2022年11月の開園以来、4つのエリアが誕生しているジブリパークのクライマックスとして話題の「魔女の谷」が、2024年3月16日(土)にいよいよ開園を迎える。開園に先立って開催された内覧会で、その全容がお披露目された。

【写真】ジブリパークの新エリア「魔女の谷」

新エリア「魔女の谷」は、映画『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』、『アーヤと魔女』といった魔女にまつわる作品をイメージした、ヨーロッパ風のエリア。触ったり、乗ったり、食べたりと、既存の4エリア以上に体験できる要素が満載だ。魔女の世界に迷い込んだような気分に浸れる、新エリアの魅力を紹介しよう!

■見ているだけでも笑顔になる、パーク内で初の乗り物アトラクション登場!

ジブリパークの5つ目のエリアとして誕生した「魔女の谷」。エリアの広さは約2.9haと広大で、全エリアの中で最大の敷地となっている。

「魔女の谷」は、アプローチから、そのインパクトに圧倒される。『アーヤと魔女』に登場する魔女ベラ・ヤーガをモチーフに、カラフルタイルで造られた大迫力の魔女の顔がお迎え。魔女の口に吸いこまれるようにトンネルをくぐり、「魔女の谷」のゲートへ。

「魔女の谷」は、池を囲む森の中に、自然と調和したレンガ造りや石造りの建物が並び、非日常感いっぱい。スタジオジブリ作品でおなじみのヨーロッパ風の建物はどれも精巧な造りで、町を歩けばまるで異国を訪れたかのようなプチトリップ気分に包まれる。

既存の4エリアとの最大の違いといえば、初の乗り物アトラクションが登場したこと。「年に一度、村にやってくる移動遊園地」をイメージした遊具は「メリーゴーランド」と「フライングマシン」の2種類。

メリーゴーランド」は『魔女の宅急便』、『ハウルの動く城』、『もののけ姫』といった作品に登場する乗り物や動物、キャラクターをモチーフにしていて、心弾むアートのような装飾は見どころいっぱい。この乗り物は大人だけでも乗車できるので、童心に返って心行くまで遊園地を満喫できるのも嬉しい。

また、乗車中は、『ハウルの動く城』の背景音楽『人生のメリーゴーランド』を特別にアレンジした音楽が響き、周囲から眺めているだけでも夢の世界へと引き込まれていくようだ。

もう一つの子供向けの遊具「フライングマシン」は、『天空の城ラピュタ』の世界観がモチーフに。ラピュタタイガーモス号の2種類あるマシンは、自分でペダルをこぐことで高度を上げ、空を飛んでいるような浮遊感を体験することができる。

■ここでしか味わえないフードメニューが多彩! パーク内のベンチでブレイクもおすすめ

『魔女の谷』ならではのもう一つの楽しみといえば、園内でしか味わえない限定グルメの数々。

パンが焼き上がる香りに誘われるように歩いていると、ほうきにまたがった魔女と黒猫をデザインしたパンの看板が目に飛び込んできた。ヨーロッパの伝統的な木造建築技法によって建てられた2階建ての建物は、『魔女の宅急便』の主人公キキと黒猫のジジが暮らした舞台「グーチョキパン屋」だ。

作品から飛び出してきたようなパン屋さんの店内へ入ると、ショーケースにはバラエティーに富んだパンがずらり。

注文を受けてから自家製クリームをたっぷり詰めてくれるミルクコロネやバケット、ブール(各600円)といったフランスの伝統的なパンに加えて、ご当地ならではの商品も要チェック!

