タイラー・オースティン

「ここ2シーズンは怪我もあって、悔しいシーズンだった」。横浜DeNAベイスターズで唯一の外国人野手のタイラー・オースティンは、真剣な眼差しで過去を振り返った。

 

■怪我と闘い続けたオースティン

タイラー・オースティンは、2021年には新型コロナウイルスで来日が遅れ、さらには東京オリンピック野球アメリカ合衆国代表として銀メダル獲得に献身するというコンディション作りが大変な状況ながら、シーズンで107試合に出場。4打席だけ規定に足りなかったが、打率.303、28本塁打、74打点、OPSは1.006とフル出場ならタイトル奪取も確実視された成績を残した大砲である。

しかしハッスルプレーの代償は、右肘や右肩の手術という相次ぐ怪我との闘いとなって現れた。それでも苦しいリハビリを乗り越えた今年は「春季キャンプからオープン戦にかけて、ここまでいい流れで来られた」との言葉通り、ここ3戦で2ホームランとバットも上向きだ。

アレックス・ラミレス元監督の持論「外国人打者がいい状態になるには40から50打席が必要」との言葉になぞらえながら、「やはり昨シーズンからのブランクもかなりあると思ので、40打席以上、50打席あればなお良しかなというふうに思っています。今回のオープン戦を通して、それぐらいいけたらいい」と、シーズンインまでに仕上げていくと意気込んだ。

 

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■「ニュー・マシンガン打線」完成なるか

新しい2番の打順にも「全く問題ないです。必ず回ってくるのは初回だけで、2回目、3回目はいつ来てもいいように準備するだけです」と前向き。三浦大輔監督も「オースティンは状態も上がってきていますし、度会(隆輝)、オースティンの1、2番が上手くハマればいい攻撃ができる」と、満足げな表情を浮かべていた。

「この流れのまま最後まで駆け抜けたい」と完全復活を目論むオースティン。具現化すれば、俊足巧打のルーキーに、攻撃的2番の助っ人。首位打者経験者の佐野恵太宮﨑敏郎が、昨年の打点王牧秀悟を挟む「ニュー・マシンガン打線」が完成する。この強力ラインアップが機能することによって、1998年以来の頂も決して夢物語ではなくなるはずだ。

 

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■執筆者プロフィール

萩原孝弘:1971年生まれ。生まれも育ちも横浜の生粋のハマっ子で、大洋が横浜に移転して以来、一貫してホエールズ〜ベイスターズファン。

23年のオフィシャルイヤーブックもライターとして参加した。あくまでもファン目線で、独自のインタビューコラムや記事を各媒体で執筆中。

【DeNA】タイラー・オースティン完全復活で見えた“ニュー・マシンガン打線” 「この流れで最後まで駆け抜けたい」