大槻ケンヂが現在ぴあアプリで連載中の「今のことしか書かないで」が大好評ということで、トークイベント「オーケンのほほん学校『今のことしか書かないで』スペシャル・ナイト!」が3月1日渋谷のduo MUSIC EXCHANGEで開催された。ゲストにはハヤシヒロユキPOLYSICS)とみうらじゅん。トークを中心に弾き語りのライブも織り交ぜ、ソールドアウトとなった会場は終始笑い声が響く最高のイベントとなった。

まずはオーケンがステージに登場し、エッセイ執筆の裏話を披露していく。この「今のことしか書かないで」は、文字通り“今のこと”を綴っていくわけだが、そこに妄想・空想の要素をプラスして、あたかもエッセイと小説のハイブリッドのような独特の文体と雰囲気が人気を呼んでいる。

「妄想はいくらでも書けるんだけど(笑)、あんまり長くして『カラマーゾフの兄弟』みたいになっちゃってもしょうがないから、あと10回くらいで終わりにして書籍にできたらいいなと思っています」

あのさぁ」(大槻ケンヂ)、「日本印度化計画」(筋肉少女帯)を弾き語りで披露したあと、ハヤシを呼び込んだ。ふたりでのセッション曲「香菜、頭をよくしてあげよう」(筋肉少女帯)の前に、ハヤシが同曲に関するこんな記憶を思いだす。

ハヤシ:昔、BSで大槻さんがゲストミュージシャンの地元に行ったりセッションしたりする番組がありましたよね。それの最終回がすごいカラオケ大会になってて(笑)(※『大槻ケンヂの日本のほほん化計画』)

大槻:あった! あれめちゃくちゃ楽しかったんだよな〜。

「香菜、頭をよくしてあげよう」のセッションからさらにトークは続き、青森で開催されていたロックフェスティバル「夏の魔物」の話へ。

ハヤシ:(主催者の)成田(大致)くんで覚えているのは、フェスに出た時に「ハヤシさん豚汁飲みます?」って聞いてきたから、飲む飲むって言ったんですけどそのまま帰ってこなかったっていう(笑)。次に10年後くらいにフェスに出てその話を本人したら豚汁を持ってきてくれました。

大槻:僕が『夏の魔物』に出た時は、ホタテを焼いている人がいて、「今日はホタテを焼きに来てるんですか?」って聞いたら、「いや、俺らはKING BROTHERSっていって出演者なんですけど、なんか流れでホタテ焼くことになって」って。

ハヤシ:マジですか!?(笑)

大槻:で、成田くんに言ったら「ホタテ焼く人がどこかいっちゃってて」って。カオスだったよなー。フェスいろいろ出たけど『夏の魔物』は特に面白かった。『夏の魔物』だけで1イベントできるよね(笑)。

続いてふたりで「オンリー・ユー」(ばちかぶり)をセッション。ここからオーケンみうらじゅんのトークに突入していくのだが、「よかったらハヤシくんもいてよ」というオーケンの一言で、この日の出演者3人によるトークセッションが実現した。

みうらじゅんは登場するなり、ハヤシとは「タモリ倶楽部」で一緒になったたことがあるという話をした。そこから「タモリ倶楽部」の話に展開。

大槻:今考えたら「タモリ倶楽部」もすごいなって思うんですけど、ローリング・ストーンズが来日公演を東京ドームでやっているときに、漏れてくる音を聴いてイントロクイズをするっていう回に出ましたよ。

みうら:俺そのとき、別の企画で中島らもさんと一緒にいたよ。俺は会場でストーンズを見て、らもさんはわざと我慢して見なくて、どんなんだったか俺に教わるっていう企画で、会場の近くに止めた車の中にいるらもさんに報告しましたよ(笑)。

その、オーケンが出演した「タモリ倶楽部」に出ていたのがダイアモンド☆ユカイだったということで話題は出演者の交流録へ。

大槻:ユカイさんはRED WARRIORSを解散したばかりの頃で、ちょっと近寄りがたい人だったのだけど。でも、僕はいち早く気づいたんですよ。あ、この人はやさしくてそして面白い人だぞ!って。だから、突っ込んであげた方がユカイさんは生きる!って僕は気づいて、そのストーンズの音漏れでイントロクイズをするっていう「タモリ倶楽部」の出演依頼があったときに僕がユカイさんを薦めたんですよ。で、それがユカイさんがバラエティに出た最初だったらしいんです。

