トランプ米前大統領

アメリカ大統領選を今年11月に控え、ドナルド・トランプ氏の支持者がAI生成による偽画像を共有しているという。偽の黒人有権者の画像を拡散し、大統領選挙で優位を得ようとする行為が疑われている。『BBC』がレポートしている。

 

■AI生成の偽画像が拡散

アメリカ前大統領ドナルド・トランプ氏が、フロリダ州の保守的なラジオ番組の黒人女性たちと一緒に微笑んでいる画像がFacebookに投稿され、注目を集めていた。

BBC』の調査で、この画像はドナルド・トランプ氏の支持者によってAIで生成された偽画像であると判明。黒人有権者がトランプ氏を支持するかのように示唆するため、拡散しているものだった。

トランプ氏に関係する偽情報は、これが初めてではない。2016年の大統領選挙の際、ヒラリー・クリントン候補の健康状態に関する虚偽の報道や、違法な行為を告発する陰謀論などが拡散されていた。さらに、ロシアの干渉による情報操作が浮上したほか、ソーシャルメディア上で偽のアカウントによる不正確な情報が拡散したこともあった。

 

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■偽画像の影響

黒人有権者は歴史的に民主党を支持する傾向にあり、偽画像の拡散はトランプ氏の保守党への支持を高めるために行われたと考えられる。画像によるアピールは視覚的な説得力があり、トランプ氏が黒人コミュニティに支持されているという印象を与える効果を狙っているようだ。

BBC』は偽画像の出どころを突き止めるべく、調査にあたった。するとアメリカ・ミシガン州に住む「Shaggy(シャギー)」と称するX(旧・ツイッター)アカウントにたどり着き、偽画像について質問を投げかけたところ、『BBC』のアカウントがブロックされたと伝えている。

「Shaggy」が投稿した画像は130万回以上も閲覧されており、批判のコメントもあるが、一部ユーザーは本物だと信じていると推測できるという。

 

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■偽画像にMeta社も警告

Facebookなどを運営するMeta社で、外国影響力作戦の責任者を務めていたベン・ニモ氏は、「このような偽物によって引き起こされる混乱は、選挙操作を目論む外国政府にとっても新たな機会を与える」と述べた。

また、「ソーシャルメディアのプラットフォームは、偽の自動アカウントを特定する機能が向上しており、ユーザーの獲得が難しくなっている」と指摘。そのため分裂や誤解を招く情報を拡大するために、「運営側は本物の人々を取り込もうとしている」と言及した。

近年、主要なソーシャルメディア企業は潜在的な影響力作戦への取り組みを強化しており、選挙中にAIが生成したコンテンツに対処するため、新たな措置を導入しているという。

トランプ氏が黒人有権者と並ぶ偽画像が拡散 米大統領選の宣伝のため支持者がAIで生成