元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半が経過したところで引退を決意し、現在は同人作品やセクシービデオの脚本など、あらゆる方面で活躍中。
◆有名セクシー女優の「ファンからの差し入れ問題」
私はX(旧Twitter)が大好きだ。暇さえあればタイムラインを眺め、更新→閲覧→更新→閲覧を繰り返し小一時間経過するような廃れた毎日を送っている。
先日、いつもの如くタイムラインを追っていると、「おすすめ」に浮上した有名セクシー女優さんの“差し入れ問題”が目に留まった。すでに火はそこそこ燃え広がっている状況……。多くの意見が様々な方面から飛び交っていた。
わたしは業界のご意見番でもないが、少し気になったので自分なりの意見を述べようと思う。該当するポストの問題についていろいろと思うことがある人、そして差し入れをしたいファンの人はぜひ最後まで読んでほしい。
◆炎上したセクシー女優の差し入れ問題とは
今回の問題を知らない人のために、概要をまとめて紹介しよう。
まず最初に、とある有名女優さんがイベント終了後、ファンからもらったプレゼントと共に写真を掲載。それを見たXの住人が「知名度が高い女の子なのに、差し入れがショボすぎる」や「こんな有名な子に安っぽい差し入れをするなんて、どーいうこと?」とポストを取り上げる。そして引用リツイートが瞬く間にXの海へと広がり、さまざまな界隈から意見が飛び交う事態に……。
この炎上問題は、ポストを投稿した本人が文句を言ったことによるものではなく、外野があーだこーだと騒いで大火事が発生した大変迷惑な例である。SNS上ではよくあることなのかもしれないが、第三者によって話が大きくなるのは本当にいたたまれない。
該当ポストは早急に削除されたものの、しばらくの間は炎上した件について自分なりの意見を述べる人々が絶えなかった。セクシー界隈のみならず水商売など多方面で声が挙がり、その度に燃えたり燃えなかったりして「X上での学級会」は悪い意味での盛り上がりを見せたという……。
◆セクシー女優へのプレゼントがショボいのは本当か?
SNSの住人は皆オタク気質。一つの問題が浮上すると過去のポストを遡って「ああだ!こうだ!」と言ったり、画像を比較したり、リプ欄までしっかり目を通すなど極め方がすごい。
今回の件でも、わざわざ他のセクシー女優の差し入れ画像を探し、「やっぱりこの手の女の子たちを応援する男ってカネないよね」「マジわかってないわ」などと毒っ気のある投稿をするユーザーさえ現れた。
そこで多くの人は「セクシー女優へのプレゼントが全体的にショボいんじゃないか?」と思ったことだろう。この部分についてハッキリ突っ込むと、まぁ基本的に豪華ではないと言える。
わたしも以前の記事で「コンビニなどでテキトーに買ったお菓子や割引商品ををそのまま渡す輩もいる」的な内容を書いたが、それが本当に現実世界で起こっていること。たしかにショボいかショボくないかで言ったら、後者に当てはまるモノが多いのかもしれない。
◆知名度がある=ハイブランドが貰えるのはかなり稀な例
「知名度がある子にはいいものをあげるべきだ!」という意見もあったが、“いいもの”の認識は個人によって異なる。もしかするとお菓子をあげた人にとってはそれが“いいもの”かもしれない。
それにハイブランドやクオリティの高いものが登場するのは、かなり稀な例。“教育されたオタク”なら、たぶん「知名度=高いもの」といった思想を持つのだろうけど、あくまで一部だ。
SNSでは高額なプレゼントを貰った人が目立つものの、氷山の一角と思った方がいい。もらった本人が有難いと思えば何の問題はないし、いらなかったら何も言わずにそっとリリースするのだから外野が騒ぐことではないとわたしは思う。
◆差し入れはあげたほうがいいのか、やめておくべきか
さて、この後は「プレゼントをする側」への話になる。推し活をしているとイベントの度に“推しへ何かあげたい病”にかかるファンも多いが、特にこれといって思いつかないなら無理に渡す必要はない。すでにイベント参加費を支払っているのだから、それだけで十分ではないか。
「行けないけど頑張ってください! 家から念を飛ばします!」というリプを飛ばす謎の勢力とは違うので、現地に足を運ぶだけで立派な応援になっていることを忘れないようにしよう。
活動をする本人たちも、差し入れにそこまで執着はない。参加するなら何か上納しろと思う方が少ないレベルで、ファンが思うほどプレゼントはさほど重要な項目ではないとわたしは考える。むしろ余計なもの(賞味期限ぎりぎりすぎるお菓子とか)を持参して相手の荷物を増やすくらないなら、手ぶらで行こう。それがお互いにとってベストである。
◆どうしてもプレゼントを渡したい時の3つの注意点
それでも、どうしてもプレゼントを渡したい、自分の推し活スタイル的に何かを渡さないと気が済まない、というこだわりが強いオタクたちのために注意点を伝授しよう。
まず一つ目は「推しの好みをリサーチすること」。贈り物とはあげたら終了ではない。渡すことに意義があるのではなく、「相手が喜んでくれるのか?」までを考えなければただの自己満にすぎないのだから、SNS等をくまなくチェックしてからモノを決めるべき。プロフィールに「甘いものが苦手です」と書いてあるのにチョコレートなんて渡したら、ただの嫌がらせにしかならないので嫌われても仕方がないだろう。
二つ目は「決められたルールを守ること」。事務所の方針や界隈によってあげていいもの・ダメなものが定められているため、ルール外のアイテムを持っていってはいけない。
代表的なNGプレゼントは生ものだが、実はアマギフや商品券といった金券も最近では禁止されることが多い。良かれと思って持って行ってもルールに引っかかったらすべてがパーなので、初心者は特に気をつけたい項目である。
◆“熱の入りすぎ”に注意しなければならない
最後は「高額プレゼントを渡せばいい、という思想に陥らないこと」。推しに認知され、TO(トップオタクの略。要するに一番カネを遣うファン)になりたいがゆえにハイブランドのアイテムを投げまくる人もいるが……。
とにかく“参加するだけで十分”であり、熱を入れすぎると自身がのめり込み過ぎるかもしれない。親戚にランドセルを買ってあげるような気持ちならいいが、「認知されたい」「TOになりたい」というはみ出た感情が少しでも湧いていると、いろいろと危ないからだ。
節度を持ってこその推し活。ハイブラのカバンをあげて推しのハートを掴みたいと思ったら、一度冷静になって考えよう。ただただ喜んでほしい以外の願望が浮かんだ時点で、危険ゾーンにいる自覚を持つべきなのである。
◆外野がとやかくいう問題ではない
差し入れ問題は外野が騒ぎ立てることではないし、今回は業界外の人間が余計な油を注いでお祭り騒ぎにした点がものすごく気になった。別にわたしはセクシー女優もそのファンをもかばう気はないが、迷惑を被った人が出てしまった事実をみんなもっと知った方がいい。
SNSの盛り上がり一つで、物事は良い方にも悪い方にも転ぶ。「そんな差し入れ問題で大げさな」と思われるかもしれないが、今一度大人たちは正しいSNSの使い方を見つめ直す機会なのかもしれない。
文/たかなし亜妖
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
―[元セクシー女優のよもやま話]―
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