期待の西川は2安打に加え、華麗なダイビングキャッチも見せた(C)産経新聞社

 3月6、7日に侍ジャパンと欧州選抜の強化試合が行われた。

 結果は2試合とも侍ジャパンが勝利し、特に第2戦は6人の投手でパーフェクトリレーを達成。投手陣は第1戦も含めて18イニング無失点と、相手打線を全く寄せ付けなかった。打線も初戦は11安打5得点とまずまずの出来で、秋のプレミア12に向けて視界良好といったところだろうか。

 本稿では強化試合でアピールに成功した選手についてまとめたい。

【動画】侍ジャパンが欧州代表を圧倒!6人の投手で「完全試合」を達成した第2戦のハイライト

■大学生の堂々たるパフォーマンス
 若手中心のメンバーの中で、大学生の活躍が大きな話題を呼んだ。

 外野手の西川史礁(青山学院大)は初戦で途中出場から2安打をマーク。第2戦ではWBCラーズ・ヌートバーを思い起こすようなダイビングキャッチで、完全リレーを演出。今回の強化試合で最もインパクトを残したと言って良いだろう。初球からどんどん振りにいき、一発で仕留める打力は国際大会向き。経験の少ない中堅を守れる姿を見せたのもポイントが高い(※龍谷大平安高では遊撃手、大学では昨秋まで左翼手)。

 第2戦で先発した金丸夢斗(関西大)は2回4奪三振の快投。球数はわずか24球に収めた。出所の見にくいテークバックから150キロ前後の直球とスプリットチェンジアップを投げ分け、欧州打線は手も足も出ず。トップチームでも「ドクターK」として活躍が見込めそうだ。

 金丸を継いだもうひとりの大学生投手・中村優斗(愛知工業大)も持ち味を発揮。自己最速タイの157キロをマークし、縦に割れるスライダーで三振を奪う場面も。こちらは先発だけでなくリリーフ適性もありそうで、秋にはブルペン陣の一員として再び選ばれるかもしれない。

 次代を担う遊撃手・宗山塁(明治大)は直前に右肩甲骨の骨折が判明したため、出場機会なしに終わった。それでも源田壮亮(西武)とともに守備練習に励むなど、トップチームの空気感に触れた。

■初選出組で目立ったのはオリックス
 プレミア12の本番に向けて、多くの選手が初めてトップチームのユニフォームに袖を通した。

 その中で目立ったのは、紅林弘太郎山下舜平大オリックス勢。今回は本拠地・京セラドーム大阪での開催で、まさにホームのファンの声援に乗って活躍した形だ。

 紅林は昨秋のアジアプロ野球チャンピオンシップAPBC)で選ばれていたものの、怪我の影響で辞退。今回が改めての初選出となると、初戦でいきなり適時打を放つなど2安打1打点の活躍。守備では本職ではない三塁を無難にこなしており、首脳陣にとっても起用の幅が広がりそうだ。

 山下は初戦の4番手として登板し、2イニングを1安打無失点2奪三振。何度も160キロに迫る剛速球を投げ込み、場内を沸かせた。デビュー年の昨季に9勝、防御率1.61と強烈なインパクトを残し、今季は右のエースを襲名するシーズン。順調にいけばプレミア12メンバーの選出は濃厚で、早くも海外の打者をねじ伏せる姿が眼に浮かぶ。

■パーフェクトリレーに貢献した投手たち
 第2戦のパーフェクトリレーに貢献した投手たちにも触れないわけにはいかない。

 初選出の松山晋也(中日)は金丸、中村の大学生2人の後に登板。多少のやりづらさはあったかもしれないが、心配無用とばかりに剛腕ぶりを披露。自己最速を更新する156キロをマークするなど、大卒2年目の今も成長を続ける。

 松山と同様に初選出だった渡辺翔太(楽天)も1回を2奪三振の好投。特殊球・パームボールで空振りを奪うなど、持ち味を存分に発揮した。

 APBCの韓国戦で快投劇を演じた隅田知一郎(西武)は、三者連続3球三振に抑える「イマキュレートイニング」を達成。決め球は全て魔球・チェンジアップとさすがの投球を見せた。

 最後を締めたのは種市篤暉ロッテ)。この日投げた中で“最年長”25歳の右腕は、2回3奪三振と貫禄の投球。昨春はWBC前のサポートメンバーとしてトップチームに招集されたが、今季は先発の柱として活躍し、プレミア12のメンバーに選ばれたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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