町田は2勝1分けで2位タイと好調。磐田、東京Vは負けが先行しており、我慢の時期が続きそうだ(C)Getty Images

 2024年のJ1はチーム数が20に増加し、最終順位で下位の3クラブは自動降格となる。既存のクラブはもちろん、町田、磐田、東京Vといった昇格組の3クラブも、この降格3枠でJ2へUターンすることなく、上位を目指し、J1定着を図りたいところだ。

 実際、3節が終わって状況はどうか。事前の評判通りの活躍を見せているのは、町田だ。開幕戦でG大阪と1-1で引き分けた後、名古屋と鹿島に共に1-0で勝利を収め、2勝1分け。勝ち点7で、広島に次ぐ2位につけている。

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 内容も上々だ。G大阪戦では後半に仙頭啓矢が2枚目の警告を受けて退場し、宇佐美貴史のFKで同点弾を食らったが、そうしたアクシデントを除けば、3戦を通して町田の守備が崩された印象は無い。球際でも前への圧力が強く、ロングスローやFK、コーナーキックなどセットプレーも大きな武器だ。町田がJ1に順応するというより、J1勢が町田に順応する必要が生じている。

 逆に懸念としては、警告の多さが挙げられる。町田は3戦で警告が8つと、J1で最も多く、反則ポイントもFC東京に並ぶ13ポイントでトップだ。G大阪戦の退場は「アクシデント」と記したものの、繰り返し起きれば必然となる。対戦相手のクオリティが上がり、VARも導入されたJ1環境の中で、J2との違いが警告や退場数の増加として表れた場合、苦戦は免れないだろう。

 とはいえ、それでも町田の上位進出が有望であることに変わりはなく、昇格組の中では一歩も二歩も抜けた存在だ。そもそも今季のチームに費やした投資額自体、町田はJ1の上位陣と同等なので、上位進出がサプライズとも言い切れない。通常の昇格組とは物差しが違うため、戦術のトレンドを含め、今季はJリーグ全体に一石を投じる存在になりそうだ。

 次に磐田はどうか。開幕で王者神戸に0-2で敗れた後、川崎戦は5-4で派手な打ち合いを制したが、柏戦は再び無得点の0-1で敗れた。1勝2敗で16位だ。

 川崎戦は相手の守備があまりに緩かった。スペースは空き放題で、ボールも自由。J1の直近トレンドは、神戸や柏、広島、鹿島や町田に代表されるように、守備強度を前面に押し出すチームが増加傾向であり、川崎戦は特殊な試合と考えざるを得ない。神戸と柏から得点を奪えなかった部分をどう改善するか。サイドからポケットを突く攻撃は機能しているので、もう一押し欲しいところだ。

 また、毎試合の失点も要改善だ。守備はよく組織され、相手の長所にうまく対応しているが、ポゼッション時のイージーミスからショートカウンターを食らいがち。セットプレーの守備も、神戸戦の汰木康也、川崎戦のエリソン、柏戦の古賀太陽など、CKから毎試合の失点が目立つ。ゾーン+マンツーマンで対応しているが、ゾーンのすき間でヘディングされることが多く、あまり機能していない印象だ。試合内容全体は悪くないが、結果に直結する部分の改善を進めなければ、ズルズルといく不安がある。

 最後に東京Vだ。開幕戦で横浜FMに1-2で逆転負け、2節で浦和と1-1で引き分けた後、3節はC大阪に1-2で惜敗。言ってしまえば、すべて善戦したが、すべて惜敗と惜分けだった。1分け2敗で、降格圏の18位に沈む。

 4-4-2のゾーン守備はよく機能し、足下でつなぐビルドアップ派の3チームを見事に困らせた。横浜FM戦、浦和戦では先制ゴールも挙げている。2点目を奪えない課題はあるものの、J2時代は2点目が奪えなくても、失点を抑えて試合をクローズし、勝ち点を積み上げてきた。ところが、J1ではそれが許されない。後半に高まる相手の圧力に屈してしまう。

 実際、東京Vが3戦で喫した5失点のうち、4失点は後半に喫したものだった。ベンチメンバーが充実しているJ1の上位陣は、疲労が溜まる後半に選手交代から大きな圧力をかけてくるため、J2時代とは違う勝利の方程式を確立させる必要がある。城福浩監督は、ゲームチェンジャーの必要性について発言したが、まさにそういうことだろう。

 今後は対戦相手も変わる。4節の新潟まではビルドアップ派の傾向が続くが、5節は京都、6節は湘南、7節は柏と、5節以降は守備強度自慢のチームが続く。おそらく、3節までとは違う試合になり、違う成果、違う課題が出るはず。ここでどうなるか。

 また、そうした対戦相手にかかわらず、改善しなければならないのが、自らゲームを壊しがちな傾向だ。浦和戦ではペナルティーエリア内で不用意に足を出してPKを献上し、C大阪戦ではパントキックを阻んで2枚目の警告で退場処分を受けた。横浜FM戦でも土壇場のハンドでPKを献上している。

 VARが導入されたJ1だからこそ、細かい部分へのこだわりが勝敗を左右する回数が増える。若い選手が多い東京Vだけに、その部分で経験不足は露呈しがち。早く慣れる必要がある。

 町田に比べると、磐田と東京Vはまだ、J1を戦い抜く自信を得るに至っていないはず。4節以降、流れを変える試合を見せたいところだ。

[文:清水英斗]

町田、磐田、東京V――J1昇格組の勝算は?開幕3試合で見えた、それぞれの”収穫と課題”