ハリウッドの大御所俳優アル・パチーノ(83)が、第96回アカデミー賞授賞式でプレゼンターを務めた際、ノミネート作品を紹介せずにあっさりと作品賞を発表した。するとSNSでは「これ以上ないほどのカオスと混乱だ」「ひどい仕事だ」と非難が殺到。後日、パチーノは声明を発表し、授賞式でのスピーチは「プロデューサーの選択だった」と釈明した。

現地時間10日、米ハリウッドのドルビー・シアターで第96回アカデミー賞授賞式が開催された。

式典のフィナーレには「作品賞」を発表するため、映画『ゴッドファーザー』シリーズなどで知られる俳優アル・パチーノがステージに現れた。

会場ではスタンディングオベーションが巻き起こる中、パチーノはマイクの前に立つと「ありがとう。ああ、友よ。本当にありがとう」と感謝を述べた。

そして「どうしよう。シェイクスピアでもやろうか? それが順当だね。『生きるべきか…』」と「ハムレット」の有名なセリフを言い始めると、こう続けた。

「いや、やらないよ。ごめん。さて、今夜最後の賞の時間となりました。そして、これを授与するのは私の名誉です。」

通常の授賞式では、その後ノミネート作品が紹介され、プレゼンターが封筒を開けながら「そして、アカデミー賞は…」と発表する。封筒からカードが取り出され、受賞作品が読み上げられるまでの数秒間は、毎回なんとも言えない緊張感に包まれる。

しかしパチーノはノミネート作品を紹介せず、「10本の素晴らしい映画がノミネートされているが、作品賞を受賞するのは1本だけだ。私はそのために封筒を見なければならない。そうするよ」と話し続けた。

そして封筒を開けると、「私の目には、『オッペンハイマー』が見える」と受賞作品をあっさりと発表したのだ。

あまりにも突然の発表に会場は静まり返ったが、その後は笑いと拍手が巻き起こり、映画『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン監督をはじめとするスタッフやキャストが立ち上がり、ステージに向かった。

この様子を見た視聴者は驚いたようで、SNSでは「なんて、ぶざまなんだ」「ひどい仕事だ。ノミネートの紹介すらしていない」「これ以上ないほどのカオスと混乱だ」「疲れていたのでは? 彼は83歳だし」といったコメントが殺到した。

これに対しパチーノは、11日に米メディア『TMZ』に向けて声明を発表し、授賞式でのスピーチについて次のように釈明した。

「昨夜、私が作品賞発表の前にすべての作品名を挙げなかったことについて、いくつかの論争があるようだ。しかし、それは私の意図ではなく、授賞式を通して各作品にスポットがあてられたため、改めて言及させないというプロデューサーの選択だったことを明確にしたいと思う。」

そして「授賞式の一部として参加できたことを光栄に思う。この賞が授与されるため、彼らが望んだ方法に従うことを選んだ」と付け加えると、紹介されなかったノミネート作品の関係者に対してこのように謝罪した。

「ノミネートされることは、人生における大きな節目だ。それが十分に認知されないのは不快であり、傷付くことだと理解している。私は映画製作者、俳優、プロデューサーと深いかかわりを持つ者として、このことを強調したい。」

「だから私は、この見落としによって軽んじられた人々に深く共感する。だからこそ、この声明を発表する必要があると感じたのです。」

画像2枚目は『Deadline Hollywood X「Al Pacino presents ‘Oppenheimer’ with the Oscar for Best Picture」』より
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)

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