UFCでも頭抜けた力を持つジョーンズ。彼の蹴りをファンが受ければ、無事ではいられない。(C)Getty Images

 プロの格闘家、それも業界トップクラスの実力者に対する無闇な挑発行為は波紋を呼んでいる。

 物議を醸しているのは、現地時間3月11日に米総合格闘技団体『UFC』のヘビー級世界王者のジョン・ジョーンズ(米国)が握手会で自身を蹴るように要求した男性ファンに強打を見舞った動画だ。

【動画】是か非か。UFC戦士の男性ファンへの打撃シーン

 UFC史上8人目となる2階級制覇(ライトヘビー級&ヘビー級)を果たした最強ファイターは“容赦がなかった”。

 昨年3月のシリル・ガーヌ(フランス)戦以来、左大胸筋の断裂もあって試合からは離れているジョーンズだが、要望には笑顔で応えた。「ローキックを蹴って欲しい」と申し出る男性ファンに向かって強烈なローキックを炸裂。当然ながら悶絶した同男性だったが、「もう一発頼む」と懇願。すると、ジョーンズは左太もも裏にバシンッ!とふたたび蹴りを強打。これで懲りたのか、男性は「ありがとう」と握手をしてその場を去った。

 その後に男性は自身のインスタグラムを更新。「病院にすぐに行った」と記し、松葉杖をつきながら、痛々しく真っ赤に腫れあがった太もも付近の写真を公開した。

 近年、SNSでは格闘家に打撃を打ってもらい、それに耐えるという“我慢比べ”のような動画が一部で流行。この男性もジョーンズを使ってバズり“男らしさ”を見せようとしたのかもしれない。いわゆる“バズり”を狙って大怪我を負うのは、もはや擁護のしようもない話だ。

 無論、“事件”が起きた直後からジョーンズには「プロの格闘家である以上は手加減をすべき」という声も上がった。ただ、それ以上に強まったのは、危険を冒した男性を批判する意見だった。英紙『Daily Mail』は「ジョン・ジョーンズは容赦のない残酷な蹴りを見舞った。だが、蹴るように自ら申し出たファンは自業自得ではないか」と指摘。また、英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』は「ジョーンズにとって生意気なファンを病院送りにした。彼にとって負傷離脱中だろうが、素人を倒すことなど容易い」と糾弾した。

 どれだけ流行っているからと言っても、プロの格闘家を侮るべからず。米専門サイト『MMA Junkie』が「総合格闘技にレベルがあるように、愚かなファンにもレベルはある。これはひどすぎる」と嘆いたように、男性ファンが松葉杖での生活を余儀なくされるのは、なんともお粗末な結果と言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「自業自得だ」“要望”に応えてファンを病院送りにしたUFC戦士の行為が物議「愚かさにもレベルはある」