17位完走を果たしたJuju(Photo by T.Endo)

 女子高生レーサーJujuこと野田樹潤が3月10日三重県鈴鹿サーキットで行われた国内トップカテゴリーの全日本スーパーフォーミュラ選手権開幕戦でシリーズ最年少でデビューを果たし、17位で完走した。日本人の女性ドライバーが国内トップフォーミュラに参戦するのは初めて。ホンダエンジンを操るTGMグランプリのエントリーで、出走21台中19番手からのスタートで決勝では2つ順位を上げた。

【画像】鈴鹿を駆るJuju

 シリーズを盛り上げる救世主が新たに加わった。スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーションの新会長に歌手で元レーサーとしてレーシングチームのKONDOレーシングも率いる近藤真彦が就任。かつて所属したジャニーズ事務所のスキャンダルもあいまって耳目を集めるようになった。

 これまでは国内トップフォーミュラながら集客に苦しみ、ハコ車の国内シリーズでもあるスーパーGTに水をあけられていた。中には閑古鳥が鳴いていると嘆く人もいた。それが今季はJujuの参戦で一変。スポーツニュースでこぞって取り上げられ、動画配信サービスのABEMAを展開する『AbemaTV』でシリーズが全戦にわたって無料生中継されることにもなった。

 決勝が行われた10日の観衆は2万人。昨年4月に鈴鹿サーキットで行われた第2戦は1万6000人だったことから数字からも動員につながったことがうかがえる。他のチームもマシンに貼られる広告スポンサーによってチームの運営資金が支えられており、シリーズ自体にスポットライトが浴びることはプラスだ。

 Jujuスーパーフォーミュラ参戦を選んだことを支持するレース関係者も多い。英国F3からF1にステップアップした佐藤琢磨以降、中嶋一貴小林可夢偉角田裕毅と海外シリーズで経験を積んでスーパーフォーミュラを経ずにF1デビューを飾ってきた。F1に行くには海外に軸足を置かないと駄目という流れが常にあった。

 日本は原則として16歳未満で公式の4輪レースを走れないことから、Jujuも14歳にデンマークF4を選んで昨季まで海外のジュニアカテゴリーで腕を磨いた。ところが昨年12月にスーパーフォーミュラルーキーテストに初参加。今季は同シリーズを主戦場とすることを決め、夢でもあるF1への道筋を構築することにした。

 これまでスーパーフォーミュラは日本独自で繁栄してきたガラパゴスシリーズとの見方もあったが、昨季のシリーズ王者の宮田莉朋が今季からF1直下シリーズのF2に挑戦するなど若手選手らの育成システムとして見直されているといえそうだ。

 Jujuも「大先輩に追いついて行って、レースしてる感があって自信に。素晴らしい仲間に囲まれて走れたデビュー戦は、忘れる事のできない1戦」とマネジメント事務所を通じてコメント。開幕戦は日体大桜華高に籍を置く現役女子高生の身分だったが、4月から日本大学に進学することが決まり、第2戦以降は女子大生レーサーに。これからも注目を集める存在となる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

女子高生レーサーのJujuはシリーズを盛り上げる救世主となるか スーパーフォーミュラのデビュー戦で17位