民放公式テレビ配信サービス・TVer初の完全オリジナル番組「最強の時間割〜若者に本気で伝えたい授業〜」シーズン2のLesson16が3月8日に放送された。講師として、乳腺外科医の明石定子先生が登場。いざという時に役立つ乳がんの正しい知識について講義を行なった。

【写真】秋元真夏と土生瑞穂が、明石教授の乳がん予防法を真剣に聞く

■「最強の時間割」とは

「最強の時間割 ~若者に本気で伝えたい授業~」は、さまざまな業界のトップランナーを講師として招き、学生や社会人に「知っておいてよかった」と思える“考え方のヒント”を届ける民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」の完全オリジナル番組。

2022年12月から約半年にわたり、放送された同番組が好評を受けて帰ってきた。シーズン2は11月3日よりスタートし、シーズン1に引き続きラランド・ニシダが副担任役、ラランドサーヤが生徒役。そして新しく生徒役として元乃木坂46秋元真夏が参加する。

■乳がんの発生率が40%下がる食べ物とは?

今回の講師は、東京女子医科大学の明石定子教授。日本乳癌学会の理事も務める明石は、乳腺外科のプロフェッショナルと呼ばれ、その腕を頼って病院に訪れる人が後を経たない。

そんな明石いわく、乳がん罹患数は年々増加しており、日本人女性の9人に1人は乳がんになるという。出産未経験、出産回数が少ない、高齢初産などは乳がんになりやすい傾向があり、食生活の欧米化も一つの要因になっているとのこと。しかし、乳がんは早期発見後に適切に治療することで、9割以上が治ると言われている。

大事なのは、正しい知識を身につけ、むやみに怖がらないこと。番組では、「乳がんの知識チェック」を実施した。例えば、乳がんになりやすいのは、生理が「A.早くきた人か」「B.遅くきた人か」。答えは、A。生理の回数が多いことが乳がんのリスク因子となるため、生理が早くきた人、なおかつ閉経が遅い人が乳がんになりやすい。生理がきた年齢が若ければ若いほどリスクが高くなるそう。また日本人の閉経の平均は53歳だが、5年遅くなると乳がんのリスクが1.4倍あがると明石は説明した。

同じく乳がんになりやすいのは、身長の「A.高い人か」「B.低い人か」。一見、乳がんに関係ないことのように思えるが、答えは、A。というのも、成長ホルモンも乳がんに関係しているのだ。160cm以上の人は148cm以下の人に比べ、閉経前で1.5倍、閉経後で2.4倍のリスクがある。ただし、低いからといって乳がんにならないわけではないと補足した。

お酒を飲む人と飲まない人では、飲む人の方がリスクがあがる。アルコールを分解するときに発生するアセトアルデヒドが発がんに関係しているとのこと。特に喉のがんや食道がんは飲めば飲むほどリスクが高まるので適量を心がけるのが重要だ。

最後に出題されたのは、「毎食とると乳がんの発生率が40%下がる食べ物は何か?」という質問。元櫻坂46土生瑞穂が「納豆」と回答すると、明石から「いい線いってる」という言葉が。答えは、味噌汁。1日1杯未満の人に比べ、1日に3杯以上飲むとした人は40%も乳がんの発生リスクが低かったという。ただ、「みそ汁だけが良いのか、みそ汁を含む和食が良いのか断定はできない」とした。

そんな中、サーヤは女性芸人の山田邦子がテレビの収録中に胸のしこりに気づき、病院で検査したら乳がんが見つかったという話をあげる。胸のしこりはがんのサインなのか、という質問に明石先生は「全てのしこりががんではない」と回答。特に20〜30代の女性は良性のしこりが多いのだという。だが、悪性か良性かを自分で判断することは難しいため、しこりを見つけた場合は、専門家に診てもらうことが必要とした。

がんのチェック方法としては、風呂で石鹸のついたすべりの良い状態で行うといいそう。肋骨を感じるぐらいの強さで指腹4本を押し付け、縦や横に触る。自分でがんだと気づくのは難しいため「変化に気づく程度の気持ちで触ってもらうといい」と明石は語った。

■手術方法に選択肢が増えた乳がんのいま

乳がんの検診はいつから受けたらいいのか。30代後半から乳がん罹患数が増え、20代も0ではないが、かなり数は少ないため、国の方針では40歳になったら2年に1回のマンモグラフィを受けることを推奨している。マンモグラフィでは、2枚の板に乳房を挟むのだが、それが痛いという声も。ただ、薄く伸ばすことでレントゲンの被曝量を減らすことができるのだと明石は理由を説明する。また40代以上の場合は、マンモグラフィだけではなく、超音波検査も同時に受けることでより発見率が上がるそうだ。

乳がんになったら昔は乳房全摘出しか選択肢がなかったが、現在ではがんの部分だけを摘出し、胸の膨らみや乳頭を残せることもできるという明石。いわゆる乳房温存手術は90年代後半から増加、全摘をしても乳棒の膨らみを人工的に作る再建手術も保険適用となった。

番組では、乳房温存手術の模様を映像で公開。乳輪の上にあるがんをメスで取り除き、皮膚を縫い合わせていく。傷も目立たず、なおかつ手術前と手術後で見た目がほぼ変わらない。人それぞれ必要な手術は変わってくるが、工夫で変形が目立たないように心がけているそうだ。現在では、片側と同じ乳房を人工的に作り、全摘した方の胸に貼り付ける方法も活用されている。

なお乳がんといえば、女性のみがかかると思いがちだが、男性もリスクはゼロでない。乳がん全体の0.5%が男性だという。

最後に、番組恒例の「カッコいい大人とは?」という質問に、明石は「自分の言動に責任が持てる大人」と回答。自身もその精神で仕事と向き合っているという明石は「希望は捨てないでほしい」と乳がんにかかった人にメッセージを送った。

「TVerで学ぶ!最強の時間割」に乳腺外科のプロフェッショナル東京女子医科大学・明石定子教授が登場/(C)TVer