愛知県西尾産の抹茶を使った生地の中に、愛知名物のういろうが入ったういろうカヌレ(600円)、ういろうと白味噌あんを詰めた変わりダネのパン・オ・ういろう(480円)など。さらに、ジブリパークのフードメニューには欠かせないナポリタンをパンの中にぎっしり詰めたナポリタン(480円)など、郷土の味とのコラボレーションが楽しめるパンも充実している。

パーク内のベンチでブレイクするなら、「ホットドッグスタンド ホット・ティン・ルーフ」もおすすめだ。

魔女の相棒としてしばしば登場するネコが主役の店で、ネコの手の形をした白と黒のパンに、ビッグサイズのソーセージをサンド。愛知県の三河豚を使用したソーセージは、ジューシーで肉の旨味が口いっぱいに広がり、ボリューム感も満点。

のんびりと落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しみたい人には、「空飛ぶオーブン」が最適。「魔女の谷」の入り口近くにあるレンガ造りのレストランでは、パイやキッシュなどのオーブン料理を堪能できる。

イチオシは、自家製生地でナポリタンを包んだナポリタンキッシュ(1,850円)。ほかにも、骨付きラム肉を贅沢に使った魔女の谷のシェパーズパイ(2,500円)やミートパイ(1,850円)など充実のラインナップで、「魔女の谷」オリジナルラベルが気分を盛り上げる魔女の谷のビール(各1,100円)との相性も抜群だ。

■没入感がたまらない!細部にまでこだわり抜いた世界観に浸り、魔女の暮らしをプチ体験

「魔女の谷」の最大の魅力といえば、細部にまでこだわり抜いた精巧な造りで、作品の世界観を表現した建物や町並みだ。『アーヤと魔女』の主人公であるアーヤが引き取られた家を表現した「魔女の家」は、アーヤの寝室やバスルーム、キッチンなどアーヤが暮らした生活空間に浸ることができる。

バスルームでは、蛇口をひねれば湯や水が実際に流れ出るほか、レトロな家電が並ぶキッチンでは、冷蔵庫を開ければ食べ物や飲み物が煩雑に入っていて生活感たっぷり。コンセントのタイプもヨーロッパのものを使用するなど、アーヤたちの声が今にも聞こえてきそうなリアルさだ。

アーヤを引き取った魔女のベラ・ヤーガの作業部屋は、魔法の材料や使い込んだボール、たばこの吸い柄などが雑然と並び、不気味さが伝わってくる。展示されている小物は実際に触れることができるので、アーヤの気持ちになりながら、怪しげな雰囲気にどっぷりと浸れる。

※「ジブリパーク大さんぽ券プレミアム」のみ「魔女の家」の内部の観覧が可能

魔女の世界に浸るなら、エリアの最奥にある「オキノ邸」も必見。「オキノ邸」といえば、『魔女の宅急便』の主人公であるキキが、13歳になって魔女の修行に旅立つまでの間を過ごした家。

四季折々の草花に迎えられて庭のアプローチを進み、玄関先にある魔女の看板に下げられたベルを鳴らして家の中へ。玄関から入ってすぐ、左側に広がるのは、キキのお母さん・コキリが営む「魔女の店」。天井から吊るされたドライフラワーをはじめ、店内にびっしり並ぶ花々の香りにうっとりしてしまう。

2階へ上がると、キキが過ごした部屋が広がる。魔女の修行に旅立ってからは黒いワンピース姿しか許されなかったキキだが、クローゼットにはキキのワードローブが並び、女の子らしいファッションの好みが垣間見える。

さらに、ベッドの上には、キキがお父さんから譲り受けた赤いラジオがあり、突然チューニングされて鳴り出すという仕掛けも。引き出しを開けて文房具に触ったり、ベッドの上に広げられた出発前の身支度品を手に取ったり。キキのお部屋にお邪魔した気分を満喫できる。

※「ジブリパーク大さんぽ券プレミアム」のみ「オキノ邸」の内部の観覧が可能

「魔女の谷」のハイライトは、エリア内でひときわ目を引く「ハウルの城」だ。『ハウルの動く城』に登場する、生きもののような形をした高さ約20mの建物。ブリキや木材などさまざまな材質で造られた城が、荒地の中で存在感を放ち、1時間に数回動いて煙を吐くという仕掛けも。まるで今にも動き出しそうな臨場感あふれる演出だ。

