永野芽郁主演のドラマ「君が心をくれたから」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)の第10話が3月11日に放送された。視覚を失うタイムリミットが近づく雨(永野芽郁)は、愛する太陽(山田裕貴)が作った花火を最後に見られるのか。その結末は言葉を失うものだった。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】涙があふれた太陽(山田裕貴)と千秋(松本若菜)のシーン

■視覚を失うタイムリミットが近づく雨

本作は、ノスタルジックな雰囲気の長崎を舞台に、主人公・逢原雨(永野)が、かつてただ一人心を通わせた忘れられない男性・朝野太陽(山田)と“過酷な奇跡”に立ち向かうファンタジーラブストーリー。脚本は、純愛小説の名手として若い世代に注目の作家・宇山佳佑氏によるオリジナルだ。

太陽の命を救う奇跡の代償として、3カ月かけて五感を失っていく雨。第10話は4つ目となる視覚を失うまでが描かれた。

花火大会の日に起こった切ない展開

タイムリミットは桜まつりが開催される日。その日、花火職人である太陽は、自分が作った花火を打ち上げる許可をもらうことができた。10年前の2人の約束であり、雨の切なる願いであった、太陽の花火を見ること。その“10秒間”は、雨の人生で一番大切なものとなるはずだった。そして心をこめて太陽に感謝を伝えるつもりだった。「人生一番の笑顔で」。

ところが、当日、天候が悪化し、強風が原因で太陽が負傷するアクシデント。さらに、花火そのものが中止の方向へ。だが、あきらめきれない太陽の思いをくんだ太陽の亡き母であり、奇跡を見届ける案内人・千秋(松本若菜)がその魂を消滅させることで、降りしきる雨をやませるという展開に。ファンタジーながら、その切なさが涙を誘った。

■過酷な奇跡の代償を負わなければならない雨が悲し過ぎる

視覚を失う前に入院中の母に会いに行っていた雨は、帰り道で渋滞にあい、天候により花火が中止になるかもしれないと聞いた。だが、太陽から電話で「絶対に信じて来てほしい」と言われ、待ち合わせ場所まで触覚のない体で急いだ。

千秋によりできた、つかの間の月明かり。太陽と合流し、打ち上げの時を待つ雨。タイムリミットまで10分。その時間を惜しむように太陽の顔を見つめる雨の姿が愛おしい。

安全確認を終え、ようやく1発目の花火が上がった。太陽の花火はその次だ。しかし、プログラムの不具合なのか続かない。視聴者の誰もが固唾をのんで見守ったことだろう。

ようやく、千秋の形見であり、雨と太陽の思い出である“赤い傘”をイメージした太陽作の真っ赤な花火が打ちあがったとき、無情にも雨の視覚はタイムリミットを迎えていた。

花火が上がった場所とは見当違いの方向を向いて「きれい」と言う雨の姿に、すべてを悟った太陽。しかし、雨は「ギリギリセーフだったよ」と笑った。太陽は嗚咽が止まらなかったが、雨に「どうして?」と問い掛けられ、「うれしくて」と本心とは裏腹な返事を。

そんな太陽に、雨は花火を見る事ができなかったけれど、自分に誓っていた「人生一番の笑顔」で、「ありがとう」と伝えた。

第2話で描かれた、五感で最初に味覚を失うことになったときも、パティシエだった雨の「人生最後の最高傑作」として太陽にプレゼントしたマカロンを一緒に味わうことができなかった。それから嗅覚、触覚を失い、そして今回の視覚のタイミングでまた悲劇が。それだけに雨のせいいっぱいの笑顔が悲しみを増した。

次回、3月18日(月)の放送が最終回。予告では案内人・日下(斎藤工)の声で「奇跡はまだ終わっていません」という言葉があるが、その“奇跡”が雨と太陽を幸せに導いてくれるものであってほしいと願わずにはいられない。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

太陽(山田裕貴)の花火を見られる日を迎えた雨(永野芽郁)だったが…/(C)フジテレビ