今回で4回目を迎える『TBSドキュメンタリー映画祭 2024』が3月15日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で開幕した。同日、全15作のラインナップから『映画 情熱大陸 土井善晴』の公開記念舞台挨拶が行われ、料理研究家の土井善晴氏をはじめ、監督の沖倫太朗、同映画祭のアンバサダーを務める映画コメンテーターLiLiCoが登壇した。

土井氏とLiLiCoは、この日が初対面だったが、以前、LiLiCoがバラエティ番組で披露した料理の盛り付けを、土井氏が絶賛した縁があり「誰が作ったか知らずに採点してくださり、すんごく褒めてくれた。ここから私は料理にハマった」と感謝の言葉。一方、土井氏は「きれいに盛ろうという気もなく、フワっと当たり前にしはるので、見事だなと。自然体で作為がない」とLiLiCoの盛り付けを振り返り、「お料理はそういうのが大事。ええカッコしちゃあきまへん。ほんまに」と料理哲学を語った。

左より)土井善晴、LiLiCo

また、LiLiCoが「(故郷の)スウェーデンで、日本料理のレストランを開きたい。何かご協力を!」と懇願すると、土井氏は「言うてくれたら、何でも」と前向きな姿勢を示した。すると、LiLiCoは「それを『情熱大陸』で放送するのどうですか? ずっと出たいとお願いしているのに、主人(小田井涼平)が先に出て、それがすごく悔しい」と猛アピール。番組のプロデューサーでもある沖監督は、「25分の放送時間では、(中身があり過ぎて)無理」とけん制した。

土井氏の密着に関しても、「25分ですから、撮影した素材を編集するのは大変でした」と沖監督。「お話をずっと、うっとりと聞いていられるし、油断していると、突然大事なことをおっしゃる」と土井氏の人柄について語り、「今回、劇場版で70分くらいになり、それでもまだまだ」とあふれる魅力に惚れ惚れしていた。

沖倫太朗監督

2022年には、長年出演した料理番組が惜しまれつつ終了した土井氏だが、「それまで忙しかった分、今は心が自由になって幸せ」と語り、「料理するのが楽しくなって、毎回新しい料理が生まれている。レシピ? あんなのいりませんで(笑)」。衰え知らずの“土井節”に観客は拍手喝采だった。

取材・文・撮影=内田涼

<作品概要>
『映画 情熱大陸 土井善晴』

■ありがとう先生! ご飯作って食べるのがメッチャ楽しくなりました。

「一汁一菜」、ご飯を中心に味噌汁と簡単なおかずで構成する和食のスタイル。土井は、日々の食事はこれで十分と提案し、料理を億劫に感じていた人の心を軽くする。味噌汁は出汁をとらなくてもいいし、具材に何を入れてもいい。作りやすいレシピの紹介で人気の“土井先生”だが、いま、レシピから離れる大切さを説く。料理する全ての人を応援したい……生き辛さを抱える時代に新たな暮らしの哲学を模索する料理研究家の情熱を見つめる。

<イベント情報>
『TBSドキュメンタリー映画祭 2024』

3月15日(金)~3月28日(木)
東京:ヒューマントラストシネマ渋谷

3月22日(金)~4月4日(木)
大阪:シネ・リーブル梅田

3月22日(金)~4月4日(木)
愛知センチュリーシネマ

3月22日(金)~4月4日(木)
京都:UPLINK京都

3月29日(金)~4月11日(木)
福岡:キノシネマ天神

3月30日(土)~4月11日(木)
北海道:札幌シアターキノ

公式サイト:
https://www.tbs.co.jp/TBSDOCS_eigasai/

公式X:
https://twitter.com/TBSDOCS_eigasai

『映画 情熱大陸 土井善晴』公開記念舞台挨拶より 撮影:内田涼