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英国人記者の視点:新型車の「タッチ主義」に疑問

少し安心した。「もしかして自分だけ?」という疑問に対する答えは、どうやら「ノー」のようだ。

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このところ、物理的なボタンからタッチパネルに移行したコントロール(操作系装置)に失望させられるクルマが多すぎる。場合によっては少々煩わしく、場合によっては危険きわまりない。

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ユーロNCAPはタッチパネルの使用を控えるよう提言している。法的拘束力はないが、欧州販売への影響は大きいだろう。

欧州で大きな影響力を持つ自動車安全評価機関のユーロNCAPは今月、2026年以降は主要機能に物理的なボタンを割り当てているかどうかも評価対象にすると発表した。

具体的には、ウインカー、ワイパー、ハザードランプ、ホーン、SOSといった機能を、ボタンレバー、またはダイヤルに割り当てなければ最高評価を得られない。消費者団体による評価のため法的拘束力はないが、少なくとも欧州市場での販売に影響を与えることは間違いない。

上記は、筆者(英国人)が望むほど網羅的ではないが、歓迎すべきものだろう。

ワイパーの操作を物理的なコントロールから切り離した自動車メーカーは少ない。筆者の知る限りではテスラだけが、ウインカー操作を感触の悪いボタン(最新のモデル3ではステアリングホイールのスポーク上)に割り当てるという不可解な設計を採用している。

筆者は、こうした流れをユーロNCAPが止めてくれることを望む。

例えばボルボEX30は、ドアミラー、ワイパー感度、空調設定(ルーフに取り付けられたデフロスターボタンを除く)、ライト(フォグライトを含む)、運転支援システムの物理的なコントロールがなく、素早く回転させたり押したりできるボリューム・コントロールもない。試乗した筆者は注意散漫になった。それでも昨年、ユーロNCAPの最高評価5つ星を獲得することができた。

レバーがまったくないモデル3はもっとひどい。テスラの最新のウインカーボタンは、ラウンドアバウト(環状交差点)がない地域で開発されたのではないかと疑ってしまう仕様であり、ユーロNCAPの5つ星評価を受けるべきではない。それどころか、英国で販売すること自体、失格にすべきだと思う。

先週、英国自動車協会(AA)のエドマンド・キング会長は、「わたしはラッダイトにならないよう努力してきた」と述べた。ラッダイトとは、19世紀初頭に機械化に反対して打ちこわし運動を行った英国の労働者たちのこと。今では、新しい技術に反対する人や、うまく使いこなせない人のことを指す言葉だ。

多くの人が共感することだと思う。「昔は良かった」と嘆いたり、雲の形にも文句をつけたりするような、不機嫌な老人には誰もなりたくない。

クルマは全般的に以前より良くなっているが、レバーダイヤルやボタンをなくすことは「良くなった」のではなく、「安くなった」だけなのだ。誰もがそれを認め、止める時だ。


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