北アルプスの麓、長野県大町市を舞台に2017年より開催されている「北アルプス国際芸術祭」。第3回目となる「北アルプス国際芸術祭2024」が2024年9月13日(金)から11月4日(月・祝)まで開催されることが決定。3月14日(水)に企画発表会が行われた。

長野県の北西部に位置する大町市は、3000m級の山々が連なる北アルプスの麓にあり、清冽な雪解け水と澄んだ空気、四季折々の景観に恵まれた場所。そんな大町市の特色をいかし「水・木・土・空」をテーマに開催されるこの芸術祭には、国内外から約35組のアーティストが参加予定。「市街地エリア」「ダムエリア」「源流エリア」「仁科三湖エリア」「東山エリア」と大町の特色がみられる5つのエリアを舞台に、その土地の特徴をいかしたサイトスペシフィックな作品が展開される。

千国街道の宿場町として栄えた歴史をもつ「市街地エリア」では、ドキュメンタリーとフィクションを合わせた「モキュメンタリー」という手法で作品を制作している小鷹拓郎が、山をモチーフに地元の専門家と協働しながら映像作品を制作。写真家の鈴木理策は大町の水資源をテーマに写真と映像作品を展示する。

鈴木理策《水鏡》北アルプス国際芸術祭2024 参考作品

大町にとって重要な意味をもつ「ダムエリア」では、磯辺行久が前回に引き続き七倉ダムで大規模な作品を展開。鹿島川流域の「源流エリア」では、「土地と人との結びつき」をテーマに写真やインスタレーション作品を発表しているスクリプカリウ落合安奈が、猟師や山小屋を営んでいる人に話を聞くなどフィールドワークを重ね、フィルムで撮影した写真作品を発表する予定だ。

ヨウ・ウェンフー(タイトル未定)北アルプス国際芸術祭2024 作品プラン

かつて「塩の道」とよばれた道筋に位置する三つの湖を擁する「仁科三湖エリア」では、日本とロシア建築家ユニット、アレクサンドラ・コヴァレヴァ&佐藤敬/KASAが、「生命の通り道としての水」を形にするような作品を制作。豊かな里山が広がる「東山エリア」では、台湾のヨウ・ウェンフーが地域の人たちと協働し竹を使って公民館を覆う大規模なインスタレーションを展開。南アフリカ出身のルデル・モーはトンネル内に巨大な石の彫刻を設置する。

ルデル・モー[南アフリカ](タイトル未定)北アルプス国際芸術祭2024作品プラン

また、淺井裕介や、川俣正、目[mé]、ジミー・リャオなどは第1回、2回で制作した既存作品で参加する。

淺井裕介[日本]《土の泉》2017, 2021 撮影:栗田萌瑛
目[mé][日本]《信濃大町実景舎》2017 撮影:本郷毅史

展示以外にも、藤田貴大が全作品の脚本と演出を務める「マームとジプシー」が、ミナ ペルホネンとの共同作品で参加した前回に続き新作の上演を予定。展覧会のメインビジュアルは前回から引き続き皆川明(ミナ ペルホネン)が担当し、さまざまなグッズなども展開される。

「北アルプス国際芸術祭2024」メインビジュアル

総合ディレクターの北川フラムは、「厳しい時代のなかで、芸術祭を通して生まれた新しいつながりや、観光で訪れた人たちが、地域や閉鎖的になっている人たちに対して新しい風をもたらしたりと、おもしろい動きが生まれています。大町でも自然と人との出会いというとことをやっているので、ぜひいらしてください」と語った。

会期中には、大町の風土が育んだ食文化と旬の食材を提供する公式カフェ&レストラン「YAMANBA」もオープン。地元のガイドによる案内つきのオフィシャルツアーなども用意されている。

【参加アーティスト】2024年3月14日現在
淺井裕介(日本)/ダナ・アワルタニ(サウジアラビアパレスチナ)/ケイトリン・RC・ブラウン&ウェイン・ギャレット(カナダ)/マリア・フェルナンダ・カルドーゾ(コロンビアオーストラリア)/船川翔司(日本)/布施知子(日本)/平田五郎(日本)/磯辺行久(日本)/川俣正(日本/フランス)/イアン・ケア(イギリス)/木村崇人(日本)/小鷹拓郎(日本)/コタケマン(日本)/アレクサンドラ・コヴァレヴァ&佐藤敬/KASA(ロシア・日本)/ジミー・リャオ〈幾米〉(台湾)/松本秋則(日本)/目[mé](日本)/宮山香里(日本/イタリア)/ルデル・モー(南アフリカ)/ムルヤナ(インドネシア)/マームとジプシー(日本)/村上慧(日本)/エカテリーナ・ムロムツェワ(ロシア/アメリカ)/小内光(日本)/佐々木類(日本)/スクリプカリウ落合安奈(日本)/ソ・ミンジョン(韓国)/鈴木理策(日本)/大北林研グループ(日本)/Torus Vil.(トーラスヴィレッジ、日本)/ヨウ・ウェンフー〈游文富〉(台湾)

<開催情報>
「北アルプス国際芸術祭2024」

2024年9月13日(金)~11月4日(月・祝)、長野県大町市(5つのエリア|市街地、ダム、源流、仁科三湖、東山)で開催

公式HP:
https://shinano-omachi.jp/

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2407643

前列左から:北川フラム(総合ディレクター)、牛越徹(大町市長)、皆川明(ビジュアルディレクター) 後列左から:アレクサンドラ・コヴァレヴァ&佐藤敬/KASA(参加作家)、藤田貴大(マームとジプシー/参加作家)、スクリプカリウ落合安奈(参加作家)、小鷹拓郎(参加作家)、公式カフェ&レストラン「YAMANBA」の鈴木さん