世界最高峰の映画の祭典が3月11日(現地時間3月10日)に米国ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、山崎貴監督の『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』が日本映画として初めて視覚効果賞を受賞! 山崎監督のコメントや、SNSに投稿された喜び、祝福の声を紹介します。

【大きい画像を見る】第96回アカデミー賞授賞式 山崎貴監督 写真:Getty Images


山崎貴監督が脚本とVFX(視覚効果)も手掛けた『ゴジラ-1.0』。ゴジラ70周年記念作として制作され、戦後の日本を描いています。

2023年11月3日の“ゴジラの日“に公開されるや公開3日間で興行収入10億円を突破。海外での公開も始まると世界中で歓迎され、1月23日(現地時間)に視覚効果賞ノミネートが発表されました。海外でのタイトルは『GODZILLA MINUS ONE』です。

ノミネート後も世界中の映画祭で多くの賞を獲得し、3月8日の日本アカデミー賞授賞式では最優秀作品賞を含む8冠を達成。山崎監督は「この勢いであれも何とか(^o^)」とつぶやいていました。

その勢いのまま、見事にアカデミー賞を獲得! 日本だけではなく、アジア初となる視覚効果賞でのオスカー像を手にすることに!

アカデミー賞公式Xは授賞式当日に「Congratulations to the the team behind 'Godzilla Minus One', this year's Best Visual Effects winner!」と視覚効果賞の獲得を讃えます。

ゴジラ-1.0』公式Xにて、山崎監督のスピーチ(日本語訳版)が紹介されています。

「四十年以上前『スターウォーズ』と『未知との遭遇』を見たショックからキャリアをスタートさせた私にとって、この場所は望む事すら想像しなかった場所でした。ノミネートの瞬間、私たちはまさにロッキーバルボアでした。強大なライバルたちの前でリングに立たせてもらえた事はすでに奇跡でした」

1977年に日本で公開されたボクシング映画の傑作『ロッキー』の主人公で無名のボクサー“ロッキーバルボア”を例に挙げ、アカデミー賞の舞台でハリウッド映画に挑戦する奇跡を表現。

「しかし私たちは今ここに居ます。この場所から遠く離れた所でVFXを志しているみんな! ハリウッドが君たちにも挑戦権がある事を証明してくれたよ! 最後にスタッフキャストを代表して去年失った我々のプロデューサー・阿部秀司さんに言いたい。俺たちはやったよ!」

そして遠く離れた日本の若手クリエイターの希望となる言葉、さらに『ALWAYS 三丁目の夕日』など山崎監督作品を手掛け、昨年12月に他界した阿部秀司プロデューサーに報告しています。

授賞式後の会見では、この受賞が日本映画界に及ぼす影響について質問された山崎監督。実感が沸かないながらも、海外でも興行することで日本映画の環境も変わっていくと言及。「僕らで変えていかないといけないんじゃないか。これからの行動がすごく重要になる」と語っています。

また、「原爆の父」とも呼ばれた天才科学者オッペンハイマーを描き、今回のアカデミー賞で作品賞、監督賞を含む最多7冠獲得の『オッペンハイマー』と『ゴジラ-1.0』は「“合わせ鏡”のような存在ではないか?」との指摘にも答えました。

「『ゴジラ』は戦争や核兵器の象徴でもあるゴジラを鎮める話。“鎮める”という感覚を世界が欲していて、それがヒットにつながっていると思う。それとは別に『オッペンハイマー』に対するアンサーの映画は、日本人としていつか作らないといけないんじゃないか」




神木隆之介さん、浜辺美波さんら出演者がお祝いメッセージ

翌12日早朝(日本時間)は、授賞式に登壇した山崎監督、渋谷紀世子さん(VFXディレクター)、高橋正紀さん(※高ははしごだか/CGディレクター)、そして野島達司(VFXアーティスト/コンポジター)さんの4名の記念写真が公開されました。


野島さんは授賞式直後にオスカー像とゴジラのツーショットを投稿。

ゴジラ-1.0』に出演した俳優陣からも、祝福のコメントが続々と寄せられました。神木隆之介さん、浜辺美波さん、安藤サクラさん、佐々木蔵之介さん! 安藤さんは号泣のあまり……。

山崎監督たちと最高のVFXを作り上げた映像制作会社・白組も、小川洋一社長が「この映画は数々の奇跡的な幸運が重なり 最高のタイミングで最高の結果を残すことができたと思っています」とつづっています。

その白組調布スタジオのCGディレクター・植木孝行さんは「オスカーなんて夢みたい。シュワちゃんが読んでたやつ、ちゃんとゴジラ-1.0って書いてある」とあの紙を紹介。

視覚効果賞でダニー・デヴィートさんと一緒にプレゼンターを務めたアーノルド・シュワルツェネッガーさんが『GODZILLA MINUS ONE!!』と読み上げたあの紙です。本当ですね、ちゃんと書いてある!

