義妹生活(ぎまいせいかつ)
『義妹生活』(奏ユミカ:漫画、三河ごーすと:原作、Hiten:キャラクター原案/KADOKAWA

 もしも、思春期真っ盛りの時に同い年の綺麗な妹が突然できたらどうする?

 新しい兄弟姉妹ができて、1つ屋根の下というシチュエーションは、恋に発展していく王道ラブコメの1つだろう。他人事なら胸をときめかせてしまう人も多いのではないだろうか。リアルで他人同士がいきなり家族になるのは、戸惑いと不安が多いはず。

『義妹生活(ぎまいせいかつ)』(奏ユミカ:漫画、三河ごーすと:原作、Hiten:キャラクター原案/KADOKAWA)は、三河ごーすと氏のYouTube漫画からメディアミックスが行われ、コミカライズされた作品だ。2024年7月にはTVアニメも放送開始となる。

 高校2年生の浅村悠太(あさむら・ゆうた)は、父親の再婚により義理の妹ができた。綾瀬沙季(あやせ・さき)という美少女で、学校も同じ同級生。派手な見た目のため教室で浮きそうなほど綺麗な綾瀬に、「こんな美人のJKとどう接すれば…」と浅村は戸惑う。しかし、彼女からお互い期待しないようにしようと持ちかけられ、お互いを名字で呼びあうように。これには母の浮気による離婚で女性に苦手意識のあった浅村も安心する。人付き合いにおいて、一気に懐に潜り込んでくるタイプの人への苦手意識を持つ人もいるはずだ。

 すぐ仲良く話すなんて難しいもので、よっぽど意気投合しないかぎり、心のバリアが展開されるだけだろう。主人公2人がお互いに干渉しすぎないと決めたのは、多感な年頃の高校生にはもってこいの約束だった。すり合わせをして無理のない距離感で関係を築こうとする2人は、一見ドライに思える。しかし、反面、大人のようにしっかりして見えるが、時には学生らしいおちゃめなことをしてほっこりさせられるシーンもある。

 綾瀬は母が夜職で片親だったため1人の時間が多く、人への頼り方を知らない。早く独立したいと、割のいい高額バイトを探しはじめる。浅村は彼女にバイトの情報を提供することになり、見返りに「毎日味噌汁を作ってほしい」と申し出る。すると、綾瀬が「プロポーズ?」と返すところは、このネタがわかる人にはなんとも微笑ましいものだ。

 綾瀬は毎朝ごはんを作ることになったが、2人は目玉焼きに塩コショウか醤油かの好みすら把握していなかった。お互いにすり合わせを行いながら落とし所を作って生活を送っていく。すり合わせといいながら、2人で意識しあってしまうところが高校生らしくて可愛らしい。共同生活をするうちに、クールで金髪派手ギャルに見える綾瀬が、真面目で気遣いができることに浅村は気付いていく。彼女の外側が武装であることを知る。

 だんだんと綾瀬と打ち解けてきたと思った浅村だったが、1巻の終わりには、どっひゃー!と驚く出来事が待ち受けている。なかなかバイトが見つからず焦った浅村による暴走のような出来事が起こる。ここで終わりにしないで、というところで1巻が終了するため、すぐに2巻を読みたくなってしまう。

 裏表紙には「いつか恋に至るかもしれない物語。」とあり、これから義兄妹のラブ展開がはじまっていくはず! 3巻まで販売されているので、ぜひ続きを確かめてほしい。

文=山上乃々

Amazonで『義妹生活(ぎまいせいかつ)』を見る

天﨑滉平×中島由貴でTVアニメ化『義妹生活』。他人だった同級生が妹に!? 1つ屋根の下で暮らす義兄妹ラブコメディ