凄まじい一撃でガヌー(手前)を圧倒したジョシュア(奥)。(C)Getty Images

 貫録を漂わせる圧勝だった。

 現地時間3月8日サウジアラビアの首都リヤドにあるキングダム・アリーナで、。元WBA、IBF、WBO世界同級統一王者で、現WBC、WBO1位のアンソニージョシュア(英国)と、米総合格闘技団体『UFC』の元同級王者で、WBC世界同級10位のフランシス・ガヌー(カメルーン)が対戦。前者が2回2分38秒でのKO勝ちを収めた。

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 文字通り圧勝。ボクシングの酸いも甘いも熟知する元世界王者が「違い」を見せた。1回に右ストレートでダウンを奪ったジョシュアは、2回にも右ストレートからの左フックでダウンを奪取。ここでガヌーも何とか立ち上がったが、英国戦士は再開直後に繰り出した右ストレートでキャンバスに沈めた。

 熱狂する観客とは裏腹に「当然だ」と言わんばかりに周囲を見渡したジョシュア。リング上での勝利者インタビューで34歳は「これがボクシングだ」とポツリ。総合格闘技から殴り込んできたガヌーをけん制するように言い放つと、「僕にとって今がピークかどうかは分からない。僕はただ毎日成長していくだけ。自分は集中して戦ったし、フランシスを舐めていなかった」と力説した。

 昨年10月にリヤドでのプロボクシングデビュー戦で、WBC世界同級王者のタイソンフューリー(英国)に10回判定負けを喫するも、ダウンを奪うなど大善戦していたガヌー。そんな特大のポテンシャルを見せつけていた“野獣”を寄せ付けなかったジョシュアには、母国メディアも賛辞を寄せている。

 英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』は「破壊」と銘打った記事でジョシュアの鮮烈なKO劇を「強烈な右ストレートを被弾したガヌーは救急隊による治療が必要なほどのダメージを受けていた」とリポート。さらに「恐ろしいKOの直後のリヤドの観客は凍り付いたようだった。ジョシュアは残忍な一撃でボクシングが何たるかをカメルーンの大男に叩き込んだ」と両者の差を伝えた。

 試合後には「5年後にはもう闘っていないと思うから、今を最大限に利用したい」とタイトル戦線に参戦する意思を明らかにしたジョシュア。ガヌーとの異色の対戦を経て存在感を示した34歳は、ふたたび王座をのし上がれるか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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