キャンプから合流し、実戦もこなしているオドーア。しかし、その打棒はいまだ鳴りを潜めている。(C)産経新聞社

 プロ野球の開幕まで約2週間。阿部慎之助新監督の下で新体制を発足した巨人は、オープン戦で試行錯誤を続けている。

 6試合で3勝3敗と出足はまずまずだ。長期政権となった原辰徳体制から移行する過渡期にあるチームは、若手を積極的に起用。支配下となっているルーキー全員が1軍にキャンプから帯同し、西舘勇陽佐々木俊輔泉口友汰、又木鉄平は開幕1軍が有力視されている。

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 一方でチームの“核”になり得る新戦力が乏しい感も否めない。とりわけ、意気軒昂なルーキーたちと対比するような形で悪目立ちしているのは、今年1月に「大物助っ人」として獲得したルーグネッド・オドーアだ。

 今月8日のオリックス戦でデビューを飾った30歳だが、ここまで3試合で打率.111(9打数1安打)、長打率.111、OPS.222と低調な滑り出しとなっている。いまだ春先で、出場3試合というスモールサンプルではあるが、インパクトは乏しい。

 もっとも、入団時から“疑念”は少なくはなかった。メジャー通算178本塁打の実績と、シーズン30本塁打以上を3度も達成しているポテンシャルの高さはあったが、直近4年間は連続して打率.210以下、OPS.700未満と典型的なフリースインガーぶりを露呈。さらに最後にシーズン30本塁打を記録した19年でさえも、走攻守の成績を総合的に評価する指標「WAR」がマイナス0.3とチーム貢献度は極端に低かった。

 巨人入団当時に米移籍専門サイト『MLB Trade Rumors』は、打率.203、4本塁打OPS.654とパワーも鳴りを潜め、7月にDFA(事実上の戦力外)となった昨季成績をふまえ、「彼はレンジャーズで長い間、セカンドのレギュラーを務めてきたことで知られている。しかし長所はパワーだけ」と断言。オドーアの悪い傾向を端的に分析していた。その唯一の“長所”も鳴りを潜めている現状はやはり気になる。

 果たして、メジャーでも異彩を放ったオドーアのパワーがヒートアップしてくるタイミングはいつになるのか――。仮にこのままレギュラーシーズンを迎えれば、厚みのある打線強化を図る阿部・巨人にあって、ポイントゲッターとしての役割が求められる「目玉構想」も瓦解しかねないだけに、新助っ人の状態は引き続き注視したい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

OP戦打率1割と低調…巨人新助っ人オドーアへの「疑念」は阿部新体制の“目玉構想”の不安材料に