新東名で発生した車両火災でトンネルが損傷、その復旧作業のため長期の車線規制が敷かれます。多発する車両火災に、NEXCOがやや強めの注意喚起を行いました。実は、車両火災を見かけた際にも注意が必要です。

車両火災、意外と多いぞ

高速道路で「車両火災」が頻発しています。2024年2月には、新東名高速静岡県内のトンネルで大型のキャリアカー(車両運搬車)のタイヤがバーストし出火、4時間後に火は消し止められましたが、現場の区間は15時通行止めとなり、トンネル施設は大きく損傷しました。この復旧作業に伴い、現場の区間では4月中旬まで車線規制が続く見込みです。

こうした事態に、NEXCO中日本は車両火災に関する注意喚起を強化しているようです。同社八王子支社は3月8日、公式X(旧Twitter)にて、具体的な件数を交えた、やや“強め”の注意喚起チラシを発信しています。

それによると、車両火災による通行止めは、NEXCO中日本管内で「月平均2回以上」発生し、通行止め時間は「平均で5時間以上」と長時間にわたっているとしています。そして……

「車両火災により道路や設備が損傷した場合は、道路法に基づき、復旧に要した費用をドライバー本人や雇用主に請求します」

との文言も。そのうえで、エンジントラブルやタイヤのバーストに起因する火災が多いとして、日常の車両点検、出発前の点検を呼び掛けています。

NEXCO西日本管内では、2023年9月に兵庫県内の山陽道で車両火災に起因する大規模なトンネル火災が発生し、トンネル施設を文字通り焼き尽くしました。当該区間は復旧まで3か月にわたり通行止めとなっています。

その間、並行する国道などが大混雑することから、やや離れた中国道へなんとか迂回してもらうべく、国土交通省なども交えて様々な施策が講じられたのも記憶に新しいところ。このように、特にトンネルでの車両火災は、社会的影響も甚大になりかねないのです。

トンネルで車両火災を見かけたらまず「停まれ」

車両火災を見かけた場合は、周りのドライバーも注意が必要です。

首都高速道路は2023年10月、同月に発生した湾岸線のトンネルにおける車両火災の様子を動画で公表し、「火災車両を追い越さず、手前で停車」するよう呼びかけました。

動画では、右車線の火災車両を後続車が追い越して通過していると、突如として天井のスプリンクラーが作動し、視界が塞がれた後続車が次々とその場に停車していく様子が映されています。

スプリンクラーの影響だけでなく、「火災車両の先は煙が充満し、前方が全く見えない可能性があるため、絶対に火災車両を追い越さないで欲しい」と首都高速道路は話していました。同社はさらに「前方車両が止まらなくても、あなたが止まれば後続車両を危険から守ります!」とSNSで呼びかけています。

そのうえで、クルマを左または右側に寄せて、クルマから離れて避難することが大切だそう。トンネル内にはドライバーが使える消火栓も備わっていますが、火の勢いが強く身の危険を感じた場合は、速やかに避難すべきだといいます。

火災車両を追い越さずに、前方の異常に気付いたらまず停まる――これは、火災が発生しているトンネルの手前、あるいはトンネル以外で火災車両を発見した場合も当てはまります。火災車両の前方が見えなかったり、通れそうにない場合は「クルマを左側または右側に寄せて、パトロールカーや消防車などが通行できるように中央部を開けてください」と話していました。

山陽道の尼子山トンネルで起きた火災の被害。復旧まで3か月を要した(画像:NEXCO西日本)。