伊藤の心温まる行動に中国メディアも賛辞を贈った(C)Getty Images

 シンガポールで行われている卓球の国際大会「シンガポールスマッシュ2024」では連日、世界トップクラスのプレーヤーたちが熱戦を展開している。その中で、日本人選手が試合後に見せた表情が海外メディアなどで話題を集めている。

【動画】伊藤美誠の礼儀正しい行動を中国も称賛!60歳のレジェンドと健闘を称えあった心温まるシーン

 3月10日に女子シングルス1回戦に登場した伊藤美誠は、ルクセンブルクのニー・シャーリエンと対戦。現在60歳という年齢のニーは、かつて世界選手権で団体や混合ダブルスで優勝を飾るなど、1980年代から国際舞台で実績を残してきた大ベテランだ。

 サウスポーのペンホルダーという、独特のスタイルで戦うニーに対し、伊藤は1ゲーム目の序盤こそ0-3とリードを許すも、そこから挽回し、11-4で最初のゲームを奪うと、続く2ゲーム目は接戦となるも11-9で連取。さらに3ゲーム目もサーブや強打でポイントを稼ぎ、リードを広げたまま試合を優位に進める。10-6とマッチポイントを迎えると、ここでも伊藤のサーブが冴え、ニーがフォアで返すもボールはネットに当たりながらそのままコートの外へ。このレシーブミスにより伊藤の勝利が決まった。

 その直後、伊藤は左手を軽く上げ小さくお辞儀する仕草をみせると、表情を緩めながらコート脇で握手を交わした。両者は互いの手を握りながら、笑顔で健闘を称え合っていた。

 このシーンは卓球王国である中国のポータルメディア『捜狐』でも紹介された。3月13日に配信したトピックでは「試合に勝つことは喜ぶべきことであり、シンガポールグランドスラムでさらに一歩進むごとに、賞金もポイントも増えていく。しかし、伊藤美誠は喜ぶどころか、ニー・シャーリエンのもとへ駆け寄り、彼女の前でお辞儀をした」と試合後の様子を振り返った。

 さらに「まるで祖母と家庭的な話をしているかのように、ニー・シャーリエンと楽しそうにコミュニケーションをとっていた」と回想。続けて「伊藤のアプローチは、対戦相手に後輩としての敬意を感じさせただけでなく、試合に負けた悔しさも忘れさせるようでもあった」と記している。

 同メディアは、伊藤がパリ五輪代表落選したことなどから、中国国内において以前のような高い評価は受けていないと説いており「今では伊藤に関する話題がファンの間で語られることはほとんどない」と指摘。それでも、今回のベテランプレーヤーとの対戦後の一幕には大きな反響があったとして「シンガポールグランドスラムで、伊藤は再びファンの間で話題になった」と綴っている。

 伊藤は先月行われた世界選手権でも、コート外での表情が注目を集めた。今大会でも、激しい戦いの中で、最後まで敬意を示し相手と接した振る舞いにより、海外メディア、ファンの間で多くの称賛の声が上がったようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

礼節忘れぬ伊藤美誠の”お辞儀”に中国からも称賛の声 60歳のレジェンドに勝利後、笑顔で握手「伊藤は再びファンの間で話題に」