2024年3月9日に放送される『R-1グランプリ2024』。初決勝進出の芸人が9人中4人と、これまで以上に波乱を予感させる今大会。そんな謎多き彼らの魅力を、YouTubeでの活動から紐解いていきたい。

参考:【写真】『R-1グランプリ2024』初の決勝進出を決めた、トンツカタンお抹茶

・真輝志

 吉本興業所属のピン芸人。2022年まで「きんめ鯛」というコンビで活動していた。ネタを邪魔しない市役所職員のような絶妙なルックスと聞き取りやすい声質が魅力で、皮肉の効いた毒と幸せな気分になる飴のバランスが素晴らしい。一人コントだけでなく、映像や絵を使ったネタも得意で去年の8月に行われた単独ライブ『今世ぐらいモンスター』で流されたVTRネタはどれも素晴らしかった。特に神がYouTuberとなった設定のネタ『地球の生態系をイジってみたwww』は絶妙なYouTuberあるあると、地球の生命体に対するメッセージが交錯する衝撃的な内容だった。様々なタイプのネタがあり、なにをしてくるか分からない怖さでいえば決勝メンバーのなかでも随一だろう。

・街裏ぴんく

 トゥインクル・コーポレーション所属のピン芸人笑福亭鶴瓶、ケンドー・コバヤシくりぃむしちゅー有田哲平など芸人らも太鼓判を押し、2017年にTBSラジオ『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』の第2回地下芸人まつりで優勝するなど、業界人たちの間では注目され続けている天才。人間の脳に映像を描写させる恐ろしいまでの話術でウソの話を真実かのように語る「架空漫談」と称されるスタイルは唯一無二。見る側の想像力に委ねられるが、ブラックホールのような吸引力で話の世界観に引き込まれてしまう。見終わった後の「なにを聴かされてたんだ…?」という浮遊感はまるで白昼夢のようだ。

 2022年に『しくじり学園放送室』に出演した際は、強面な風貌ながら実は「イジられたい」願望があるなど意外な一面も見せ、今大会の結果しだいではハリウッド・ザ・コシショウのように大ブレイクする可能性も秘めている今大会の優勝候補の一角だ。

・トンツカタンお抹茶

 プロダクション人力舎所属するお笑いトリオ・トンツカタンのメンバー。誰からも愛される明るく元気なキャラクターが魅力の芸人で、ハライチの澤部佑曰く、「ジャングルポケットおたけはんにゃ川島ofレジェンドのハイブリット芸人」と例えられるほど。そんな雰囲気から繰り出されるネタは一度ハマれば抜け出せないほどの中毒性があり、準決勝でも爆発的な笑いの量をかっさらっていた。

 相方でもある森本晋太郎が様々な芸人と100ボケ100ツッコミの対決をするYouTubeチャンネル・タイマン森本に出演した際も、入口に対して小道具がデカすぎて入れない、「なるほどね」と言おうとして「すなるほどね」と噛んでしまうなど、どこまでが天然でどこまでが計算なのか分からない強さがあった。会場の雰囲気さえモノにすれば、ネタ中だけでなくネタ後のトークでも大きく跳ねてくれることだろう。

どくさいスイッチ企画

 普段はサラリーマンとして一般企業につとめるアマチュア芸人。全日本アマチュア芸人No.1決定戦2023で優勝するなど、その実力は確か。銀杏亭魚折(いちょうてい ウォーリー)という名前で落語家としても活動しており、掴みからオチまでが綺麗に構成されたネタは落語のバッググラウンドが反映されている。

 プロとアマが入り乱れて大喜利を競い合うYouTubeチャンネルである「大喜る人たち〈大喜利動画〉」でも頭の回転の速さと発想力を存分に発揮しており、533問目「びしょびしょ株式会社でありそうなこと」というお題ではサラリーマンという特性を活かした答えを連発し会場を沸かせていた。

 大会のネタ順はまさかのトリ。今大会一番の台風の目になることは間違いない。

 この4人に加え、ルシファー吉岡、kento fukaya、寺田寛明、サツマカワRPG、吉住といったいずれも複数回の決勝経験を持つ猛者たちが迎え撃つ。誰が優勝してもおかしくない、まさに「史上最高の大会」になることだろう。お笑いの歴史に名を刻む新たな王者の誕生を心して見守りたい。

(かんそう)

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