東京で開通した「平和台トンネル」に続き、埼玉では国道463号バイパスが延伸するなど「新大宮バイパス」に通じる道路整備が進捗しています。新大宮バイパスは今後さらに渋滞するのでしょうか。その"対策"はすでに織り込み済みです。

「新大宮バイパス」その本当の姿とは

東京練馬とさいたま市を結ぶ大動脈、国道17号新大宮バイパス」に関連する道路の開通が相次いでいます。2024年2月には、東京側の延伸部にあたる「放射35号線」が環八通りをまたぐ「平和台トンネル」が開通。そして3月13日(水)には、さいたま市の都市計画道路「道場三室線」が延伸し、新大宮バイパスに新たな交差点が誕生しました。これは埼玉県の東西を結ぶ国道463号「浦和越谷バイパス」の実質的な新大宮バイパスへの延伸です。

さらに新大宮バイパスから北へ、鴻巣市まで国道17号バイパスをつなげる「上尾道路」の事業も進んでおり、東京―群馬のバイパス群が1本につながるのも現実となってきました。そうなると、現状でもあちこち渋滞している新大宮バイパスがさらに渋滞するのでは、と思うかもしれません。

実は新大宮バイパスの既存区間も改良が計画されています。

首都高の延伸「新大宮上尾道路」

まず挙げられるのが首都高の延伸事業「新大宮上尾道路」です。新大宮バイパスの上空を通る首都高S5埼玉大宮線を、与野JCTから北へ、上尾市内まで8km延伸させるもの。与野以北の区間は渋滞が慢性化しており、並行する道路でも交通が流れて事故が多発していることから、首都高の延伸部がその通過交通の受け皿となることが期待されています。

2024年現在は、与野出入口の付け替え工事や、宮前IC(国道16号交差部)をまたぐ橋梁の下部工、上尾道路区間の改良工事などが進んでいます。

国道463号バイパスとの交点「町谷立体」

3月13日に前出した国道463号「浦和越谷バイパス」の実質的な延伸部「道場三室線」が開通したことで、新大宮バイパスには、さいたま市桜区内に新たな交差点ができました。

この交差点は道場三室線から見るとT字路となっており、直進できない構造です。というのも、新大宮バイパスから西側の道場三室線の用地は買収こそ進んでいるものの、今はまだ細い生活道路があるだけだからです。将来的にはここが拡幅され、道場三室線は国道463号「浦和所沢バイパス」に荒川の羽根倉橋東詰で合流する計画で、こうなってようやく、埼玉の東西を貫くバイパスとしての機能が本領発揮となります。

この整備に合わせ、新大宮バイパスと道場三室線の交点に「町谷立体」を構築する計画があります。前後の田島立体、浦和所沢立体と同様に新大宮バイパス本線がアンダーパス構造となる予定です。

東京側の4車線化と「北町インター」

新大宮バイパスは大部分で6車線ですが、東京側の起点である国道254号(川越街道)から、板橋区赤塚の首都高5号線が合流するまでの2.3kmは1995年に開通し、暫定2車線のままです。本来は4車線になるはずですが、うち赤塚高架橋は2車線分の橋桁すら架かっておらず、鉄筋が突き出た橋脚のみが立っています。

この区間は慢性的に渋滞していますが、東京側の「放射36号線」の整備に合わせて4車線化する、とされています。

放射36号は、この2月に開通した平和台トンネルよりも都心側、東京メトロ有楽町線の氷川台駅と環七通りをつなぐ区間のことで、平和台―氷川台間の拡幅も含まれます。ここが完成すると、環七通りから池袋駅西口にまっすぐ通じている4車線の「要町通り」と一体化され、東京―さいたまの大動脈としての機能が本領を発揮します。

さらに、新大宮バイパスの交通量が増大することから、川越街道との交点「新大宮バイパス入口」交差点は、平面交差での円滑な運用が困難になると見られています。このため、同交差点インターチェンジ構造で立体化され、新大宮バイパス・放射35号の本線部が川越街道の下をくぐるようになる計画です。

この本線部は未着手ですが、円形のランプについては、川越街道への旧接続路を一部転用することもあり、その形が見えつつあります。

新大宮バイパス。上空には首都高の高架(乗りものニュース編集部撮影)。