みうら:ほんとのユカイに大槻君がしてあげたと(笑)。

そこからも話題はどんどん移り変わっていく。ざっとインデックス風に記せばこんな感じだ。

オカルトの話〜職質をよくされる〜桐島容疑者〜火炎瓶〜PANTAさん〜かつて何も知らないのにオーケンみうらスティーブ・ジョブズを語る対談をした〜大谷翔平の結婚はサブカルの終わり〜大駱駝艦〜オーケン杉作J太郎と一緒に行ったSM喫茶の取材〜みうらのSMクラブ取材〜みうらのマンガとサンリオサンリオキャラ戦力外通告みうらサンリオの入社試験を受けたことがある〜みうらじゅん賞〜山口冨士夫と町田康ニューロティカあっちゃんみうら、中学生に「ビートルズさん」に間違えられる〜バンドブーム〜ハヤシと大槻との出会い〜みうらサイパンで外人にオジー・オズボーンに間違えられる〜みうらお遍路さんに喜多郎さんに間違えらえる〜みうら、タクシーの運転手に佐村河内守さんに間違えられる〜ハヤシは誰に間違えられるか?〜ハヤシはレーシックの手術をしていた〜キャラとしてのメガネ大橋巨泉、大木凡人)〜東京タワー蝋人形館〜井上陽水からの留守電〜井上陽水奥田民生結成秘話〜井上陽水みうらの場合〜野坂昭如〜氏神一番〜ハヤシが会っておいた方がいい人リスト〜峯田和伸のエッセイ〜明かされない本音の原作者心理について

あいだに「夢の中で」の公開リハーサルセッションを挟んだ以外はノンストップ。ここから厳選して、「井上陽水からの留守電〜井上陽水奥田民生結成秘話〜井上陽水みうらの場合」を文字起こししてお届けする。

みうら:陽水さんは俺のことを“じゅん”って呼ぶんだよね(笑)。

大槻:陽水さんは最初、電話がかかってきたんですか?

みうら:大槻君に聞いてたのとほぼ同じだったよ。いきなり電話がかかって「今あなたに会える時間があるんだけど、どうする? じゅん』って(笑)。

大槻:不思議な立ち位置なんですよね、陽水さんは。とてもよくしてくださったな~。だからとても冗談がわかる方なんですよ。自ら楽しくさせてくださって。

ハヤシ:大槻さんは留守番電話だったんですよね?

大槻:そう。「あなたの大先輩の井上陽水。あなたと今会うことがプーー……」って途中で切れちゃって(笑)

ハヤシ:この話、超好きなんですよ(笑)

大槻:で、そのあとにね、「あなたねー、大先輩からの電話を途中で切るっていうのは失礼プーー……」ってまた切れるんですよ。そういうのが3、4回立て続けに入ってた。

ハヤシ:「君のとこの留守番電話の録音時間短すぎないか」っていうのが相当な早口で入ってたっていうところが最高にいいです(笑)

大槻:それで用件はなんだったかというと、「あなたデーモンっていうのと奥田民生っていうのをちょっと連れてきてくれる?」っていうことだった。で、デーモン閣下奥田民生さんとで行ったんですよ。お招きいただいて。そしたらそこで、奥田民生さんの歌を陽水さんが歌ってるテープを聴かせてくれたんです。その後にいろいろあって井上陽水奥田民生っていうのができて、最初のシングルが「ありがとう」って曲で、デーモン閣下と僕の間では、あれはおれたちに感謝してる歌だっていうことになってます(笑)

みうら:俺の場合はね、うちの事務所に車で来られてさ。

大槻:陽水さん車ブームだったんですね、その時。

みうら:だったんだろうね。夏だったもんで、えらく汗をかかれてて、「なんかさ、着替えないかな?」っておっしゃるもんで、たまたま事務所に吉田照美さんが学生帽をかぶってる写真のプリントが入ったTシャツがあったので、「これしかないんですけど、いいですか?」って渡したら、陽水さん、それに着替えてね(笑)。

大槻:マジっすか?

みうら:だから俺は初めてなもんで照れ臭さもあったから、ずっと吉田照美さんの顔を見ながら話したんだよね(笑)。

大槻:陽水さんはやっぱりステキですよね。リスペクトしかない。

ここから話は、オーケン井上陽水に連れて行ってもらったバーに白いスーツでバラの花束を抱えた野坂昭如が入ってきたという話につながっていくことになる。

とにかく濃厚な2時間半、現在公開中の連載「今のことしか書かないで」にもイベントの模様が綴られているので、ぜひそちらも一読いただきたい。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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