い込みも強かったかもしれない。


北原:そうですね。今のほうが時代的に多様性で、反対の流れはありますよね。日本人は、働きすぎだみたいなことも言われているし。わたしはミーハーなので、ちゃんとその流れに乗っかって、令和らしく生きさせてもらっています(笑)!


でも旅に出ると視野が広がるので、やっぱりいいなと思いました。それこそ今年は小説の2作目も出したいなと思っているので、そのためにはインプットもできたらいいなと思っているところです。


<取材・文/トキタタカシ ヘアメイク/熊谷美奈子 スタイリスト/山田梨乃>


【トキタタカシ】映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。



北原里英さん(32歳)