M&A件数・金額の推移(2023年３月～2024年2月)
2024年2月のM＆A件数（適時開示ベース）は前年同月比21件増の98件となり、2月としては過去10年で最多を記録しました。上位にはMBO（経営陣による買収）が並び、金額未確定・非公表ながらドラッグストアが関わる大型案件も連続しました。
■調査結果の概要
１、ルネサスが大型案件を発表
２、MBO案件が続出
３、ドラッグストア&調剤薬局の大型M＆Aが連続
上場企業の適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM＆A（グループ内再編は除く）について、M＆A Online編集部が集計した。
ルネサスが大型案件を発表
取引総額1位は、半導体大手のルネサスエレクトロニクスが米国のアルティウムを8897億円で買収すると発表した案件。2月の取引総額のうち8割超を占める大型案件となっています。ルネサスはこれまで海外の半導体メーカーの買収を複数手がけたが、対象になったアルティウムはソフトウエア会社となります。
長期的には、外部と連携したオープンな設計プラットフォームを作り込み、複雑化する電子機器設計の世界をより低廉で、より容易な利用環境の構築を目指します。
2024年2月M＆A金額上位トップ10
MBO案件が続出
取引金額2～4位がMBOで占めました。広告・看板用の低溶剤プリンターを主力とするローランド ディー．ジー．（2位）、キャンプ用品を扱うスノーピーク（3位）、障碍者の就職支援を行うウェルビー（4位）と続き、ローランド ディー．ジー．とスノーピークが製品需要の停滞、ウェルビーがサービスの高度化への対応と人材確保を理由に挙げています。各社いずれも中長期的な経営環境を想定し、事業構造の改革を必要と判断してMBOを選択しました。
ドラッグストア&調剤薬局の大型M＆Aが連続
ドラッグストアが関わる大型M＆Aが連続したのも2月の特徴です。2月27日にスギホールディングスが関西を中心に調剤薬局を運営するI＆H（兵庫県芦屋市）の子会社化を発表しました。翌28日には、イオンがドラッグストア大手のツルハホールディングス（札幌市）、ウエルシアホールディングス（東京都千代田区）と資本業務提携し、2027年12月末日までにウエルシアを傘下に置いたツルハをイオンが子会社化することを発表しました。
スギの取引金額は非公表、イオンは未確定だが、いずれも業界大手が動いた案件。かねてより、ドラッグストアは調剤併設店の推進や生鮮食品の取り扱い拡大など付加価値向上に取り組み、M＆Aが活発に行われてきた業界であり、これら案件がドラッグストアならびに隣接業界を巻き込んでの新たなM＆Aを誘発する材料になるかが注目されます。
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