この記事をまとめると
■日産がモーター駆動の4輪駆動車に採用する技術が「e-4ORCE」だ
■4輪駆動技術とモーター制御技術を融合させたe-4ORCEなら電動車を高い操縦安定性と乗り心地に仕立てることが可能
■e-4ORCEはモーター駆動制御のためEVだけでなくe-POWERにも採用することができる
日産の電動4輪駆動車に搭載される「e-4ORCE」
日産自動車が、電気自動車(EV)やハイブリッドのe-POWERの4輪駆動車で採用するのが、e-4ORCE(イー・フォース)だ。要は、モーター駆動のクルマの4輪駆動技術を指す。
日産によれば、電動技術と4輪駆動制御技術、そしてシャシー制御技術を融合させ、走る/曲がる/止まるの各性能を飛躍的に向上させることにより、力強く滑らかな走り/乗る人すべてに快適な乗り心地/卓越したハンドリング性能/路面を問わない安心をもたらすとのことだ。
日産は、かつてサファリという悪路走破に長けた4輪駆動車を国内でも販売し、その後、901運動(1990年までに技術で世界一のクルマをつくる)などを反映して、トルクスプリット式4輪駆動や4輪操舵などを実現。その象徴的な車種としてGT-Rが復活した。
そうしたこれまでの技術の集大成として、また2010年にEVのリーフを発売して以来磨いてきたモーター駆動制御にそれら知見を適応して導かれたのが、e-4ORCEといえる。
もちろん、4輪駆動についてはSUBARUが早くから乗用車への適応をはじめ、水平対向エンジンによるシンメトリカルAWD(4輪駆動)として高い評価を得ているし、三菱自動車工業もパジェロやランサー・エボリューションなどの開発を通じて、電子制御を駆使した4輪駆動を進化させ、パリ・ダカール・ラリーやWRC(世界ラリー選手権)での優勝など、その優秀さは折り紙付きだ。
モーターはエンジンよりも圧倒的に応答が速い!
そうしたなかで、e-4ORCEを特徴づけるのは、モーター駆動であることだ。モーターの応答性は、エンジンの約100分の1の速さとされる。また、モーターは、回生を使うことでブレーキに依存せず減速することができる。加速と減速の切り替えも、エンジンに比べ100分の1速い応答であるということは、人が気づきにくいほど早く、走行状況や路面変化に応じて瞬時に制御できることになる。回生を用いることで車体の姿勢変化も抑制し、乗員に余計な揺れを覚えにくくさせることにも役立つ。
4輪駆動技術そのものの知見はもちろんだが、モーター駆動であることがなにより重要で、それがエンジン車や従来のハイブリッド車(HV)に比べ、EVを飛躍的に高度な操縦安定性と乗り心地に仕立てる潜在能力となっている。日産のe-POWERは、EV技術を基にしたモーターのみでの駆動であるため、EVでもe-POWERでも、e-4ORCEを採用でき、そこが独自性となっている。
したがって、EVのアリアはもちろん、e-POWERのエクストレイルでもe-4ORCEを使えるのであり、将来的にGT-Rが電動化されると仮定した場合には、e-4ORCEが威力を発揮するのではないかという期待も高まるのである。
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