女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「結婚」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2019年3月30日 記事は取材時の状況)


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ポリアモリー」という言葉をご存知でしょうか?


 関わるパートナー全ての同意を得て、複数のパートナー間で恋愛などの親密な関係を持つこと。日本の一夫一婦制とは相反する関係とも言えます。



写真はイメージです(以下同じ)



「それって都合の良い不倫では?」なんて疑問を抱く方もいますが、当人同士が納得しているオープンな関係であるところが大きな違い。


 この言葉が知られていない時代から、理想の関係を模索しつづけた結果、新しい家族のカタチを手に入れた男性がいます。


◆アラフィフ男性の複雑な家族形態
 アラフィフに差し掛かった山田さんは、現在一人暮らし。隣の部屋には元妻・やす子さんとその夫・聡さんが暮らし、そして同棲はしていませんが、山田さんには現在交際7年になるパートナーの真弓さんがいます。
(※名前はすべて仮名)


 現在はこの4人に飼い猫2匹を加えた“6人家族”と語る山田さん。なかなか複雑ですが、一体どういう経緯で今の関係になったのか。話を聞くと、現代の婚姻制度にとらわれない、山田さんの求めた“理想”が見えてきます。


◆性格が抜群に合う妻。だけどベッドの相性が絶望的
 山田さんが元妻・やす子さんと出会ったのは今から20年ほど前。山田さんはもともとちょっと人と違う性癖の持ち主だったため、そのパートナーを探す中でやす子さんと出会ったといいます。


やす子とは性格的な相性はバッチリでした、一緒にいて楽しいし、いつも話が尽きないという感じです」


 そう話す山田さん。趣味も合う理想の女性と出会った…かと思いきや、大問題が発覚します。それは絶望的な性の不一致です。



やす子は『あなたとしていると、ムカムカする』とまで言っていました。とにかく僕がしたいことは一切やす子には響かず、僕も全く楽しくない。普段は仲良しなんだけど、ベッドでは絶望的に相性が合わなかったんです」


 絶望的に性癖や相性が合わない。一体山田さんの人と違う性癖とは何なのか聞くと、それは「SM」なのだと教えてくれます。


 一般的にSMと聞くと、体を拘束したり言葉や道具で相手を責めたりするプレイをイメージされる方が多いと思います。しかし実際の“ツボ”はかなり細分化されており、身体的被虐に興奮する人、精神的な責めに重きを置く人、はたまた主従と言われるパートナーとの上下関係性に興奮する人など、人それぞれ。たとえSM愛好者同士であっても、相性が合うというのは難しいものなのだとか。


「性生活が満たされない関係なので、出会って半年でやす子は浮気。それを機に別れましたが、お互い性格は合うので、結局交友関係は続いていました


 そんな状況が出会って1~2年。ある日山田さんは決意をします。


◆恋愛はお互い他で! そこからポリアモリー夫婦になるまで
「一緒にいるけど恋愛(性交渉)は無理。それならいっそ、別々に恋愛相手を探す関係にしようじゃないか」


 やす子さんとは別れても離れられない、親友以上にとても大事な存在。一度別れて痛感した山田さんはこのような結論を出します。最初はやす子さんも戸惑ったようですが、話し合いのすえお互いに婚外恋愛を許し合う、今でいう「ポリアモリー」の関係がスタート。そして2人は順調に結婚へと向かいます。



「結婚を決めたのは、本当にはふんわりした理由です。当時自営業だった僕が、年末の確定申告時期に配偶者控除を思い出し、やす子に結婚しないかと提案しました。目的は節税でしたが、この人とは一生関わるだろうなという漠然とした気持ちはあったので、これを機に入籍しました」


 こうして晴れて夫婦になった2人。そこから10年、婚外恋愛を許した夫婦関係が続くのですが、2010年に転機が訪れます。
 そう、やす子さんが現在の夫である聡さんと出会ったのです。次回、さらに複雑化する彼らの関係をレポートします。


―シリーズ「結婚・出産を“しない”と決めている人たち」―


<文/しおえり真生>