多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、短距離無線通信向けワイヤレスSoC(システム・オン・チップ)「STM32WBA5シリーズ」を発表しました。同製品は、革新的なオール・イン・ワンのSoCで、ウェアラブル機器や、スマート・ホーム機器、ヘルス・モニタ、スマート生活家電などの小型化や利便性の向上に貢献するとともに、よりセキュアで低コストの製品を実現します。

Bluetooth(R) Low Energy(LE)やZigbee(R)、Thread(スマート・メータやスマート・ビルで普及)などの短距離無線通信技術は、スマート機器をホーム・ブリッジゲートウェイ、スマートフォンを含むコントローラなどに接続するネットワークです。より経済的かつ持続的で、快適な生活を実現するソリューションが求められる中、企業は厳しいコスト制約の下で、ユニークかつ高性能なソリューションの迅速な提供に向けて取り組んでいます。また、このような製品には、小型・薄型、スマートLED電球のように外観では見えないように埋め込むなど、スタイリッシュさも求められます。ワイヤレス化も、自由度、柔軟性、ファッション性を追求するこのようなトレンドの一部です。

STM32WBA5シリーズをはじめとするSTのワイヤレスSoCは、超小型のワンチップ・ソリューションです。部品コストの削減や、ワイヤレス機器設計における課題を解決することで、製品開発期間の短縮に貢献します。また、STM32Cube開発エコシステムで提供される開発ツールやソフトウェア・パッケージと互換性があるため、有線通信用に設計された既存製品からも簡単に移行することができます。

STM32WBA5シリーズのフラグシップ製品「STM32WBA55」は、低消費電力のBluetooth LE 5.4、Zigbee、Thread、Matter(Thread RCP)など、複数の無線通信規格を同時に使用して通信することができます。Matterボーダー・ルータは、スマート・ホーム機器およびIoT機器に最適な新しいオープン・ソース規格であるMatterにおいて、STM32WBA5に最適です。これにより、STM32WBA55は優れたユーザ体験の実現に貢献するとともに、ハードウェア / ソフトウェア開発を簡略化し、新製品のコスト削減や開発期間短縮に貢献します。

また、STM32WBA5シリーズは、最新規格であるBluetooth LE Audioにも対応しています。同規格は、より豊かなオーディオ体験を提供する魅力的で革新的な新製品を可能にします。Bluetooth LE Audio規格には、オーディオ・ブロードキャスティング(一斉同報)ができる新機能「Bluetooth Auracast(TM)」も含まれています。

STのワイヤレス製品部ジェネラル・マネージャーであるBenoit Rodriguesは、次のようにコメントしています。「最新のSTM32WBAワイヤレスSoCは、すでに高い無線性能と柔軟性、セキュリティにおいて主要顧客から高い評価を受けており、スマート・サーモスタット、トラッキング機器、スマート・チャージャ、ヘッドセット、電動工具、スマート・メータなど、さまざまな製品が開発されています。通信用スタックマイコン専用のソフトウェア・パッケージ、サンプル・コード、ツールなど、幅広いソフトウェア開発エコシステムも提供されているため、同ワイヤレスSoCをベースとした製品を短期間で効率的に市場に出すことができます。」

STM32WBAシリーズは、ワイヤレスSoCとしてSESIP(Security Evaluation Standard for IoT Platforms)レベル3という重要なセキュリティ認証を取得した、市場初の製品です。これにより、STM32WBAワイヤレスSoCを搭載したスマート機器は、US Cyber Trust Mark、および2025年に義務化される欧州EUの無線機器指令(RED)の両規制に簡単に対応できます。

Abeeway社(Actilityグループ)の最高経営責任者(CEO)であるOlivier Hersent氏は、次のようにコメントしています。「当社の扱うアセット・トラッキング用IoT機器は、Bluetoothを通じてモバイル機器と接続され、さらにモバイル・アプリを通じてクラウドと接続されます。これにより、顧客に完全なアセット・トラッキング・システムを提供できます。STのワイヤレスSoCにより、当社のマルチ・モード・トラッカに無線通信機能を実装することができました。当社のバッテリ駆動デバイスにとって重要な、高性能かつ超低消費電力の無線機能を備えているため、STM32WBA5ワイヤレスSoCを採用しました。同製品により、当社製品が使用される産業用の過酷な環境下でも安定した接続を実現できるだけでなく、最も厳しい業界標準に対応するセキュリティを確保できます。」

