連日訓練が激しく行われ、多数の機種の発着が間断なく続く、沖縄の嘉手納基地。しかし、平日でもほぼ騒音のしない日があります。どのような理由からなのでしょうか。

航空機の“デパート”のような発着数

沖縄県の米空軍嘉手納基地は、中国が海洋進出を強める中、アジアの自由を守る役割がかつてないほど高まっています。そのため飛行訓練が日々行われています。ひっきりなしといえるほど航空機の発着が多いこの基地が、実はとても生活感のある理由で、沈黙するときがあります。

嘉手納基地で見られる機種は非常に多く、さながら航空機の“デパート”のようです。戦闘機なら、嘉手納基地にまだ残るF-15Cイーグル」や、米国へ去った同じF-15Cの代わりに米本土からローテーション配備されたF-35F-15Eストライクイーグル」が訓練空域に飛び立ち、帰投後は「タッチ&ゴー」と呼ばれる離着陸訓練を繰り返します。

その合間にAWACS(空中早期警戒管制機)であるE-3が離陸します。中国や北朝鮮内の無線・通信傍受という“平時の中の実戦”へ向かうのでしょう。電子戦機のボーイングEC-135も飛び立ちます。このほか、米海軍機のP-8哨戒機の発着もあり、平時は航空機のエンジン音が聞こえなくなる時はないといっていいくらいです。

しかし3月6・7日はうってかわって、同基地からいつものエンジンの轟音が、ほぼ消えていたのです。

なぜ嘉手納基地は「沈黙」した?

これらの日、実は沖縄県では県立高校項の入試が行われていたのです、

航空関係者に向けた、空港などの運用状況を伝える通達ツール「NOTAM(ノータム)」にも、嘉手納基地にむけ「高校入試のため、(入試日を含む)3月5日から7日までは上級司令部の命令や医療上の緊急事態を除き出発やエンジン始動を行わないように」と要請が出されていました。

ただし、基地に面して撮影・見学スポットとして名高い「道の駅かでな」に来た観光客や修学旅行の学生たちはそれを知りません。両日は雨交じりで雲も厚く低く張っていたために、訓練は天候により行われなかったと思った人たちもいました。

道の駅の展望台から静かになった嘉手納基地を見ると、P-8やKC-135空中給油機などの大型機は屋外に置かれているものの、戦闘機のほとんどはシェルターに入っていました。こうした光景を見ると、基地周辺に日常の生活を営んでいる人々がいることに目を向ける必要を改めて教えてくれます。

その日常がある一方、米中の緊張も無視できぬものがあります。6日午後には、2023年11月から嘉手納基地での運用を始めた無人偵察機MQ-9が1機離陸していきました。プロペラ音は道の駅まで聞こえぬほど静かではありましたが、偵察と監視に休日はないことを示していました。

高校の入試は、子供たちの将来を決めるのに重要なことは誰もがうなずくことです。そして、嘉手納基地の重要性も現状を鑑みれば、変わることはないでしょう。それだけに、今後も基地周辺の人々の日常に配慮して、訓練がなされることを切に望みます。

嘉手納基地で実施されたエレファントウォークの様子(画像:アメリカ空軍)。