ミニオンズ』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』などを打ち出してきたIlluminationの新作アニメーション映画『FLY!/フライ!』が公開を迎える。マカロニえんぴつ書き下ろしの主題歌『月へ行こう』は、狭い場所しか知らないカモの家族が大冒険をする物語のエッセンスを、一つひとつの歌詞やメロディに落とし込んだ。

「聴いた人が、暗い気持ちにならないような歌にしたい」――作詞作曲を担当するボーカル&ギター・はっとりが込めた思い、そして、メンバー全員で目指した音作りとは。

映像の臨場感、精神的な成長、そして家族愛

――Illumination新作『FLY!/フライ!』は、一度も故郷を出たことのないカモの家族が、外の世界を夢見て飛び出し大冒険する物語です。映画をご覧になって、どういった印象ですか?

はっとり(Vo, G) 『FLY!/フライ!』は波乱万丈がわかりやすく、ユーモアに富んでいて、皮肉めいた描写もある。とくに小さな子は夢中になって観るだろうな、と思いました。僕がいちばんすごいな、と思ったのは、飛翔しているシーンの映像の迫力です。僕たち人間は絶対に経験できないじゃないですか、飛んでいるときの主観のアングルは。自分も一緒に飛んでるんじゃないかっていうドキドキ感がありました。

田辺由明(G, Cho 今までずっと安住の地で暮らしていたカモの家族が、あるきっかけで決意をして、外の世界に出ていく。そして、出ていった瞬間からけっこう怖い目に遭っちゃうっていう。でも「最高だった、もう一回行こうぜ!」なんて言ったりして、苦境も楽しんでるんですよね。僕もそういう生き方をしたいな、と。

(C)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

高野賢也(B, Cho キャラクターの見た目や表情から、世界に入り込みやすい作品ですよね。Illumination作品はもちろん、海外のアニメーション作品って、キャラクターが無言でいても「寂しいのかな?」って感情が伝わってくるんです。このカモの家族たちも、冒険に出た瞬間に危ない目に遭ってしまうけど、新しいことに挑戦することで大人になる。その変化がリアルで、かつ精神的な成長も感じました。

長谷川大喜(Key, Cho それでいうと、僕もお父さんカモのマックが見せた心変わりに、すごく感動しました。 ずっと故郷の池から出るのを渋っていたマックが、知らない世界を見てみたい、冒険したいっていう家族のために「よし、出るぞ!」って勇気を出す。家族や仲間を、体を張って守る。そんな気持ちの強さが移り変わっていくのを見て、自分も、安心な場所に居続けるだけじゃなく攻めようって思えました。音楽でもそうですし、人としても。

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演奏している姿が浮かぶような音像に

――今回のオファーを受けたときの気持ちを聞かせてください。

はっとり 『ミニオンズ』シリーズも人気ですし、他の有名な作品も観ていたので、主題歌のお話は嬉しかったです。受けない理由がありませんでした。信頼感のある素敵なアニメーション・スタジオだと思っていたので、一層、頑張らないと、と思いながら曲作りに入りました。

――曲作りの過程で、どんな点を意識されましたか?

はっとり 作品のテーマから離れすぎないようにしました。自分の小さな気持ちの変化、あるいは変わることのない大事な美学とか、そういったものを「月」っていう大げさな言葉を使って表現して。この映画が打ち出している「誰かのための愛情」とか、そういったメッセージを汲み取りつつも、聴く人が決して暗い気持ちにはならない歌にしたい。そう考えながら作っていました。

――今回は、メロディーと歌詞と、どちらから先に作っていったんですか?

はっとり 僕の場合はだいたいメロディーが先なんですが、今回はメロディーと歌詞と、同時に作ることを心がけました。最初はギターで弾きながら、サビの部分ができあがるまでにいろいろと、メロディーやリズムを変えたりして。

サビについては、苦戦しましたね。何パターンか考えながら作ったので、サビだけメロディー先行でした。今回のように、歌詞が同時にできることのほうが少ないです。でも、そうして仕上がった曲のほうが、振り返っても良い思い出になってますね。サビで苦戦したぶん、アレンジにはそこまで時間はかからなかったです。

――レコーディングの際に注力した部分について教えてください。

はっとり 最初から最後まで、一曲の流れを楽しんでもらえるようにしました。最近は曲の展開がデジタルなものが流行っているけど、僕はあまりぬくもりを感じないと思っていて。たとえば、人の身体は走ったら息が上がって、心臓がバクバク鼓動しますよね。そんなふうに、気持ちが焦るにつれて曲のテンポも上がっていくような、自然さを大事にしたかったんです。今回の『月へ行こう』も、セクションごとに少しずつテンポを変えています。

