東アジアの緊張化が明らかに。

調査機関は「中国の脅威」を指摘

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、2019年から2023年までの世界の武器輸出・輸入量に関する調査結果を2024年3月11日に発表しました。その結果によると、日本の武器輸入は前回の2014年から2018年までの調査より55%も増加し、世界6位、東アジア地域では1位の武器輸入国になりました。

SIPRI調査報告は5年間の武器輸出・輸入を独自データで算出しています。今回の報告書によると、日本の武器輸入で最大の相手国はアメリカで、全体の97%を占めます。

主な品目は戦闘機23機と、2023年に発注した中国や北朝鮮も攻撃可能なスタンドオフミサイル400発分などです。韓国も東アジア情勢の緊張を受け、長距離攻撃能力を重視しており、アメリカからの輸入量が全体の79%を占め、世界9位の輸入国となっています。

また台湾に関しては、今回の調査では数字に反映されていないため輸入量が減少していますが、66機の戦闘機108両の戦車、460発の対艦ミサイルなど大規模な兵器納入計画が今後の調査で反映される可能性が高いとのことです。

ほかも、アジア太平洋地域の緊張を反映した結果になっており、東南アジア諸国による武器輸入は前回調査の5年間よりも21%減少しているのにかかわらず、フィリピンに関しては5%増加しています。

オーストラリアに関しては輸入量に関しては減少しましたが、2023年には少なくとも原子力潜水艦を6隻輸入すると発表しており、質に関しては大きな注目です。そして、日本、アメリカ、オーストラリアとともにクアッド(日米豪印戦略対話)の参加国であるインドに関しては、前回調査に引き続き武器輸入量が世界1位となりました。

今回のアジア太平洋地域での、複数国での兵器輸入量の増加について、SIPRI上級研究員シーモン・ウェゼマン氏は「日本をはじめとするアメリカの同盟国やアジア・オセアニア地域のパートナーによる高水準の武器輸入が継続しているのは、主にひとつの重要な要因、つまり中国の野心に対する懸念によって動かされていることにほとんど疑いの余地はない」と評しています。

護衛艦「いずも」「かが」に搭載するため日本が購入を進めているアメリカ製のF-35B(画像:海上自衛隊)。