肥宅快楽水

東京・秋葉原のとあるメイド喫茶が提供しているドリンク「肥宅快楽水」。この聞き慣れぬワードがいま一部のアキバファンを魅了している。一体、この飲み物はどんな代物なのか。真相を探るため、記者は現地へ飛んだ。

【話題の投稿】「肥宅快楽水」の正体に思わず納得

 
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■「ツクヨミメイドカフェ」に答えがある

ツクヨミメイドカフェ

向かったのは、本格台湾メニューを引っ提げ今冬オープンした台湾発のメイド喫茶ツクヨミメイドカフェ 日本1号店」(東京都千代田区外神4-4-2 共益外神田ビル7階)。

タピオカミルクティーや牛肉麺、ルーロー飯など、現地の美味しいメニューと美麗な内装で客を楽しませる新店舗だ。本店は台湾・高雄にあり、今年でオープン19周年。同地に7店舗展開し、これまで述べ250万人ものお客をもてなしてきた。

 

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■「神秘的なドリンク」だとぉ…!?

肥宅快楽水

多彩なドリンクメニューの中で注目を集めるのが「肥宅快楽水」。

同店公式X(旧Twitter)では「ニキ達が好む清涼水、飲むと世の中の苦痛から一時的に解放され、快楽に委ねる事が出来る神秘的なドリンク」と説明されている。

なんだか怪しい成分が入っている台湾のエナドリかと邪推してしまうが、「決してコカ◯ンとか、人を興奮する成分は入ってるわけもないが、なぜか飲むといつもキモチ的にハイになる」との追記も。これは飲んで確かめるしかねぇ、と真っ先に注文した。

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■おい、これってアレだろ…!

肥宅快楽水

運ばれてきたのは茶色カラーのキンキンに冷えた「肥宅快楽水」(680円)。飲むとシュワシュワ、爽やかテイストで……と、もうわかっている読者はわかっていると思うが、コレはコーラである。極めてシンプルなコカ・コーラだ。

店のボリューミーな台湾料理やカレー、中華そばともじつにマッチする最高な一杯だ。しかし、なぜ「肥宅快楽水」と表記するのか。同店オーナーの台湾人・鄭さんに話を聞いてみた。

 

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■ヲタならわかる言葉の意味

肥宅快楽水

鄭さんは学生時代に日本へ留学しメイド文化を研究。台湾版コミケ『コミックワールド台湾』『台湾FF(Fancy Frontier)』にサークル出展し、メイド文化の分析同人誌を頒布し続けるなど、秋葉原リスペクトを持つ根っからのヲタクだ。そして、このメニュー名にも思い入れがある様子。

「肥はデブ、宅はヲタク、快楽はリラックスを意味します。水はソーダ水を指しまして、ネットスラング的にコカ・コーラヲタクリラックスできる炭酸水(肥宅快楽水)と呼んでいるわけです(笑)。我々ヲタクはピザとコーラが好きですよね? 食べ過ぎや糖分の摂り過ぎは体に悪いですが、“でも、今日の俺は何があっても止められねえ!”みたいな覚悟、そして快楽のみを追求するというスタンスもこの言葉には込められています」(鄭さん)。

ネーミングのユニークさもあり、秋葉原店ではドリンクメニューの売上2位。ちなみに嗜好が歪みまくっている記者はこの日、肥宅快楽水のアイスのみならずホットも注文し、快楽を貪った。店に行ったら是非頼んでみよう。

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■執筆者プロフィール

キモカメコ佐藤:1982年東京生まれ。『sirabee』編集部取材担当デスク

中学1年で物理部に入部して以降秋葉原に通い、大学卒業後は出版社経て2012年より秋葉原の情報マガジン『ラジ館』(後に『1UP』へ名称変更)編集記者。秋葉原の100店舗以上を取材し、『ねとらぼ』経て現職。コスプレ、メイドといったオタクジャンル、アキバカルチャーからスポーツまで精力的に取材しつつ、中年独身ひとり暮らしを謳歌する。

メイド喫茶で密かに流行る「肥宅快楽水」 この“意味不明ワード”解読するためキーマンを直撃した