旅好き芸能人が記者として世界を巡るドラマ「地球の歩き方」(毎週土曜夜0:00-0:30ほか、BSテレ東テレビ大阪は同日夜0:55-1:25/Leminoで独占先行配信/TVerにて見逃し配信)。1月の放送スタートから3話に渡って主演した三吉彩花の韓国編をレビューする。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】モデルとしても活躍する抜群のスタイルで韓服を着こなす三吉彩花

■ドラマ「地球の歩き方」とは

本作は、1979年の創刊以来160以上の国・地域で発売され、累計8000万部を超える売り上げを誇るガイドブック「地球の歩き方」をドラマ化。

200人以上のライター・記者の綿密な現地取材による情報が詰め込まれたスタイルにのっとり、編集部から特集を組んでほしいと依頼された旅好き芸能人たちが現地へ旅立つことから始まる。韓国を担当する三吉のほか、タイを森山未來サイパン松本まりか、そして現在放送中のニュージーランド森山直太朗が訪れ、“記者”として実在する人物に話を聞いたり、実在の場所に訪れたり、その国の新たな魅力を発見し、オリジナル特集ページを完成させていく。

映像配信サービス“Lemino”では、全エピソードをテレビ放送7日前に先行配信。最新話は毎週日曜日に配信予定で、特別インタビューや未公開映像が収録されたスペシャルエピソードも配信している。

三吉彩花がなじみの国、韓国で“オモニ”に迫る

打ち合わせで三吉が選んだのは、2023年には毎月訪れていたという韓国。「土地勘がありつつ、違う魅力も伝えたい。より深掘りしてみたい」という思いからだ。そして、テーマは“オモニ”巡りとなった。

オモニとは、韓国語で「母」を意味する。実際の母でなくても、飲食店などで出迎えてくれる店主であったり、初めて会ったりしても、家族や友だち、娘のように接してくれる“オモニ”な人がたくさんいるのだと三吉は言った。

第1話で、コーディネーターのドネ氏と合流した三吉は、いつもソウル滞在中に1度は行くという店をまず目指すことに。その道中のタクシー運転手が女性で、ミカンをもらって優しくしてもらった三吉は、オモニであることを問い掛けた。

すると、自分が貧しくて勉強できなかったら息子にはそうさせまいと頑張ったが、してあげられなかったことばかりが思い浮かぶというタクシー運転手から返ってきたのは「母親はみんな“犠牲”になるもの」という言葉だった。三吉はその言葉に衝撃を受けるが、自身の母に「自分の命に代えてでも子どもを大事にしたいから、したいこととか我慢しないで言いなさい」と育てられたことを振り返り、近しいものがあると語った。

そして、三吉行きつけのクァンジャン市場にある店のオモニは、オモニであることについて「一生懸命に生きること」「その誇りを持って子どもを育てることが一番大事」と言う。これまで通っていても聞けなかったことで、三吉はオモニへの印象が変わったと話した。

その市場では、ほかにもたくさんの“オモニ”たちの笑顔であふれている様子が映し出され、温かみが伝わってきた。

■現地コーディネーターのオモニを探すことに

その第1話ラストで、思いがけない展開を迎えた。市場で出会ったキムチ店のオモニに、オモニたちにとっての癒しと教えてもらった「チムジルバン」(韓国の伝統的な温浴施設)へ向かった三吉。

そこでもオモニたちにフレンドリーに接してもらったなか、コーディネーター・ドネ氏のオモニについて聞いてみると、彼は7歳のときに生き分かれて覚えていないのだという。でも、この日1日、三吉がたくさんのオモニたちと楽しそうに話しているのを間近で見て、「母の笑顔は、ああなんだな」と思ったと。

すると、三吉はドネ氏の母を探そうと提案。手がかりは、半分に切り取られたドネ氏が写る写真のみという難しさだが、ドネ氏のオモニ探しが裏テーマとなった。

■オモニたちとの出会いで三吉が得たもの

ソウル2日目の第2話では、三吉の韓国の友人おすすめのカリスマセラピストをしている“ビューティーオモニ”や、ドネ氏がアポイントを取ってくれた韓国の伝統服、韓服(ハンボク)の“デザイナーオモニ”が登場。三吉は彼女たちにもオモニについて問い掛けていく。子育てしながら仕事をしてきた彼女たちから出てくる言葉が深く胸に沁みる。

そして、韓国編の最後となる第3話では、「ミョンドンの母」と言われる占い師の元へ出向き、ドネ氏のことを占ってもらうところからスタート。そこで「韓国はITの国」という会話をヒントに、三吉がSNSでライブ配信をして、ドネ氏が持っていた写真を公開することに。すると、その場所がチェジュ島ではないかという投稿が。

そのチェジュ島で、ある海女さんとの出会いから、ドネ氏の母探しは切なさを帯びたドラマチックな展開を見せていった。

“原作”となるガイドブックの要素として、キンパキムチなどグルメ、施設、伝統文化が登場しつつ、そこに生きるオモニたちの思いを引き出した三吉。「自分の人生は自分で切り拓くものだから」と語っていたビューティーオモニ、三吉がもらい泣きしたデザイナーオモニや母の思いが入った歌を伝承している海女さんたち。オモニたちは「犠牲」だったり、後悔があったりしながらも、強く生き、深い子どもたちへの慈しみがあり、それが他へと波及しているように感じられる。ラストで三吉が編集部への報告として、「今回オモニたちの生きざまに触れて、誰かのために生きることの美しさ、そして素晴らしさを感じることができました」と結んでいる通りだ。

本作では「本人役」ではあるのだが、現地の実際のなじみの人や友人と会ったときの穏やかな表情や、韓国語で会話する普段見られない三吉の一面が見られたのもいい。そして、その会話を通して、現地でオモニたちに会ってみたくなる魅力が増していた。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

三吉彩花が韓国でさまざまな“オモニ”に出会う/(C)ドラマ「地球の歩き方」製作委員会