来るべき電動化の未来に日本の自動車メーカーが大きな一歩を踏み出した! 日産とホンダが「戦略的パートナーシップの検討」を発表

この記事をまとめると

■日産とホンダが協業するとの会見を実施

■協業のテーマは『自動車の電動化・知能化時代に向けた』ものだ

■あくまで現状は検討のフェーズなので、今後なにをするかは不明だ

日産がホンダと協業する!

 2024年3月15日 午後3時15分、国内の自動車(登録車)販売規模でいえば2位の本田技研工業(2024年2月実績3万3157台)と3位の日産自動車(同2万7507台)が協業に関する覚書を締結するという衝撃的な発表があった。※なお、同時期のトヨタの販売台数は9万6021台

 記者会見に合わせて発表された協業のテーマは『自動車の電動化・知能化時代に向けた』もの。ただし、現時点では『戦略的パートナーシップの検討開始に合意』という段階であって、具体的な発表はなかった。

 ホンダの三部敏広社長、日産の内田 誠社長による記者発表の内容を要約すれば『車載ソフトウェアプラットフォーム、バッテリーEVに関するコアコンポーネント(バッテリーやモーター)、そして商品の相互補完などを検討していく』というもの。

日産とホンダが「戦略的パートナーシップの検討」を発表

 両社長の発言からは、聖域を設定することなく、フラットな視点で検討してくという意気込みが感じられた。

 とはいえ、ホンダと日産というのは互いに伝統的な企業であり、それぞれに独自の企業文化を持っている。それでも、こうした協業を検討するに至った背景について、内田社長は次のように説明した。

日産とホンダが「戦略的パートナーシップの検討」を発表

カーボンニュートラルなどの社会課題に対応すること、クルマにおけるソフトウェアの重要性が増しているといった事象に代表される自動車業界の大変革期において、伝統的な自動車メーカー、新興メーカーとの競争に勝ち抜く上で、業界の常識や手法にとらわれていては太刀打ちできない。そのため協業を検討することになった』。

 また、企業文化の違いについて三部社長は『両社とも技術ドリブンな会社であり、似ている部分が多く、お互いの技術の親和性もある』と捉えているということだ。内田社長は『日産はルノーとのアライアンスも経験しており、異なる企業文化を融合させるのは問題ない』と力強くコメントした。

現状ではなにを共同で進めていくかは不透明

 というわけで、現時点ではホンダと日産が、主に技術面で協業できる可能性を表立って検討していくフェイズといえる。クルマ好き的には「GT-RシビックタイプRが兄弟モデルになるのでは? 」のような夢を想像したくなるが、具体的な話は決まっていないようだ。

日産とホンダが「戦略的パートナーシップの検討」を発表

 ただし、記者会見でのQ&Aに漂う空気感からすると、両社ともに新しいビジネスモデルを持つ新興企業(テスラBYDをイメージすればいいだろう)に従来からの自動車ビジネスモデルでは対抗できないという共通認識はあるようだ。旧来の自動車メーカーがこれからの時代を生き残るにはドラスティックな変革が必要であるというわけだ。

日産とホンダが「戦略的パートナーシップの検討」を発表

 より具体的にいえば、2030年あたりの自動車社会において求められる電動化(ゼロエミッション)・知能化(自動運転やコネクティッド)を、十分な性能と適切なコストで実現するには、まさに”いま”協業を検討することがギリギリのタイミングといえる。

 すでに、日産はルノー三菱自動車というパートナーがあり、ホンダもGMとの協業やソニーホンダというジョイントをしているのはご存じの通り。そうした部分も含め、この協業によるスケールメリットは計り知れないのも注目といえよう。

日産とホンダが「戦略的パートナーシップの検討」を発表

 いずれにしても、リーフの量産などで知られるように電動化についてはトップランナーといえる日産と、世界初の自動運転レベル3(レジェンドホンダセンシングエリート)を量産したホンダが広い視野で協業を検討するということに、未来を体感できる自動車技術の誕生を期待したい。

日産とホンダが「戦略的パートナーシップの検討」を発表

来るべき電動化の未来に日本の自動車メーカーが大きな一歩を踏み出した! 日産とホンダが「戦略的パートナーシップの検討」を発表