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利益率の「低下」予想

ドイツの自動車メーカーであるポルシェAGは、2024年通年の業績予想で減益を見込んでいる。3年連続で過去最高の販売台数を更新してきたが、市場の変化と新型車への大規模投資のため、慎重な見通しを示した。

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ポルシェの昨年の売上高は405億ユーロ(約6兆5000億円)で、2022年比で7.7%増加した。このうち営業利益が73億ユーロ(約1兆1800億円)、利益率18%であった。

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バッテリーEVとして導入される新型「マカン」    ポルシェ

しかし、3月13日のプレスリリースでは、2024年の業績について売上高400億~420億ユーロ、利益率15~17%と予測している。

2023年の世界販売台数は32万221台で過去最高を記録したが、需要落ち込みが続く中国市場では2022年比15%減の7万9823台となった。最大の市場は北米で、8万6059台だった。

今年発売予定のバッテリーEVの新型マカンは、低調な中国での牽引役になると期待されている。

ポルシェオリバー・ブルーメCEOは「世界的な経済情勢を考えると、強い逆風が予想される」としながらも、「当社の新車ラインナップが、今後も利益率をさらに高めてくれると確信している」と述べた。

ポルシェによると、現在は財政的な「V字カーブ」の底にあるという。新型車に多大な投資を行っているが、まだすべての量産化には至っていない。

新型マカンの発売は、ソフトウェア開発の遅れから1年ほど延期されている。もし当初の計画どおりに発売されていたら、2024年の見通しはもっと明るかったのだろうか?

ルッツ・メシュケ最高財務責任者(CFO)は弊誌の取材に対し、「仮にマカン発売が早かったとしても、収益面を見る限り、大きなメリットやアドバンテージは得られなかったと思う」と述べた。

ブルーメCEOも同意見で、「(VWグループのソフトウェア子会社の)カリアドを設立した際、事業拡大にいくつか問題があった。すべてを一元化するという決断は正しかったと思う」とした。

また、ブルーメCEOはメルセデス・ベンツの技術部門出身のサジャド・カーン氏をポルシェの新しいCar-IT部門の責任者に任命したことについて言及している。VWグループの新しいソフトウェア開発に関して、カーン氏が「ポルシェの要件をサポートし、推進する立場になる」という。

「今後数年間は安定化すると考えている。逆風から身を隠しているわけではなく、厳しい年になるだろうが、我々はこの強固な基盤の上で行動していく」

ニューモデル続々投入

ポルシェ2030年に販売台数の80%を電動車とする目標を掲げているが、この目標は消費者需要や各市場における「エレクトロモビリティの発展」に左右されるとした。

先行きが不透明な一因として、ブルーメCEOは欧州全域におけるEV需要の「横ばい」を挙げ、投資戦略を決定する上で「計画可能な条件を整えることが非常に重要だ」と述べた。

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今年の初夏、「911」に初のハイブリッドモデルが登場する。(編集部作成予想イメージCG)    AUTOCAR

2023年の車種別販売台数を見ると、911が5万146台(前年比24%増)、タイカンが4万869台、718(ボクスターおよびケイマン)が2万518台であるのに対し、マカンおよびカイエンはそれぞれ8万7000台以上を占める。

2024年は新型車のリリースを数多く控えている。マカン、パナメーラ、タイカン、911のニューモデルを導入予定であり、これまでで最も「多忙な年」と説明されている。

2025年以降は718とカイエンのEV版も登場する。2027年頃には、主に中国と北米をターゲットにした7人乗りの大型が追加される予定だ。

メシュケCFOは、こうした多額の投資が「短期的には収益を圧迫する可能性がある」としながらも、中~長期的な見通しは依然として明るいと説明した。

ポルシェは厳しい時代にあっても、革新的で高品質な製品に投資している。当社の製品を購入することができる人々の数は、世界的に増加すると予想されており、将来性は素晴らしい」


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