幼少期のヒーローだったイチロー氏(左)との初対面をイ・ジョンフ(右)はついに叶えた。(C)Getty Images

 自身の“ヒーロー”との邂逅は大きな刺激となったようだ。現地時間3月10日、米アリゾナ州ピオリアで行われたマリナーズとのオープン戦の前に、ジャイアンツイ・ジョンフは幼少期からの憧れであったイチロー氏(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)との対面を実現させた。

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 かつて中日ドラゴンズ助っ人だったイ・ジョンボム氏を父に持ち、愛知県名古屋市に生まれ、幼少期を日本で過ごしたイ・ジョンフにとって、同じ左打ちでもあったイチローは「あんな選手になりたい」と強い憧れを抱く英雄的存在だった。

 そんな自らのロールモデルとついに対面できたのだ。韓国メディア『MK Sports』によれば、かつてマリナーズで指揮を執ったボブ・メルビン監督(現ジャイアンツ指揮官)の仲介があって実現した対面は「とてもクールなものだった」(メルビン監督談)という。

 当然、昨年12月にジャイアンツとの契約を締結し、今季からメジャーリーグでの挑戦を始めるイ・ジョンフにとって、心強いものともなった。マリナーズとのオープン戦後に『MK Sports』などの取材に応じた25歳は、「ここまで(遠征で)来た甲斐があった」と笑みを浮かべ、イチロー氏と出会えた胸中を打ち明けている。

「とにかく監督のおかげです。まず何よりもオーラが別格だったし、僕の方が身長も体重も大きいのに、なんだかカリスマが特別でした」

 では、憧れの“アイドル”といかなる会話を交わしたのか。「打撃についてはあんまり聞きたくなかった。『どう打つんですか?』なんて質問は小学生みたいだからしたくなかった」と語ったイ・ジョンフは、こう告白している。

「『何をどう打つか』のような質問も悪くはないですけど、個人的に意味がない質問だと思って。イチローさんといえば、自己管理、そして試合への準備を徹底する選手だと言われているから、それに関連したことを聞きました」

 時間は決して長くはなかった。それでも「本当に良い時間を過ごせた」とも明かしたイ・ジョンフ。日米通算4367安打を誇る大打者からは、「アジアにはアジアだけの文化がある。そのような文化をここでも長所として生かしてくれればいい」「続けて見ているから、一生懸命やりなさい」と激励されたという。

 イチロー氏と同じ背番号51を背負う韓国の至宝は、英雄からの言葉を胸に、ルーキーイヤーに臨む。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「アジアにはアジアだけの文化があるから」――韓国の至宝イ・ジョンフに憧れのイチロー氏がかけた“エール”