Performance Designed Products(PDP)社の最高技術責任者(CTO)であるTom Roberts氏は、次のようにコメントしています。「私たちは、ゲーミング周辺機器がゲーミング・コミュニティそのものと同様に、ユニークで親しみやすいものであるべきと考えています。PDPは、数世代にわたるビデオ・ゲーム機器においてSTと協力を続けており、STM8およびSTM32マイコンを長年にわたり使用してきました。STの製品は、きわめて競争の激しいゲーム機器市場において、当社が求める機能を一貫して提供してくれます。当社は最近、革新的なゲーミング・コントローラに最適なソリューションとして、Bluetooth LE技術と汎用マイコンに基づく短距離無線通信に対応したSTM32WBA5ワイヤレスSoCを採用しました。性能、ペリフェラル、コスト、開発エコシステムが理想的に組み合わされた同製品により、シンプルかつ迅速な開発が可能になりました。」

新しいSTM32WBA5ワイヤレスSoCは、2024年3月12日よりSTのウェブサイトで提供が開始される予定です。価格およびサンプル提供については、STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせください。また、STM32WBAおよび電源やアンテナ調整回路などの外部部品を集積した、すぐに使用できるモジュール製品も2024年6月に発表される予定です。

技術情報

今回発表された新しいワイヤレスSoC「STM32WBA54」および「STM32WBA55」は、高性能な最新世代のArm(R) Cortex(R)-M33コア(最大動作周波数100MHz)、およびセキュアな処理とストレージを分離するArm TrustZone(R)アーキテクチャを搭載しています。最大1MBのFlashメモリを搭載し、コードおよびデータ保存に十分なメモリを備えています。また、STの超低消費電力STM32U5マイコンで実績のある、バックグラウンド自律動作モードや柔軟な低消費電力モード、アナログ / デジタル・ペリフェラルを備えており、きわめて優れた低消費電力性能を提供します。

STM32WBAワイヤレスSoCに搭載されたSTの最新の2.4GHz無線技術により、初めてアプリケーションでRF出力パワーを制御できるようになりました。最大+10dBまで出力を調整でき、厳しい動作条件においても信頼性に優れた無線通信を実現します。

また、最新のZigbee規格(リリース22とリリース23を含む)に対応し、セキュリティ、信頼性、利便性向上に向けて、Zigbeeのコア・スタックを拡張しています。

Bluetooth LE用に設計されたBluetooth LE Audioにも対応しているため、STM32WBAシリーズは音質と消費電力をきわめて柔軟に最適化できます。さらに、ブロードキャストやマルチキャスト・オーディオなどの機能を活用したLE Audioの最新のユース・ケースが、ユニークな製品開発に貢献します。

STM32WBAワイヤレスSoCは、STM32Cube開発エコシステムに完全に対応しており、ハードウェア設定や無線性能テスト用の専用ソフトウェア・パッケージおよび開発ツールが提供されています。また、評価キットや豊富なオンライン・サポートも利用可能です。これには、ワイヤレス・プロトコルスタックおよびサンプル・コード、試作開発ボード、拡張カード、開発者用wiki、STM32のGitHubリポジトリ、STM32開発者コミュニティなどのオンライン・サポートが含まれています。

詳細については、ウェブサイト(https://www.st.com/resource/en/product_presentation/stm32wba-series-product-overview.pdf)をご覧ください。

* STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標です。STM32は米国特許商標庁に登録されています。

STマイクロエレクトロニクスについて

STは、50,000名以上の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、2027年までのカーボン・ニュートラル(スコープ1、2、および3の一部)の実現を目標にしています。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。

◆ お客様お問い合わせ先

STマイクロエレクトロニクス(株)

アナログ・MEMS・センサ製品グループ

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