想定外の事態に見舞われても、三笘薫伊東純也冨安健洋が不在でも、目の前の試合で勝つ。3月14日、『FIFAワールドカップ26アジア2次予選』朝鮮民主主義人民共和国代表とのホーム&アウェイ2連戦に臨むSAMURAI BLUE(日本代表)のメンバーが発表された。記者会見に登壇した山本昌ナショナルチームダイレクターと森保一監督は次のように意気込みを語った。

山本NTD「先日、なでしこジャパンが国立でDPRコリアにしっかり勝って勢いを付けてくれたので、その勢いをしっかりいただきながら、2連勝を目指したい」

森保監督「2026年『W杯』に向けての2次予選を戦うということで、すでに2試合戦っているが、DPRコリアとの対戦で2次予選突破に向けて、その先のアジア予選突破という大きな目標に向けて、チームとして経験値を上げてレベルアップしていきたい。何よりも一戦必勝という目の前の試合に最善に準備をして勝つということ、国立で結果を出すことに全力を尽くしたい。我々を応援してくださるサポーター、国民に喜んでいただけるよう全力で戦い勝利を届けたい」

SAMURAI BLUEメンバー26名は以下の通り。

【GK】
前川黛也(ヴィッセル神戸)1試合0失点
大迫敬介(サンフレッチェ広島)7試合6失点
鈴木彩艶(シントトロイデンVV/ベルギー)9試合5失点

【DF】
長友佑都FC東京142試合4得点
谷口彰悟(アルラヤンSC/カタール)26試合1得点
板倉滉ボルシアMGドイツ)26試合1得点
渡辺剛(KAAヘント/ベルギー)3試合0得点
町田浩樹(ユニオンサンジロワーズ/ベルギー)8試合0得点
毎熊晟矢セレッソ大阪)8試合0得点
伊藤洋輝VfBシュツットガルトドイツ)16試合1得点
橋岡大樹(ルートン・タウン/イングランド)7試合0得点
菅原由勢(AZアルクマールオランダ)11試合1得点

【MF/FW】
遠藤航リバプールFCイングランド)60試合3得点
浅野拓磨(VfLボーフム/ドイツ)51試合9得点
南野拓実ASモナコフランス)57試合20得点
守田英正スポルティングCPポルトガル)32試合3得点
相馬勇紀(カサ・ピアAC/ポルトガル)12試合4得点
小川航基(NECナイメヘン/オランダ)1試合3得点
前田大然セルティックスコットランド)16試合3得点
堂安律(SCフライブルク/ドイツ)47試合8得点
上田綺世フェイエノールトオランダ)24試合11得点
田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフドイツ)25試合7得点
川村拓夢(サンフレッチェ広島)1試合1得点
中村敬斗(スタッド・ランスフランス)8試合6得点
佐野海舟(鹿島アントラーズ)4試合0得点
久保建英レアル・ソシエダスペイン)34試合4得点
※各選手の試合数・得点数(失点数)は国際Aマッチでの数字。

『W杯 カタール 2022』以来となる長友招集の意図を問われると、指揮官はこのように答えた。
ピッチ内外で存在感を発揮してもらえればと思っている。まずはプレイヤーとして彼を選んだことをお伝えしたい。これまでの活動を振り返って、ここまで3節、Jリーグを見ても選手としての評価が、主観的にもチームの中で存在感を発揮していいプレーできているし、データ的にも客観的に日本人選手の中でトップの数字を示している。1対1で勝ち、いい守備からいい攻撃につなげていくことをFC東京で示してくれているし、代表でも彼の力を出して戦えればと思っている」

森保一監督

ピッチ外に求める長友の役割を聞かれると。
「期待していることは、まず何よりもピッチ内で高いレベルでプレーできることをほかの選手に示してほしい。ピッチ外、プレー外で言えば、彼がどんな時にも反省を怠らず、でもポジティブに前向きにふるまってくれる。彼はその点で突き抜けている。これからより厳しい戦いになっていく中で、彼がもたらしてくれるエネルギーに期待したいと思っている。ピッチ外も期待しているが、長友がいない中でもチームは成長しているし、足りないので彼を頼るのではなく、さらなるパワーアップのために彼を招集させてもらった」

久しぶりの代表復帰となる相馬、橋岡、小川への評価を求められると、森保監督はこうコメントした。
「相馬はここのところ出場時間は少なくなっているが、2試合を戦う上で彼の持っているユーティリティ性はチームに必要だと思い招集した。直近のゲームで得点している。バトル、デュエルで勝っていきながら攻撃につなげ、『W杯』のコスタリカ戦で国と国の厳しい戦いを知っている選手。今回DPRコリアとの厳しい戦いにも必要な選手。

