中古で購入した書籍には、ページ間に挟まったレシート落書きなど、以前の持ち主の「忘れ物」が残っているケースも珍しくない。

以前X上では、Amazonにて購入した写真集から発見された「驚きの用紙」が話題を呼んでいたのをご存知だろうか。

【関連記事】自宅冷凍庫から出てきた物体、変わり果てた姿にギョッとした… シャープは「推奨しない」と注意

 
画像をもっと見る

■中古で買った写真集、貼られた用紙に驚き…

今回注目したいのは、Xユーザー・りゅーさんが投稿した1件のポスト。

こちらの投稿には「レイヤーのポートレート本を古本で買ったら、どっかの刑務所の囚人番号202番が自弁で購入したものだった…」「…更生したのか? お前はえなこで更生したのか?」と、意味深な文章が綴られている。

ポストには、コスプレイヤー・えなこが表紙を飾る写真集『コスプレ&ポトレアーカイブス2020』の写真が添えられており、カバーの下には何やら謎の用紙が…。

コスプレ&ポトレアーカイブス2020

こちらには「自弁書籍等閲覧票(購入)」なる8文字を筆頭に、「呼称番号 第202番」など、見慣れぬ単語が多数並んでいたのだった。

 

関連記事:ブックオフで出会ったラノベ、挟まっていた用紙に衝撃走る 「自分かと思った」の声も…

■これにはえなこ本人もニッコリ

「自弁書籍」とは、刑務所で受刑者が購入・差し入れ等によって入手した閲覧可能な書籍を指す。そのためこちらの写真集の以前の持ち主は、ポスト本文にもあるように「元受刑者」である可能性が高い。

えなこで更生」というパワーワードを含んだポストは瞬く間に話題となり、ポストから数日足らずで8,000件以上ものリポストを記録。

他のXユーザーからは「そんなことあるんだ…」「刑務所でこの本読めたら、至福のひと時でしょう」「えなこの功績を讃えるべき」「刑務官が内容をチェックして、セーフだったのか」「看守にも認められたえなこ」など、閲覧票に対する驚きと、えなこに対する称賛の声が多数寄せられていた。

なお、えなこ本人もこちらのポストに「知らないうちに誰かを更生させてたらしい」と反応しており、完全にノリノリである

しかし一方で、一般人が購入可能な書籍の中にこちらの閲覧票が貼られていた事実に、疑問を感じる人も少なくない。そこで今回は、日本における法の整備を執行する「法務省」に詳しい話を聞いてみることに…。

関連記事:リュウジ氏、業界の「全方位に喧嘩売ってる」書籍を出版 「炎上覚悟、魂の1冊」

■表紙カバー下に妙な厚みが…

ポスト投稿主・りゅーさんに話を聞くと、件の写真集は昨年末にAmazonの「中古出品」より購入したものと判明。

コスプレ&ポトレアーカイブス2020

発見の経緯について、りゅーさんは「商品の状態が『良』だったため気にしていなかったのですが、読んでいた際にふと表紙カバー下の厚みが気になってカバーを外したところ、伝票を見つけました」「番号やら工場やら、自弁といった表記から、恐らく刑務所での購入品だな、と推測しました」と振り返っている。

また映画などでよく見られるように、刑務所内ではいわゆる「どギツイ」本が求められるイメージがあったそうで、「ギャップというか、刑務所の中でもレイヤーさんを応援したいという人がいたんだな、と驚きました」「最近では見かけない図書館の貸本カードのように、人の手を回って来た本という実感があり、面白いなとも感じています」とのコメントも得られたのだった。

 

関連記事:刑務所で覚醒剤をくくりつけられた鳩が発見 「見たことない密輸法」と職員も驚き

■法務省「読んでも問題ない」

続いては法務省「矯正局」に、こちらの閲覧票について尋ねてみる。

すると回答に先駆け、担当者は「今回話題となったものが、本物であると断定はできかねます」と前置き。確かに写真に写った用紙には「施設名」などの表記がないため、実際に受刑施設で使用されていたものではない…という可能性もあるだろう。

その上で「刑事収容施設法に基づき、改善・更生に支障が生じる可能性がある場合、そうした書籍は強制処分となります。しかし『読んでも問題ないだろう』と判断された場合、閲覧の許可として貼られるのが『自弁書籍等閲覧票』です」と、説明してくれたのだった。

コスプレ&ポトレアーカイブス2020

刑事施設内では物の貸し借り・譲渡がルールで制限されているため、トラブル防止等の観点からも、こちらの閲覧票が重要になってくるのだ。

なお、受刑期間が終了した後の閲覧票の処分については特に共通のルールが設けられてなく、施設によって異なる模様。しかし一般的には「書籍から剥がす」ケースが多いため、今回の写真集から発見された閲覧票は、やはり「剥がし忘れ」と考えられる。

また「自弁書籍等閲覧票」が貼られた書籍を(そうとは知らず)購入・所持する行為に関しても、法的な問題はないとのこと。

今回の取材内容を総括するとやはり、えなこをはじめとするコスプレイヤーたちの写真が「受刑者の改善・更生にプラスとなる(悪影響を与えない)」と判断された可能性が非常に高いのだ。

様々な場所で人々に夢と希望を与える「コスプレイヤー」という憧れの存在に、改めて敬意を表したい。

 

関連記事:『ねほぱほ』元刑務官、頭を悩まされた受刑者 「いつもニコニコしていた」

■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

Amazonで買った中古本、カバー下から現れた8文字にギョッとするも… 「えなこの影響力」に称賛の嵐