巨大な生命体とロボットの戦いを描いたSF映画『パシフィック・リム』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督は「Oscar Winner Godzilla. I feel so moved.(ゴジラオスカー受賞。とても感動した)」と投稿。

そして「KAIJU KING + Tokusatsu = OSCAR」と謎の式も……。え?「怪獣王 + 特撮 = オスカー」ってことですか! ゴジラ好きとしても有名な監督ですが、うれしいコメント!

SFホラーの名作『遊星からの物体X』を手掛け、やはりゴジラが好きなジョン・カーペンター監督も「Incredible! GODZILLA MINUS ONE wins an Academy Award for special effects. In my lifetime. Fantastic!(信じられない! 『ゴジラ マイナスワン』がアカデミー特殊効果賞を受賞。私の生きているうちに。素晴らしい!)と驚きと喜びのコメントを寄せています。

日本からは、ゴジラ好き声優の阿座上洋平さんが「ゴジラー!!!」とくす玉の絵文字を添えて発しています。短い言葉ながらも愛を感じます!

阿座上さんはTVアニメ『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』で佐藤隼也を演じ、昨年11月に公開されたCG短編『ゴジラVSメガロ』にも出演。『ゴジラ-1.0』は公開初日に観ていました。

YouTubeチャンネル「GODZILLA OFFICIAL by TOHO」では、白組によるメイキング動画「The Visual Effects of Godzilla Minus One」を公開中。総勢35名が8ヶ月かけて作り上げた迫力のVFXシーンが凝縮されています。オスカー像に届いた映像の裏側に迫ります。必見!

ちなみに、山崎監督たちの授賞式での足元にも注目が集まっています。ファッションデザイナーの松井諒祐さんによるブランド「ha | za | ma」のゴジラシューズです。かかと部分にゴジラの手が!

また、今回のアカデミー賞では宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』(北米でのタイトルは『THE BOY AND THE HERON』)が長編アニメ映画賞を受賞しています(※崎はたつさき)。

山崎監督と宮崎監督、かつてルパン作品を手掛けている共通点があります。だから、アニメ『ルパン三世』公式アカウントも両監督を祝福! 

日本発の実写、アニメの2作品がオスカー像を手にする、映画史に残る「第96回アカデミー賞授賞式」となったのでした。最後に北米版GODZILLA MINUS ONE』の予告編をどうぞ!

なお、「第96回アカデミー賞授賞式」字幕版はWOWOWオンデマンドで3月19日までアーカイブ配信。「第96回アカデミー賞授賞式ダイジェスト」は3月17日午後8時よりWOWOWで放送。WOWOWオンデマンドでは3月19日午後11時59分までアーカイブ配信を行います。

■第96回アカデミー賞授賞式 受賞結果

作品賞:『オッペンハイマー
監督賞:クリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』)
主演男優賞:キリアン・マーフィ(『オッペンハイマー』)
主演女優賞:エマ・ストーン(『哀れなるものたち』)
助演男優賞:ロバートダウニージュニア(『オッペンハイマー』)
助演女優賞:デヴァイン・ジョイ・ランドルフ(『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』)
国際長編映画賞:『関心領域』
脚本賞:『落下の解剖学』
脚色賞:『アメリカン・フィクション
撮影賞:『オッペンハイマー
編集賞:『オッペンハイマー
美術賞:『哀れなるものたち』
衣装デザイン賞:『哀れなるものたち』
メイクアップ・ヘアスタイリング賞:『哀れなるものたち』
作曲賞:『オッペンハイマー
歌曲賞:“What Was I Made For?”『バービー』
音響賞:『関心領域』
視覚効果賞:『ゴジラ-1.0
長編アニメ映画賞:『君たちはどう生きるか
長編ドキュメンタリー賞:『実録 マリウポリの20日間』
短編ドキュメンタリー賞:『ラスト・リペア・ショップ』
短編アニメ映画賞:『WAR IS OVER! INSPIRED BY THE MUSIC OF JOHN & YOKO(原題)』
短編実写映画賞:『ヘンリーシュガーワンダフルな物語』
(C)2023 TOHO CO., LTD.

【ほかの画像を見る】第96回アカデミー賞授賞式 「ゴジラ-1.0」チーム 写真:AFPアフロ

第96回アカデミー賞授賞式 「ゴジラ-1.0」チーム 写真:AFPアフロ