小川は点を取っている結果から彼を招集することになった。点を取るだけではなく、守備にハードワークして、得点を取る。個々の役割の中で結果を出し、組織的に戦う面でもいい働きをしているので、招集させてもらった。

橋岡は世界最高峰の『プレミアリーグ』でチームの中でしっかり評価されてプレー時間を与えられ、局面局面の働きで成長しているということで招集させてもらった。彼は右も左もできる。局面で相手を上回って、攻撃を見せてくれているので、代表でも今やっていることを発揮してくれればと思う」

森保監督は性加害疑惑報道を受け、『AFC アジアカップ カタール 2023』で途中離脱し、今回招集外となった伊東純也についても言及した。
「純也の件については、ひと言で言うと、彼を守るために招集しなかった。彼の置かれた状況、彼のパフォーマンスから招集は可能で、招集したいと思ったが、招集してここ日本で彼がどういう環境になるかを考えた時、彼が落ち着いて準備する環境にならないと想像しているし、チーム全体が落ち着いて準備する環境にならないとだろうと思い、彼の一番大切にしている家族への影響を考え、今は招集しない方がいいと思い判断した。彼を守るために招集しなかった」

アジア杯』でふくらはぎを負傷し、復帰間近と目されるCB冨安健洋の招集を回避した理由はこうである。
プレーしていないということで、ケガのリスクを考えて、招集外とした。『アジア杯』も全試合出場したが、イラン戦で違和感があり、その後プレーできなくなったので、まずは本人、所属クラブのために、ケガを繰り返さないように、本人がしっかりしたパフォーマンスを出してくれれば、自然と代表に招集されるということで、招集しなかった」

アジア杯』ベスト8に終わった反省を、森保監督は『W杯』アジア予選でどう生かしていくのか?
「結果は非常に残念に思っているし、応援してくれる方にいい結果を届けられずに申し訳なく思うが、『アジア杯』だけではなく、過去の成果と課題を修正していきたい。未来に向けてより良くやっていけるよう、すべての部分でレベルアップしたい。攻撃も守備も。課題としてセットプレーからの失点をしていたので、そこは改善できるよう、オープンプレーでもシンプルにボールを入れてきた時、どう守備の対応をして、どう攻撃につなぐか。チームとしてもう一度確認して、臨みたい。相手は強く戦ってくることも、構えて戦ってくることの両方ができる相手なので、相手がどう戦いにきても対応できるよう臨機応変さという点で『アジア杯』ではうまくいかなかったので、基本的な想定を準備して、想定外の対応もできるよう準備していきたい」

2月24日の『パリオリンピック2024 女子サッカー アジア最終予選』朝鮮民主主義人民共和国女子代表×なでしこジャパンサウジアラビア・ジッタへ開催地が変更されたが、今回は平壌開催という決断をしたAFCへの率直な感想を訊ねられと、山本NTDはこう返答した。

山本昌ナショナルチームダイレクター

JFAの担当者がコミュニケーションを取ってそう決まった。我々はその決定に従うことになる。ホーム、アウェイともに安全に行えることが一番重要。まずはホームに来てもらうので、しっかり安全に行えるように全力で連携したい。詳細を申し上げるのはなかなか難しい状況なので、ご理解いただければ」

過去2分2敗、1得点も挙げていない13年ぶりの平壌での完全アウェイに向けて、森保監督は改めて抱負を口にした。
「想定外のことはいろいろあると思うが、準備と覚悟を持って、平壌の試合に臨みたい。これまでも戦いの中で想定外の中でもベストを尽くし、結果を残すことをやってきた。我々が最善の準備をして最大限の結果を出すことを、自分たちのやれることを準備して戦いに臨みたい」

果たして、北朝鮮とのホーム&アウェイ2連戦ではどんな結末が待っているか。『FIFAワールドカップ26アジア2次予選兼AFCアジアカップサウジアラビア2027予選』SAMURAI BLUE(日本代表)×朝鮮民主主義人民共和国代表は3月21日(木)・国立競技場、26日(火)・平壌・金日成競技場にてキックオフ。国立開催分のチケットはチケットJFAにて発売中。ホームゲームの模様は日本テレビ系列にて全国生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

チケットJFA
https://ticket.jfa.jp/

(写真右より)長友佑都、久保建英、前田大然