育児・介護休業法(育介法)の改正案が閣議決定されたことをうけ、日本労働弁護団は3月12日、国会内で集会を開いた。「度重なる改正で前進はしている」と評価しつつも、「一歩が小さすぎる」として子育てへのさらなる支援を求めた。

改正案では、子どもが3歳になるまでの両立支援として、リモートワークを事業主の努力義務とするほか、手薄だった3歳以降の支援についても充実を目指す。

主な内容としては、未就学児にしか使えなかった「子の看護休暇」を小学3年生修了までに延長するとともに、入園・入学式や卒園式などでも取得できるようにする。

また、3歳から小学校入学前までについては、残業免除の対象(現行の「3歳になるまで」から延長)とし、企業に対して始業時刻の変更など、複数の制度の中から2つ以上を設けるよう義務付ける。

⚫️当事者の切実な声「今年はもつ気がしない」

改正案をめぐり、集会では特に子の看護休暇について対象拡大の必要性が強調された。

未就学児2人を育てている役所勤めの女性は、自身が2人目を生んだ後に子の看護休暇制度を知ったことや、夫にも申請してもらったところ、職場が制度を知らなかったとして、認知度の低さを指摘。「実際にちゃんととれる制度になってほしい」と訴えた。 

また、今年に入って子ども2人が相次いでインフルエンザにかかったといい、「1人なら5日まで、2人以上なら計10日まで」の年間上限の少なさも指摘。すでに有給休暇も速いペースで取得しているといい、「今年はもつ気がしない」、「3人目はしんどい。仕事を辞めたらいけるけど、そうすると収入的に難しい」などとも語った。

制度拡大を目指す「おかゆプロジェクト」の沖田麻理子さんは、小学6年生の息子が年始に体調を崩した際、寝たきり状態になったという体験談をふまえ、期間を小学3年生ではなく小学校卒業までに延長してほしいと話した。

●子の看護休暇、公的資金投入で有給化を

労働弁護団の佐々木亮弁護士は、子の看護休暇では有給が義務付けられていないことを指摘。「無給だと労働者は生活ができない。体力がある企業ばかりではないので、政治の力で公的資金を投入するしかないのではないか」と話した。

また、育介法は徐々に改善が進んでいるものの歩みが遅すぎるとして、「『異次元(の少子化対策)』と言うのなら、あっと驚くような改正をしていただきたい」と政府に注文もつけた。

労働弁護団は改正案のもとになった、労働政策審議会雇用環境・均等分科会がとりまとめた報告書について、意見書も公表。長時間労働や転勤などの論点にも言及している。

相次ぐ子どもの病気で「今年はもつ気がしない」 働く親たちが「子の看護休暇」の拡充訴え