TVアニメ「ゆびさきと恋々」(毎週土曜夜22:30-23:00ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラスTVerHuluLeminoほかで配信)の第10話が3月9日に放送された。ついに逸臣と対峙する桜志。幼い頃から雪と一緒に成長してきた桜志の切なすぎる恋に多くの視聴者が涙した。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】桜志(CV:大塚剛央)にぐいぐい絡みにいく逸臣(CV:宮崎遊)

■TVアニメ「ゆびさきと恋々」とは

ゆびさきと恋々」は、「月刊デザート」(講談社)にて連載中の、森下suuによる同名漫画のアニメ化作品。聴覚障がいのある女の子・雪と世界を旅する大学の先輩・逸臣のピュアラブストーリーがSNSを中心に反響を呼び、累計発行部数380万部突破(電子含む)、「第11回ananマンガ大賞」「このマンガがすごい!2021」などの数々の賞にランクインしている。

アニメーション制作を亜細亜堂が手がけ、監督・絵コンテを村野佑太、キャラクターデザインを酒井香澄、音楽を橋本由香利が担当。糸瀬雪役は諸星すみれ、波岐逸臣役は宮崎遊が務める。

■お泊まりで逸臣と雪の世界が1つに

いずみ(CV:髙橋ミナミ)から、雪が彼氏だと思われる人物と一緒にいたと聞いた桜志(CV:大塚剛央)。「もっと素直になりなよ」と言われ、意を決した表情で雪に電話をかけるも、雪は出なかった。

その頃、雪は逸臣の家でお泊り中。いつもとは違うシャンプーですら雪をドキドキさせる。そんな雪の緊張をほぐそうとしてくれているのか、逸臣は一緒に映画を観ようと提案。テレビの音を消し、映画の字幕版を雪と観る。

そんな中、再び着信が。桜志かと思ったが、相手はバイト先を紹介できそうと言っていた友人のまどか(CV:菱川花菜)だった。面接を受けられることになり、ホッと胸をなでおろす雪。一方、逸臣は早口で喋りながら手話を使うまどかに驚く。まどかは中途失聴で、口で話すのを忘れないために日常的に発話と手話を同時に使っているそう。「そういう人もいるんだな」と逸臣。

色んな人がいて、それぞれ見ている世界も異なる。その壁を越えるのに、海外を飛び回っている逸臣は躊躇がない。土足で踏み荒らすこともせず、リスペクトを持って相手と目線を合わせ、同じ世界を見ようとする。今回のお泊まりではそんな逸臣の姿勢が顕著に現れ、2人の境界線がどんどん曖昧になって世界が1つになっていくのを感じた。

雪も逸臣に引っ張られ、バイトをはじめ、色んなことに挑戦しようとしている。そういう雪に逸臣は無理をさせない。「雪が大事だから」と夜も雪をベットに寝かせ、自分はソファーで眠る逸臣。そんな逸臣の優しさに包まれながら過ごす夜は雪にとって特別なものとなった。

■桜志の切なすぎる恋に視聴者涙

後日、大学で桜志が逸臣を待ち構えていた。最初から好戦的な態度の桜志に対し、「友好的にいこうや」と肩を組む逸臣。そのまま抵抗する桜志を強引に連れ去る。2人きりになると、好きなパンは? 好きな学食は? サークルは?と質問攻め。桜志に「関わりたくない」とまで言われても、逸臣は一切怯まない。それどころか、何でも言うことを聞くという条件で桜志を自分のバイト先に連れ出すのだった。

逸臣に対抗するようにビールを飲んだ桜志は酔いつぶれ、お店で寝てしまう。夢で見たのは過去の記憶だ。子供の頃、姉の実桜(CV:庄司宇芽香)に連れられ、夏休みに毎日盆踊りの練習に通っていた桜志。そこで出会ったのが雪だった。

お祭りの日、桜志は雪と初めて手話で会話する。桜志は実桜が持っていた本でいつの間にか手話を覚えていたのだった。きっと繰り返し練習したのだろう。それなのに最初に伝える言葉が「アホ」とは、素直じゃない桜志らしい。けれど、そんな言葉でさえも、雪はみんなが花火を見上げる中、桜志の方を見て受け取ってくれる。

「まるで 自分たちだけの暗号みたいで そこから生まれる表情も感情も 口で話すのと何も変わりはないのに特別に見えて 手話に どんどんハマっていった」

その感情を人は恋と呼ぶのかもしれない。けれど、桜志にとってはどこにもカテゴライズして欲しくないほど大切に長年温めてきたものなのだ。それなのに突然現れた逸臣に雪の心も視線も奪われてしまった。

「いつ どこで出会ったとしても いいなって思って俺は雪を選んでいくんだよ」と逸臣。過ごした長さは関係ない。それはきっと桜志も分かっている。それでも抑えられない苦しみを、痛みを、桜志は怒りでしか表現することができなかった。けれど、逸臣の大きな器に怒りを全て受け止められ、いつの間にか桜志の目から涙が溢れる。自分をグリグリと撫でてくる逸臣の手をはねのけ、「もし あいつを泣かせたりするようなことあったら…そんときは男がいようが関係ねえから!」と凄む桜志。

雪を誰にも奪われたくない気持ちを自覚し、本当のスタートを切った桜志に、視聴者から「桜志の誰にも言えなかった雪への気持ちを吐き出してるのが本当不器用で胸が熱くなる」「バカだな、桜志。一緒に泣いてやるよ」「面倒くさいヤツだけど憎めない」「頑張れ!桜志くん!!!」と心を寄せるコメントが上がる一方、ライバルにも寛容な逸臣に「桜志の事すら受け止めて“お前の事嫌いになれない”と言えてしまうんだから勝てないよね」「逸臣さん、万人にモテるんだろうな。器がでかい」「顔も中身もイケメンすぎる」という声が上がった。

◆文=苫とり子

テレビアニメ「ゆびさきと恋々」第10話が放送/(C)森下suu・講談社/ゆびさきと恋々製作委員会