その自由な言動が悪目立ちし、物議を醸しているガルシア。今度は総合格闘技参戦を宣言した。(C)Getty Images

 ボクシング界の“ホープ”だった男の奔放な言動が波紋を広げている。元WBC暫定ライト級王者のライアン・ガルシア(米国)のそれだ。

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 一部のファンやメディアの間で物議を醸したのは、先月26日の米ポッドキャスト番組『The MMA Hour』に出演した際のガルシア本人の発言である。来る4月20日WBCスーパーライト級王者のデビン・ヘイニー(米国)とのタイトルマッチに挑戦する予定となっていた25歳は、「もうすでにダナ(UFC会長)にもメッセージを送った。彼の周囲にいる人たちにも、お願いしてもらっている。『これ、やろうよ』ってね。ヘイニーとの試合後に実現させたい」と総合格闘技の最高峰とされる米団体『UFC』参戦をぶち上げた。

 相手としたのは、UFCバンタム級王者に君臨するショーンオマリー(米国)。しかも、自身の土俵であるボクシングルールではなく、MMAルールで「ノックアウトするつもり」だという。「3~4か月はほしい」と論じるガルシアは、「俺は自分のすべてを懸けて、相手の土俵で、王者であるオマリーを倒す」と意気込んだ。

 実現すれば、それなりのPPV売り上げが見込める話題性十分の一戦にはなる。ただ、MMAとボクシングは同じ格闘技ではあるが、全く異なる動きや感覚が求められる。ゆえに「凡人に理解できないコンディショニングを保っている」と息巻くガルシアも、現役王者と対峙するのは容易ではない。むしろ危険性すらはらんでいる。

 無論、聖人君主を求めるわけではない。だが、ガルシアの相手や競技を軽んじる言動は以前から悪目立ちしていた。23年4月に世界3階級制覇王者ガーボンタ・デービス(米国)との一戦で敗れて以来、敗北から目を背けるようにメディアを巻き込んだトラッシュトークに終始。何かと世間を騒がせていた。

 今年1月には、インスタグラムのライブ配信中に「僕たちが、140(スーパーライト級)で戦ったらどうなるんだろう」「日本でやるとしたら、間違いなくとてつもないビッグマッチになる」と、自身より4階級も下にいる井上尚弥(大橋)に“非現実的”な対戦願望を突きつけ、「ガルシアは“セレブ・ボクサー”に変身しつつある」(英メディア『Boxing News 24』)と批判されてもいた。

 四方八方に仕掛け、敵を作りながら己の存在感を強めようとするガルシア。その手法は、リングで結果を残してこそとも言えるが、果たしてどうなるか。UFC参戦プランの行く末を考えてもヘイニー戦は彼にとってキャリアの分岐点となりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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