山﨑康晃

「チャンスを掴む立場ですから」。横浜スタジアムで今シーズン初のピッチングを終えたベイスターズ山﨑康晃は、改めて自らの立ち位置を確認するようにこう発した。

 

■ツーピッチから脱却の山﨑康晃

山﨑はプロ入り以来、抑えの切り札としてチームに貢献し続けたが、6年目からスランプに陥った。周囲からは勤続疲労を疑われるなど苦難の時代を迎えたが、22年には守護神に返り咲き、37セーブと不屈の右腕を蘇らせている。しかし昨年はセーブミスが相次ぎ、7月中旬からは9回の座を剥奪されるなど、忸怩たるシーズンとなってしまった。

再び輝くために、ストレートとツーシームの“ツーピッチ”からの脱却を目論み、キャンプではカットボールやチェンジアップと新球の会得に挑戦。8日のピッチングでは先頭打者と次打者をカットボールで料理し、最後のバッターのみストレートを投げるなどニュースタイルを披露した。

 

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■カットとストレートに手応え

1回を3人で抑えた山﨑は「今日に関しては戸柱(恭孝)さんの組み立てもあったので、それを僕も尊重して一度も首を振ることなかったです。コンスタントに引き出しを広げながらできました」「結果を見たら使っていけそうだね、自信持っていこうねと、コミュニケーションを取ってできました」と満足げだ。

具体的には、左バッターのカットに「内にえぐるような感覚。非常に楽にカウントを整えられました」と手応えを口にする。最速149キロを記録したストレートにも「出力をどんどん上げていきたい。ここまでは順調です」と自己評価していた。

 

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■譲れない9回マウンド

ターゲットとなる守護神の座について「僕自身、そこを追い求めてシーズンオフからずっと積み重ねてきているので。ただ競争の中なので、もっともっとレベルを上げてチームの中でも成長したいと思っています」「森原(康平)さんや伊勢(大夢)も、(J.B.)ウェンデルケンも、みんなあの場所で投げたいと思っています。まずそこに勝っていかないと9回は投げられないので、肝に銘じて、心を鬼にして自分を引き締めていきたいと思います」と目をギラつかせた。

残り23セーブで、過去3人しか達成していない250セーブに到達する山﨑康晃。今シーズンでの名球会入りのためにも、9回のマウンドは誰にも譲れない。

 

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■執筆者プロフィール

萩原孝弘:1971年生まれ。生まれも育ちも横浜の生粋のハマっ子で、大洋が横浜に移転して以来、一貫してホエールズ〜ベイスターズファン。

23年のオフィシャルイヤーブックもライターとして参加した。あくまでもファン目線で、独自のインタビューコラムや記事を各媒体で執筆中。

【DeNA】“小さな大魔神”山﨑康晃が復権へ向けニュースタイルで掴む守護神の座 「肝に銘じ心を鬼にして…」