正面階段から城の中へと足を踏み入れると、薄暗い雰囲気の中に居間があり、カルシファーの炉や流し台、テーブルやソフィーの部屋など、作品の世界さながらの不気味さに包まれる。

さらに2階にはハウルの寝室やハウルの衣裳部屋、アトリエなど生活感あふれる空間が続き、城の中での暮らしぶりを垣間見ることができる。

※「ジブリパーク大さんぽ券プレミアム」のみ「ハウルの城」の内部の観覧が可能

■選ぶのもの楽しい♪「魔女の谷」限定のオリジナルグッズを思い出に

「魔女の谷」の思い出をより一層深めてくれるのが、オリジナルのグッズたちだ。エリアの出口にあるグッズショップ「13人の魔女団」では、「魔女の谷」の建物やアイテムをモチーフにした個性豊かなグッズがずらり。アパレルや食器から、文房具などの小物まで揃うので、自分用にプレゼント用にと選んでいる時間も楽しい。

さらに『ハウルの動く城』の主人公ソフィーが切り盛りする「ハッタ―帽子店」もお土産選びの候補に。1階のショップでは多彩な絵柄のオリジナルキャンディー缶が色とりどりに並ぶほか、メイドインジャパンの帽子ブランド「CA4LA」とコラボレーションしたオリジナルデザインの帽子も販売。エレガントな帽子が、ヨーロッパの貴婦人気分を盛り上げる。

スタジオジブリ作品の中で描かれてきたさまざまな魔女たち。劇中で描かれる魔女たちは、作品ごとにそれぞれの愛らしさや不気味さなどがありながら、神秘的な魔女の世界をぐっと身近に感じさせてくれる。「魔女の谷」を歩いていると、そんな魔女たちの声がどこからともなく聞こえてきそうだ。

■選べる3種類の新チケットで、パーク内をじっくりお散歩♪

ジブリパークでは5エリア目となる「魔女の谷」開園にあわせて、「ジブリの大倉庫」が3月からリニューアル。話題作『君たちはどう生きるか』にまつわる新しい展示などが観られるほか、「カフェ 大陸横断飛行」では新メニューが登場するなど、リピーターにとってもトピックス満載だ。

さらにチケットの内容も一新。5エリア全てに入場できるスタンダードな「ジブリパーク大さんぽ券」をはじめ、特定の建物5つの中に入って観覧できるチケットも!自然と戯れ、作品の世界観に浸りながら、1日のんびり散策を楽しんでみてはいかがだろう。

ジブリパーク大さんぽ券(※入場2カ月前の10日14時から発売開始)

ジブリの大倉庫、青春の丘、どんどこ森、もののけの里、魔女の谷の5エリア全てに入場できるチケット。平日大人3,500円ほか。

ジブリパーク大さんぽ券プレミアム(※入場2カ月前の10日14時から発売開始)

5エリア全てに入場できるほか、地球屋(青春の丘)、サツキとメイの家(どんどこ森)、オキノ邸、ハウルの城、魔女の家(魔女の谷)の5つの建物は内部に入って観覧できる。平日大人7,300円ほか。

ジブリパークさんぽ券(※入場日7日前の17時から発売開始)

ジブリの大倉庫を除く、青春の丘、どんどこ森、もののけの里、魔女の谷の屋外4エリアを巡れるチケット。平日大人1,500円ほか。

※チケットは予約制。

※「ジブリパーク大さんぽ券」と「ジブリパーク大さんぽ券プレミアム」は購入時に「ジブリの大倉庫」の入場時刻の選択が必要。

※「ジブリパークさんぽ券」は魔女の谷のみ午前・午後の入場時間指定あり。

※魔女の谷の「メリーゴーランド」、「フライングマシン」、もののけの里の「五平餅炭火焼体験」は別途要利用料

取材・文=花野静恵

魔女にまつわるスタジオジブリ作品をイメージした「魔女の谷」/撮影=山本章貴