日本人の平均年金月額は、男性が月167,388円、女性が月109,165円といわれています（厚生労働省「令和4年度（厚生年金保険・国民年金事業の概況）」より）。そのようななか、「月5万円の年金」と「月3万円のバイト代」で暮らしていた筆者は、月々の収入を増やすために新しい仕事を始めました。70代からの新たな挑戦に、周囲は半信半疑……いったいどうなったのかみていきましょう。著書『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』（KADOKAWA）より、ロコリ氏の生活をご紹介します。

72歳の年金生活、毎月の収入と支出

今の、毎月の収支はこんな感じです（数字はおおよそです）。

だいたい月8万円でやりくりしています。ですが、やはり何かと出費は増えてすぐに足りなくなり、貯金が減っていく一方だったので、マクドナルドでのアルバイトも、YouTubeを始めたのも、少ない年金にプラスして少しでも収入を得たいというのが目的でした。

1年ほど前から、YouTubeチャンネルを始めようと思っていることは周りの人にいっていましたが、「ほんとにできるの？」とみな半信半疑でした。「できるかもしれないけどたいした金額にはならないんじゃない？」と言われていたので、収益化は自分でも本当に驚き、嬉しかったです。

YouTubeは長年かかってやっと見つかった、自分の得意なことを活かせる場だと思っています。この年齢でそんなことに出会えたのが何より嬉しいです。

ずっと行き当たりばったりの人生、私の性格のことなのでこれからも変わらないと思いますが、今は、仕事としてYouTubeをがんばっていきたいなと思います。

仕事にも楽しみにも欠かせないYouTube

YouTubeは、もはや私の生活に欠かせません。昔はテレビを見ていましたが、今は夜、暇なときはほとんどYouTubeです。それもテレビモニターの後ろにグーグルクロームキャストを接続して40インチの画面で見ています。私のお気に入りのチャンネルを紹介しますね。

ファッション系では、「シトウレイ」さんと「あさぎーにょ」さん。シトウレイさんはファッションジャーナリストさんでファッショニスタ。センスが素晴らしく、個性的な最新のファッションをいろいろ紹介してくれて大好きです。あさぎーにょさんは自分でファッションブランドも手がけているインフルエンサー。インテリアもファッションもカラフルで色使いがとても上手。若い人の感覚ってこうなのかなと思って参考にしています。

芸能人のチャンネルでは、ピーターさん、研ナオコさん、杏さんのチャンネルをよく見ています。若いころピーターさんの中性的な魅力に憧れて、メイクやヘアスタイルなどを真似したものでしたが、似ているといわれたのは研ナオコさんでした。これは私がまだお店をやっていたころの話なのですが、宝くじを買おうといつも通る商店街の宝くじ売場の前に立つと、販売員のおばちゃんが私を見るなり顔を輝かせて「おばちゃんね、研ナオコの大ファンでね、あなたが研ナオコに似てるから見かける度にお話をしてみたいと思ってたの」と言われ、更に「握手してもらえる？」と手をおずおずと差し出されました。

それからというもの、前を通る度に握手を求められ、時には一緒にお茶タイムをしてケーキセットをご馳走になったりもしました。人をハッピーにさせる研ナオコさんの力に感動するとともに、ずっとファンでいます。

ピーターさんも魅力的な雰囲気がまったく変わらなくて、YouTubeでその姿が見られるので嬉しい限りです。お2人とも私と同世代なのにずっと変わらず活躍されていて、尊敬するとともに、YouTubeもされているということで勝手に親近感を感じています。

女優の杏さんのチャンネルも、杏さんがパリに引っ越されるときに知ってから見るようになりました。

ほかには、動画の撮影や編集についてのハウツー動画もたくさん見ます。YouTubeには本当にお世話になっています。私も、みなさんに喜んでもらえる動画をこれからもたくさん撮りたいです。

ぜいたくはしないけど、ケチケチもしない

昔、テレビで見たのですが、俳優の樹木希林さんは、マンションや家を買って、仕事をがんばるためのプレッシャーとしていたそうです。それを俳優仲間の浅田美代子さんにもすすめ、「家を買って仕事をがんばりなさい」といって買わせた、ということでした。

有名俳優さんと比べるのはおこがましいですが、私もどちらかというと樹木希林派。なんでもかんでもケチケチ節約するよりは、ちょっといいものを持ってがんばろう！　という考えです。

ですから、YouTubeが収益化したときに真っ先に買ったのは、前からほしくてたまらなかったiPhoneの最新機種でした。収益化達成でほかには特に何かほしいものがあったわけではないのですが、iPhoneだけは買おう！　と心に決めていました。

私の収入からすると、iPhoneはまさにぜいたく品です。機種代がかかるので毎月の支払いがグンと上がってしまいました。でも、このiPhoneは、私の新しい仕事、YouTubeチャンネルのための仕事道具でもあり、撮影をがんばるためのモチベーションとなっています。

節約ばかり考えていたら心も生活もどんどん小さくなってしまいますが、YouTubeをがんばろうと思うことで、自分なりの生きがいや希望も生まれました。

それに、もうこの年齢でいつ死ぬかわからないのですから、早く買って使えるうちにたくさん使った方がいいですよね。そう思いませんか？

ロコリ

YouTuber

（※写真はイメージです／PIXTA）