田辺 今回のレコーディングでは、とてもセッションライクなことができました。音源を聴いただけで、僕らがライブで演奏している姿が思い浮かぶような音像にできたんじゃないかな、と。一曲を通して、何回でも聴きたくなるような音作りを目指しました。

はっとり(Vo/Gt)
高野賢也(Ba/Cho

長谷川 基本的にキーボードレコーディングは「スタンダード」と呼ばれる、そのまま現場から卓に繋いで信号を送る手法で進めるんですけど、今回はあえてアンプで出した原音と、ちょっと離して置いたオフマイクから場の音を録るやり方にしました。

さっき、はっとりくんが「ぬくもり」と言ったように、そのほうが温かみが出ると思ったんです。はっとりくんが作ってくれた曲や歌詞を、さらにぬくもりのある感じにするためにはどうしたらいいか。そう考えながらレコーディングしました。

高野 今回に限らないんですが、念頭に置いていたのは「歌を殺さないようにする」ということ。キーボードソロやギターソロ、歌詞もワンコーラスで、ベースとしての自分の立ち位置が見えやすい曲だな、と思いました。音域はもちろん、フレーズや音の長さも。

サビの後半でシンセベースが入ってきて、本来そこはシンセベースのみの予定だったんですが、1サビと2サビで違うベースの動きをしたくて。空気感とか抑揚についてはシンセベースだと表現しづらいので、場面の切り替えをはっきりさせるように意識しました。

2024年マカロニえんぴつの「好奇心」

――映画『FLY!/フライ!』や主題歌『月へ行こう』のタイトルにちなんで、マカロニえんぴつの皆さんがいま行きたい場所、あるいは「好奇心が高まってます!」っていう趣味はありますか?

はっとり 最近、犬を飼い始めたんです。ポメラニアンプードルミックスなんですけど。だから、早くドッグランに行きたいです。早い段階から、ほかのお友達の犬に慣れてほしくて。次のワクチンを打ったら散歩に行けるので、やっと公園デビューできます。

長谷川 僕は最近、オフロードに興味があって。たまたまYouTubeで見たんですけど、バイクじゃなくて、タイヤが大きくてごつい車で、道じゃない道をガンガン走っていくんです。それこそ、山の上とか水の中とか砂漠とか。日本でも体験させてくれる場所があるらしいので、挑戦してみたいです。

田辺由明(Gt/Cho
長谷川大喜(Key/Cho

高野 これまで海外に行ったことがなくて、今年の2月3日の韓国ライブが僕にとっての初海外でした。たぶんこういうきっかけがなかったら、新しい体験ができなかったと思うので、これを機にプライベートでも海外旅行したいです。古い建物を見るのが好きなので、ポルトガルとかスペインの街並みに憧れます。

田辺 それでいうと、僕も韓国に行ったのをきっかけに「外国語を学びたい!」と思い始めました。韓国の方って、複数の言語を話せるのが普通じゃないですか。シンプルに「すごいな〜!」と思って。だから、別の国の言語を学んでみたいです。

はっとり もちろん、ドイツ語でしょ?

田辺 うん、そうね、ドイツ語にしようか! 英語もまったく話せないから、いきなりはちょっと難しそうだけど……。

――みなさんお忙しいなか、新しくチャレンジしたいことを見つけているんですね。好奇心を高める、あるいは保つコツはありますか?

はっとり やっぱり自分から動くこと、ですかね。僕たちも「前の作品よりセールスが落ちたらどうしよう」とプレッシャーと戦いながら、かつ楽しみながら、そのときにできたものがすべてだという気持ちで活動しています。いろいろと頭で考えたことを先行させずに、少しでも興味のあるものがあったら、とりあえずやってみるのが良いんじゃないでしょうか。

取材・文:北村有 撮影:友野雄

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<作品情報>
映画『FLY!/フライ!』

3月15日(金) 公開

(C)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

配給東宝東和
製作クリス・メレダンドリ
監督:バンジャマン・レネール
脚本:マイク・ホワイト

日本語吹替版キャスト:堺雅人マック役)、麻生久美子(パム役)、ヒコロヒー(チャンプ役)、黒川想矢(ダックス役)、池村碧彩(グウェン役)
羽佐間道夫(ダンおじさん役)、野沢雅子エリン役)、関智一(デルロイ役)、鈴村健一(グーグー役)

マカロニえんぴつのチケット情報:
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=E7010019

マカロニえんぴつ